紫陽花亭日乗

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Re: 刺客列傳 第五話 「荊軻」 承の段 

投稿者: ajisai110701 投稿日時: 2011/08/10 00:25 投稿番号: [286 / 735]
★ここの場面は、実はとてもむつかしいところです。


★「何太子之遣」「何ぞ太子、これを遣る」
「何」について、<Who> <Why> のふたつの意味が考えられます。

<Who>であれば、
「太子は誰を使いにやるのか、あんなやつを行かせれば・・・」

<Why>であれば、「どうして太子はこんな派遣のしかたをなさるのか」

となります。
しかし、謂わんとしていることは、「秦舞陽なんか行かせてもだめだ」
ということで共通していますから、まあ、どちらでも問題はないでしょう。


★ところが次の
「往而不返者豎子也」「往きて返らざらん者は豎子(じゅし)なり」
はやっかいです。

まず、「豎子・じゅし」(小僧っ子の意味)は誰を指すのか。

①秦武陽       ②荊軻自身       ③子供のふるまい

①行ったきりで使命を成し遂げて帰ることができないのは秦舞陽。
②ひとたび秦に行けば、帰らぬのは拙者(荊軻自身)でござるぞ。
③行って使命を果たして戻ってこないようなのは、小僧っ子のやることだ。

ここでは、『史記注譯』注に従い、③にしました。
すると、荊軻は、即秦王暗殺ではなく、第一話「曹沫」のように、できれば
秦王を脅迫して要求を呑ませたいと考えていることになります。

①なら、秦舞陽では使命をはたせず必ず失敗する。
②なら、即秦王暗殺、自分も必ず死ぬ決死の覚悟。

ということになります。個人的には、②を押しますが。

ちなみに『史記會注考證』には、この大切なところで注釈がありません。


★ここは「未發」で始まり、「遂發」で終わっています。
そしてまた「疑」の字が出ています。
こういう箇所にもご注目ください。原文を読む醍醐味です。


★ここで荊軻は、秦舞陽を「不認知」だということがわかりました。


つづく

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