チャングムの戦い⑰ ウナパイ道中編
投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/01/26 10:42 投稿番号: [1655 / 6952]
秋山親子、三冬、根岸、太田に別れを告げたチャングムは江戸をたちました。朝鮮通信使の一行には大坂で合流する予定です。
江戸に来たときは東山道を通ったので、今度は東海道を行きます。
田沼様たちからいただいた餞別金もあるし、合流日まで余裕があるので、ゆっくり風景を楽しみながら歩きます。
小田原では、伊豆のわさび漬をいただきます。
「か、辛い!」
唐辛子には慣れていても、わさびの辛さはつらいようです。
静岡では富士山を見ながらお茶をいただき、大井川では人足に担がれて渡るという貴重な経験をします。
さて「暴れ天竜」こと天竜川の偉容に目をみはりながら浜松に入り、新居関も近づいてきました。
「やっぱり浜松は鰻よね」
チャングムはそういって鰻屋に入ります。出てきた鰻重は、炊きたてのご飯にタレのしたたる鰻が乗っています。漬物も厳選されており、お茶もおいしい。
「なんておいしいのかしら」
ふと源内先生を思い出します。
(先生の仇は仕事人さんがうってくれる)
鰻の頭を箸でつまみます。
(先生の供養のために、仇の死体に鰻の頭を置いてもらうこともたのんだし)
源内先生ゆかりの鰻をそんなことに使おうとするのは、恨(ハン)深き火病民族の持つ業の深さなのでしょうか。
「おじょうさん、浜名湖の鰻はおいしいかい?」
チャングムがよほどおいしそうに食べていたのでしょう。隣の席にいた武士が話しかけてきました。
「はい。脂が乗っていて濃厚な味わいなのにしつこくないです」
チャングムは丁寧に答えます。
「そうか、この土地のものとしてうれしい言葉だよ。親父ぃ、おじょうちゃんに特上と肝吸い追加だ」
武士は立ち上がって店の奥に声をかけました。まるで熊のような巨漢です。鬢のあたりが縮れ上がっているのは面ずれのあと。相当な使い手らしいこの人がひとたび刀を抜けば黒旋風のごとき威力を振るうことでしょう。
「肝吸いも飲まなきゃね」
「感謝ハムニダ。お礼として私からキムチを差し上げます」
「え、拙者は辛いものが全然だめなんだよ。・・・甘いものも制限かかってるけど・・・」
武士は気の毒そうに断ります。
「そうですか・・・それじゃこの高麗茶碗をあげます」
チャングムが差し出したのは高麗茶碗。少しひびが入っているのがまたなんともいえない風情をかもし出しております。
「こ、これはなかなかの逸物!こんなものをいただいていいのですか」
興奮気味に武士が言います。
「はい。いかなる人にも礼儀を尽すべしと教わっていますので」
にっこり微笑むチャングム。
名の伝わらないこの武士は、いっぷうかわった風流を求めて、このひびの入った高麗茶碗を猫の飯茶碗に使っておもちゃのように楽しんだといいます。これが落語「猫茶碗」の元ネタになったのです。
なお、この茶碗が釜山製であったかどうかについては史書は沈黙しています。
江戸に来たときは東山道を通ったので、今度は東海道を行きます。
田沼様たちからいただいた餞別金もあるし、合流日まで余裕があるので、ゆっくり風景を楽しみながら歩きます。
小田原では、伊豆のわさび漬をいただきます。
「か、辛い!」
唐辛子には慣れていても、わさびの辛さはつらいようです。
静岡では富士山を見ながらお茶をいただき、大井川では人足に担がれて渡るという貴重な経験をします。
さて「暴れ天竜」こと天竜川の偉容に目をみはりながら浜松に入り、新居関も近づいてきました。
「やっぱり浜松は鰻よね」
チャングムはそういって鰻屋に入ります。出てきた鰻重は、炊きたてのご飯にタレのしたたる鰻が乗っています。漬物も厳選されており、お茶もおいしい。
「なんておいしいのかしら」
ふと源内先生を思い出します。
(先生の仇は仕事人さんがうってくれる)
鰻の頭を箸でつまみます。
(先生の供養のために、仇の死体に鰻の頭を置いてもらうこともたのんだし)
源内先生ゆかりの鰻をそんなことに使おうとするのは、恨(ハン)深き火病民族の持つ業の深さなのでしょうか。
「おじょうさん、浜名湖の鰻はおいしいかい?」
チャングムがよほどおいしそうに食べていたのでしょう。隣の席にいた武士が話しかけてきました。
「はい。脂が乗っていて濃厚な味わいなのにしつこくないです」
チャングムは丁寧に答えます。
「そうか、この土地のものとしてうれしい言葉だよ。親父ぃ、おじょうちゃんに特上と肝吸い追加だ」
武士は立ち上がって店の奥に声をかけました。まるで熊のような巨漢です。鬢のあたりが縮れ上がっているのは面ずれのあと。相当な使い手らしいこの人がひとたび刀を抜けば黒旋風のごとき威力を振るうことでしょう。
「肝吸いも飲まなきゃね」
「感謝ハムニダ。お礼として私からキムチを差し上げます」
「え、拙者は辛いものが全然だめなんだよ。・・・甘いものも制限かかってるけど・・・」
武士は気の毒そうに断ります。
「そうですか・・・それじゃこの高麗茶碗をあげます」
チャングムが差し出したのは高麗茶碗。少しひびが入っているのがまたなんともいえない風情をかもし出しております。
「こ、これはなかなかの逸物!こんなものをいただいていいのですか」
興奮気味に武士が言います。
「はい。いかなる人にも礼儀を尽すべしと教わっていますので」
にっこり微笑むチャングム。
名の伝わらないこの武士は、いっぷうかわった風流を求めて、このひびの入った高麗茶碗を猫の飯茶碗に使っておもちゃのように楽しんだといいます。これが落語「猫茶碗」の元ネタになったのです。
なお、この茶碗が釜山製であったかどうかについては史書は沈黙しています。
これは メッセージ 1652 (toapanlang さん)への返信です.
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