朝鮮を笑う

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斜め上の雲 51

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/07/01 19:10 投稿番号: [1608 / 2847]
  七一年春、大佐になった錫元は第十四連隊長に補任され、ベトナムへの出征を命じられた。
  出征にあたって、錫元は隠棲中の金錫源をたずねた。
「ベトナムか」
  金錫源は複雑な笑いをうかべた。
「われわれもそうだが、中華帝国の周辺国はなにかと苦労がたえぬものだ」
  支那が共産主義であってもなかってもその点はさほどかわるまい、という。
「このあいだに北韓が攻めこんでくる心配はないのでしょうか」
  錫元の気がかりはそこにある。最近は武装ゲリラの侵攻がたびたびあり、民間にも被害が出ている。
  在韓米軍もすくなからず転出してベトナムに派兵されている。韓国軍もかつて金錫源がひきいた首都師団(猛虎師団)や白馬師団といった精鋭を派兵している。

  もし、北朝鮮軍が三十八度線に攻勢をかける一方で、同時に特殊部隊を沿岸部に上陸させて後方攪乱をすればどうなるであろう。
「まず大丈夫だろう」
  後ろ盾の中ソがアメリカと同じくベトナムにかかりきりであるから攻勢にはでてこまいという。中ソ自体も対立しているし、中国国内は文化大革命で混乱している。
「アメリカが惨敗すればどうなるかはわからないが」
  そうなれば、ベトナムだけではなく、導火線に火がつくように東南アジア諸国に共産主義革命運動がつぎつぎとおこるであろう。しぜん、国際関係の均衡が東側に大きくかたむき、北朝鮮も武力統一について成算をもつようになる。そのためにもベトナムでは負けてはならない。

  金錫源のもとを辞するさいに、金は表までみおくってくれたばかりか、
「元、これをもってゆけ」
  といって錫元に軍刀を手渡した。朝鮮戦争でふるったあの日本刀であり、日本軍時代からこれまでいちども離さなかったものである。
「将軍、それは」
  ――錫元は金錫源を日本語発音の『しょうぐん』とよぶ――分にすぎます、と困惑する錫元をさえぎっていう。
「軍人のたましいはつねに戦場にあるべきだ。だからこれをわしだとおもって戦場に出してくれ」
  錫元は息をととのえ背筋をのばした。
「わかりました。将軍のたましいをおあずかりします」

  次にたずねたのは白善菀のもとである。
  白は整軍による退役後、すぐに駐中華民国大使に任じられ、その後駐フランス大使、駐カナダ大使をつとめたのち交通部長官となり、ソウルの地下鉄導入に功績があった。
  この当時は交通部長官の職を辞したばかりで、いわば浪人であった。
「敵はゲリラが主力とききましたので、ぜひ閣下のお知恵を拝借したいです」
  錫元の言葉に白はほほえんだ。
「わしがもう少しがんばっておれば金日成は地上にいなかった。惜しいことをしたものだ」
  かれのいうのは朝鮮戦争のことではなく、満州軍時代の匪賊討伐をさす。
  満州軍時代、かれが間島特設隊として匪賊を討伐していたことは前にふれた。抗日ゲリラ時代の金日成もこの軍に追いまわされてかろうじてソ連に脱出したという。
  これもすでにふれたが、経歴をみればわかるように、不正規軍との交戦や情報戦などにたけていた。そのかれに教えを乞いたいというのである。
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