朝鮮を笑う

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解説:斜め上の雲 77

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/08/25 16:46 投稿番号: [1731 / 2847]
前回に引き続き、元ネタは1巻、大学予備門の真之と子規が悩むところです。以下原文。

≫「このまま大学へ行っても」
  と、真之は急に話題をかえる気配を示したが、そのままだまってしまった。
  子規はしばらく真之のつぎの言葉を待ったが、やがて問いかえした。
「なんのことだ、このまま大学へ行っても、とは?」
「いや、な。つまり、考えてみれば、このまま大学へ行って学士になっても、たいしたことはないということさ」
「なにを言いだしたのだ」
「おれはな」
  と、真之はいった。
「升さんとおなじで、うまれたからには日本一になりたい」
「たれでもだ」
  と、子規はいった。それが国家草創期におけるえらばれた青年たちの共通のねがいであろう。(中略)

≫「年々、学士がふえてくる」
  と、真之はいった。
「そりゃふえるだろう」
「学士なんざ、めずらしがられているころでこそ、工科の学士は卒業早々に鉄橋を架けたり、医科の学士はすぐさま病院長になったりしたが、これからはそうはいかぬ」
「なるほど」
  子規は、大まじめな顔でうなずいた。
  そのとおりだとおもった。一つの学問を拓くにしても、草創期の連中はとくであり、その学問を外国からもってかえるだけでそのまま日本一の権威になれる。
「たとえば加藤さんや山川さんでもそうだ」
  加藤さんとは、いま大学の総理に任じている加藤弘之のことである。(中略)
  教授の山川健次郎にしてもそうであった。会津藩士の家にうまれ、会津若松の落城直後、のまず食わずで東京へ出、やがて渡米し、苦学して物理学をまなんだ。
「われわれは遅くうまれすぎたのだ」
  と、子規はいった。
「しかし、かれら先人のやらぬ分野がまだあるはずだがな。それが学問でなかっても」
  と、子規はいう。
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