紫陽花亭日乗

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刺客列傳 第五話 「荊軻」 承の段 8 

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/08/10 00:30 投稿番号: [287 / 735]
太子及賓客知其事者、皆白衣冠以送之、至易水之上。既祖取道。
高漸離撃筑、荊軻和而歌、爲變徴之聲。涕泣。又前而爲歌曰。
風蕭蕭兮易水寒。壯士一去兮不復還。復爲羽聲●慨。皆瞋目、髪盡上指冠。
於是荊軻就車而去,。終已不顧。

●「リッシンベン」+「亢」     コウ

太子及び賓客、其の事を知る者、皆白衣冠して以てこれを送り、
易水の上(ほとり)に至る。
既に祖して道を取る。高漸離筑を撃ち、荊軻和して歌ひ、變徴の聲を爲す。
涕泣す。又前(すす)みて歌を爲(つく)りて曰く、


風蕭蕭兮易水寒        風は蕭蕭として易水寒し
壯士一去兮不復還       壯士一たび去って復た還らず


また羽聲●慨をなす。
皆、目を瞋(いか)らし、髪、盡く上(のぼ)りて冠を指(つ)く。
ここにおいて荊軻、車に就(つ)きて去る。終(つい)に已に顧りみず。


太子や賓客、そしてこの事を知る者は、皆白衣(喪服)に身を固め、
荊軻を見送りに易水のほとりまできた。
そして道祖神に祈願してから道についた。
高漸離が筑を撃ち、荊軻はその筑に和して歌い、變徴(へんち)の音階で歌った。
皆涙を流して泣いた。それから前にすすみ歌を作って歌った。


風蕭蕭兮易水寒        風は蕭蕭として易水寒し

壯士一去兮不復還       壯士一たび去って復た還らず


今度は羽調で歌い悲憤●慨した。皆、目を瞋(いか)らし、
髪はことごとく逆立って冠を突き上げるほどだった。

かくして荊軻は車に乗って去った。
最後までうしろを振り返ることをしなかった。


つづく

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