朝鮮を笑う

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斜め上の雲 11

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2006/02/23 00:08 投稿番号: [1225 / 2847]
  金錫源はさらにいう。
「わしは、かつて日本軍をひきいて戦い、今はアメリカとともにソ連じこみの北韓軍と戦うというふしぎな道をたどっている」
  しぜん、各国軍の長短について感じざるをえないことが多いという。
「これからはアメリカ流が主流になるだろうが、日本軍のやりかたにも学ぶことは多い」
  とくに、下士官が兵と密着していることは強みだ、という。
「この軍には日本兵あがりが多い。学ぶことだ」
  金錫源が義勇軍を組織したさい、韓国内でゆき場をなくしていた元日本兵たちはかれのもとに集結し、ほどなく戦争がはじまったため、金はかれらを麾下にしたまま首都師団を率いている。
  そのため、韓国軍じたいが全体的に日本軍の色が濃いといえるが、金錫源の師団はとくにそれが濃厚となった。
  このように、劣勢に立ちながらも粘りづよく戦う韓国軍人に日本軍出身者が多いことについて米軍は注目した。従軍記者による朝鮮戦争記にも、このことにふれている。この記者は日本軍出身者というのは朝鮮人のなかの特殊なある種族であるとおもっているらしく、
「おもうに、日本軍出身者もしくはその一派(筆者注:満州軍をさす)の種族は、責任感がつよく勇猛であるが、死に対する観念がとぼしく、戦況によってはかんたんにわが身を死地に投じる」
  と、書いている。
  また、この時期、視察におとずれたマッカーサー元帥も韓国軍のなかでとくに名指しで首都師団の戦いぶりを賞している。

「いま、われわれに不足しているのは兵力と武器だ」
  しかしそれをなげいてもどうにもならない。やれることをやるしかない。
「力のないものは知恵と根性でたたかうしかない。最後は肉弾で食いとめる」
と金錫源はいった。さすがに錫元の顔に不安の色がさした。
「心配はいらん。抗戦しているうちに米軍が来る」
  それまで持ちこたえればよい、と金錫源はいった。
  7月7日、国連安保理において、国連軍の派遣が決定され、おもに米軍が日本から釜山に来援してきつつあった。しかし、それらは平和な任地にとどまることがながく、平時編制のままで訓練装備は不足しており北朝鮮軍に抗することができなかった。そのため大規模な援軍の到着まで時間をかせぐ必要があった。

  7月下旬、米韓軍は大田から撤退し、南東の安東、洛東里の線までさがった。
  その数日後、米軍指揮官ウォーカー中将によって、さらに南東へ撤退し、洛東江を天然の濠として防御線を形成し、敵軍の進撃を遅滞させ、米軍の増援を待つという戦略が決定された。
  金錫源は首都師団をひきいて安東を守っていたが、崔参謀長が持ってかえってきた後退命令をみると憤然とした。
  命令書によればあと1時間以内に撤退せよという。
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