朝鮮を笑う

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斜め上の雲 78

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/08/26 19:03 投稿番号: [1732 / 2847]
  華秉は、陸軍に入ることを決意した。
  まず、陸軍士官学校を受験しなくてはいけないが、競争率はいがいと高くなかった。成長率は鈍化したもののバブル景気によってあいかわらず企業の求人は増加しており、民主化運動によって既成権力の牙城とされた軍に対してはよい印象がもたれてなかったこともあって、軍を志願するものは減っていたのである。
  結果からいえば、たやすく合格した。
  試験前は、
(兄上さまに口ぞえしてもらおうか)
  とおもったのだが、やはりやめた。錫元はその手の請願や運動をなによりもきらっているのを思いだしたからである。結局は合格後に報告した。
「まぁ、いいだろう」
  錫元は苦笑するしかなかった。かれは、華秉をそだて学校にゆかせるために軍人をつづけたのだが、まさか当の華秉がこちらの世界に来るとはおもいもしなかった。

  世実のほうである。
  すでにふれたように、かれの家は両班であり、かなりの資産家であったため学資にこまることはなかった。
  かれは、檀君大学に入学した。この大学は京城帝国大学より以前に設立されたという由緒ある大学であり、日帝の焚書をまぬかれた貴重な資料を多く蔵していることで知られている。
  しぜん、教科書にはのっていなかった文献にふれるようになった。「桓檀古記」「揆園史話」「檀奇古史」といった史書である。これらにえがかれた古代朝鮮の国家像は、きわめて雄大であり、誇らしい歴史を有する優秀な民族にふさわしいものであった。
  だが、それ以上に世実の心をとらえたものがあった。
  主体思想、である。

  韓国の大学にはいくつか政治運動組織があるが、そのなかで最大のものが「全国大学生代表者協議会」であった。
  かれらは明確に反体制を標榜しており、指導部は金日成思想、つまり主体思想を信奉するものたちでしめられていた。会員は公称二千名であり非公然活動家をいれると四千人にもおよぶという。
  八〇年代前半から主要な大学にはかれらの活動支部がもうけられ、「偉首金同(ウィスキムドン)」「親指金同(チンジキムドン)」ということばがはやっていた。「偉大なる首領金日成主席同志」「親愛なる金正日書記同志」の略である。
  朴正煕以来、韓国は反共、滅共をうたって、国民に対して北朝鮮は明確な敵であるという教育をしてきたため、おおくの韓国人は「北韓(プッカン)――韓国における北の呼称である――」をばけものか何かのようにおもってきた。

  学生たちを主導としておこった民主化運動は世代対決のかたちをとった。既成勢力である年長者および社会の是認するものを否定し、否認するものを称揚するといった価値観の顛倒がそのあらわれである。
  このため、ずっと否定的なものであった北朝鮮の評価は極端にあがった。といっても、これは既成の価値観への異議申したてであるため、現実の北朝鮮への評価とは関係のないものである。
  いずれにせよ、民主化運動のなかで北朝鮮を公然と支持する学生運動が大学でさかんとなっており、世実はその熱風にあてられた。
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