朝鮮を笑う

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斜め上の雲 55

投稿者: toaniuniu05 投稿日時: 2006/07/08 22:01 投稿番号: [1620 / 2847]
  ベトコンは、米軍が得意とする索敵撃滅(サーチ&デストロイ)作戦にもなれてきた。最初は、このアメリカ軍のヘリによる移動と攻撃にはベトコンもおどろいたようであったが、かれらは武器を隠し農民に擬装し、さらに密林内にはりめぐらした地下道にもぐるようになってからは、たんなるイタチごっこになって通じなくなった。
  米軍と南ベトナム政府軍は無辜の民衆に犠牲者が出ようとも砲弾を盲射するしかなかった。民間人は巻き添えをくらい米軍と南ベトナム政府を憎むようになった。しぜんゲリラへの共感がおこりその工作も浸透していった。
「弾を撃つごとに敵が増える」
  と、かれらは自嘲しながらも、効果的な戦術を見いだせずにいた。
(日本軍ならもっとうまくやる)
  錫元はそうおもった。
  もっとも、大東亜戦争における日本軍もゲリラ討伐を得意としていたというわけではない。しかし密林での戦い方は米軍よりまさっていた。
  ここで日本軍の戦史をまなんだ経験がいきてくる。

  錫元は、ヘリや車両にたよらず歩兵でじみちに戦線をつくり、確実におしてゆくという方法をとった。
「戦線をつくる?密林に塹壕でも掘るというのか」
  と嘲笑する声もあったが、錫元は意に介さなかった。
  たしかに、密林には塹壕で形成される古来の意味での戦線はつくれないであろうが、部隊の制圧地域にすきまができないようにし、完全に制圧したと判断できない場合は、そこに部隊を張りつければよい。
(海軍の対潜戦闘とおなじじゃないか)
  潜水艦のひそんでいる海域をしらみつぶしに駆逐してゆくように、敵兵を完全に掃討したという確信が持てないかぎりは、そこで戦いつづけるべきである。
  他の軍人にはなぜその程度のことがわからないのか。そうおもったとき、錫元の脳裏に苦さとおかしさがうかんだ。
(ウリナラには、海軍を知るものはいなかったな)

「歩兵の本領とはなにか、それを思い出すことだ」
  錫元は、将兵にそう説明した。ほんらい歩兵とは二本の足ですすみ土地をかせいでゆくものである。ヘリボーンによって出撃と引き上げを繰り返すのは、その最大にして唯一の利点をみずから捨て去る愚行であり、それはむしろ騎兵の任務である。
  ヘリボーンによる部隊の急速展開が、瞬時に要衝を制圧することができる有用な戦術であることには疑いをいれない。ただ、
(使い方がまちがっているのだ)
  と、錫元はおもった。現状を鑑みれば、いまベトナムで必要とされているのは電撃戦ではなく徹底した殲滅戦である。
  革命を標榜し民間人を巻きこんで盾とすることで、民間人の被害の増加と厭戦気分の醸成をはかって国家の基盤から掘り崩してゆくベトコンゲリラ――実体はどうみても北ベトナム軍の擬装もしくは傀儡なのだが――を撃破するのではなく、ゲリラと民衆を分離して、前者を徹底的に駆除することこそが戦略目的であるはずであった。

  錫元はみずから先頭に立って、金錫源からもらった日本刀をふるって指揮し銃弾が飛んできてもひかなかった。士気も軍紀も緩みがちな友軍に引きずられないようにするには、そうするしかなかった。
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