朝鮮を笑う

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斜め上の雲 19

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/04/02 15:56 投稿番号: [1343 / 2847]
お詫び:金錫源率いる第3師団が守っていたのは浦項だと思い込んでいましたが、調べなおした結果、それより北の盈徳でした(学研の歴史群像シリーズの『朝鮮戦争   上下』を近所の本屋で発見購入したせいです。まさかあんな本屋に売っているとはおもわんかった)。
南の浦項が落ちて孤立したため海から撤退したとのことです。
ここまできて書き直すのもどうかなぁ、という気もしますのでそのまま書き進めます。

第19回

  浦項のまちは東側に海をかかえている。海岸線は南にゆくと、ひらがなの「し」のように湾曲して迎日湾をかたちづくったのち、北上して北につきだした半島を形成したのちふたたび南下している。
  海上に逃げるのであれば南東に進路をとりつつ海岸線にでる。南下して慶州まで退くのであれば南に転進して街道に入る。
  北朝鮮軍第5師団長である李徳山は、慎重な姿勢をくずさず、金錫源のねらいをみきわめようとしている。そのため、送り狼のように慎重に韓国軍の後を追って前進している。
  が、南東にすすんでいた韓国軍はふいに進路を南にかえた。
「南へ退却か」
  政治委員がつぶやいた。
「これは絶好の機会です。慶州への街道を直進すれば、最短距離であの隊列の頭をおさえることができます」
  そういった参謀を李は制した。むしろそれはわなであるとみた。
「街道をすすむのは危険だ。」
  かれは2個中隊をして街道をすすませた。予想どおり、韓国軍は隊列の右側面で半包囲するかたちをとるべく隊列を変化させた。
「みろ。南への退却にはまちがいないが、やはりわなだ」
  李はそういった。
「ということは、海上に撤退しないのですね」
  かれは、政治委員のことばに満足そうにうなずいた。
「つまり、米軍艦艇はいないのだ」

  李はあらたな命令をくだした。
  まず全軍の進路を東に転じ、時計回りに韓国軍の東側を長駆させ、兵力の半ばをもって韓国軍の縦隊の頭部を搏ち、他の半ばをもって後背をつこうとした。街道上の2個中隊をおとりとして利用しようとしたといっていい。
  これが成功すれば、韓国軍の背後をぎゃくに半包囲して全滅させることができるであろう。

  これがわなであった。

  北朝鮮軍が進路を東に転じて迎日湾を北にかかえる海岸線にでたところに、半島の陰にひそんでいた米艦艇があらわれて艦砲射撃をあびせたのである。
  天地がくつがえったかとおもわれる轟音がひびき、無数の砲弾が北朝鮮軍第5師団のうえにふりそそいだ。それを待っていた第3師団は隊列を横隊に変え東西にのばして、北朝鮮軍を圧迫するようにして砲撃を開始した。大地にむかって射てばかならず命中するといった状況で、艦砲、迫撃砲、榴弾砲などあらゆる種類の砲弾が敵の砲車をくだき、兵を空中に飛ばし、このため北朝鮮軍は潰走した。
  金錫源のたくみさはそれだけにおわらなかった。
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