ビックリ台湾!?

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Re: 「雪が見たい」

投稿者: unhoo 投稿日時: 2008/12/20 17:53 投稿番号: [1708 / 3149]
>台湾の人が初めて降雪を見たときの気持ちとはどのようなものでしょうか。
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昭和17年、わしは台湾で旧制中学を卒業して、すぐに上海の或る学術機関にボランティアとして通勤を始めた。せっせと勤めればそのうちに職員に取り立ててもらえるのである。それに学術的な仕事という誇りがある。

その年の十二月、真昼間の上海の街を急ぎ足で歩いていた。歩道のあちこちに、ガラスの破片が転がっている。危ないな、それにしても一箇所だけでなく、しばらく歩くと、またガラスが散乱している場所があるとはへんだぞ。そこで一つ拾い上げたたら、なんてこった、ガラスでなくて氷の砕片だった。歩道の上の水溜りが凍り、人に蹴散らされて、飛散したのだ。

それまでは夏に氷屋から買ってくる氷塊しか見たことがなかった。夏の氷塊は表面がずぶ濡れだが、歩道から拾い上げた氷塊は表面がかさかさに乾いている。実に珍しかった。

ちょっと前、勤め先の研究所で上海人の同僚張君に「上海では毎年雪が降るかい」と聞いたら「一冬に1回か2回降るが、降らない年もある」とのことだった。

路上の氷を見た日は言うまでもなく気温が氷点以下だったのだが、翌日から気温が上昇し、年末まで二度と路上の氷を見ず、雪も降らなかった。一月、二月、雪片がちらほら舞う日はあったが、物に触れるとすぐ消失する。ついに二月が終わった。張君は今年はもうだめだ、来年を待てと言う。

三月中ごろのある日、張君が先に仕事をすませて「さよなら」と出て行った。わしはタイガー計算機という歯車仕掛けの計算機をガラガラ回して、「学術的な」計算を続けていた。科学者の端くれになったという誇りがあるから仕事に身が入る。そこへ張君が駆け戻って来て「雪が降ってる、大雪になりそうだ」と注進。すわと廊下を走って裏庭へ飛び出す。芝生の上にはすでにかなりの厚さに積もっていた。部屋へ戻って散乱した紙片を引き出しにしまいこみ、今日はこれで退勤と決める。

雪という物を初めて掴んで、手のひらの上でいじる。雪玉を作って投げる。芝生の上で雪の塊をころがす。雪に雪がくっついて、たちまち大きな塊になると聞いていたが、そのとおりだった。ただ塊の外面は、枯葉や泥がくっついて汚れている。絵に描いたような真っ白な雪だるまを作るには、清潔な雪を掬ってきて表面に塗装する必要があるのだとわかった。

一人で雪ころがしを半時間続けた。あいつは台湾人で雪を見たことがないのだそうだと、張君が前から宣伝していたから、わしがえんやらえんやら雪を転がしているのを見て、笑いを抑えて通って行く行く職員が何人もあった。かまわずに、一心不乱に雪転がしを続けた。芝生だった場所にわしが製造した汚れた雪塊が五、六個出現した。戦いすんで日が暮れて疲れて自転車で颯爽と帰宅した。
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