古えは隠州が北西限か(2)
投稿者: torezojp 投稿日時: 2005/07/31 04:00 投稿番号: [10271 / 18519]
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【2.本文解釈】
以下に国代記の中の地理的特性を述べた部分(以下、国代記地理部)のテクストを挙げて解説します。
テクストは池内敏「前近代竹島の歴史学的研究序説」(※)の史料四に基いています。角括弧[ ]でくくってあるのは割注、つまり小さな字で書かれた注です。
※ 同論文は半月城通信で公開されています。URLは #9950 をご覧ください。
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(A1) 隠州在北海中
(A2) 故隠岐嶋
(A2a) [按、倭訓海中言遠幾故名歟]
(A3) 其在巽地言島前也
(A4) 知夫郡・海部郡属焉
(A5) 其位震地言島後
(A6) 周吉郡・穏地郡属焉
(A7) 其府者周吉郡南岸西郷豊崎也
(B1) 従是南至雲州美穂関三十五里
(B2) 辰巳至伯州赤碕浦四十里
(B3) 未申至石州温泉津五十八里
(B4) 自子至卯無可往地
(B5) 戌亥間行二日一夜有松島
(B6) 又一日程有竹島
(B6a) [俗言磯竹島]
(B6b) [多竹・魚・海鹿]
(C1) 此二島無人之地
(C2) 見高麗如自雲州望隠岐
(C3) 然則日本之乾地、以此州為限矣
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国代記地理部は、三つの段落に分けることができます。
A. 隠州の地理に関する概説 (A1〜A7)
B. 隠州から各方位にある土地とそこまで距離 (B1〜B6b)
C. 隠州が日本の北西国境であることの説明 (C1〜C3)
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いい教材がここにあった。適切ではないア・プリオリの用例にうってつけだね。
「C. 隠州が日本の北西国境であることの説明 (C1〜C3)」は先入観や偏見に基づいた当為の”理”をア・プリオリとする適例だ。
先入観を取り去り素直に読めば「C. 此州が日本の北西国境であることの説明 (B5〜B6b)(C1〜C3)」だね。論理証明も検証もなくア・プリオリに隠州を持ち込むということは論理学で排除すべき詭弁なのだ。
>これを前提にして「私は、隠州視聴合紀の国代記を以下のように解釈することが妥当だと思います。」
> 「以此州為限矣」の「此州」は隠州を指す
> 「竹島と松島は、日本にも朝鮮にも属さない無人の島と認識されている」
まさにこれは、先に述べた「当為の<理>がア・プリオリ(前提)にあって、それを理屈付けしてゆく」という演繹法の好例でないだろうか。
(続く)
【2.本文解釈】
以下に国代記の中の地理的特性を述べた部分(以下、国代記地理部)のテクストを挙げて解説します。
テクストは池内敏「前近代竹島の歴史学的研究序説」(※)の史料四に基いています。角括弧[ ]でくくってあるのは割注、つまり小さな字で書かれた注です。
※ 同論文は半月城通信で公開されています。URLは #9950 をご覧ください。
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(A1) 隠州在北海中
(A2) 故隠岐嶋
(A2a) [按、倭訓海中言遠幾故名歟]
(A3) 其在巽地言島前也
(A4) 知夫郡・海部郡属焉
(A5) 其位震地言島後
(A6) 周吉郡・穏地郡属焉
(A7) 其府者周吉郡南岸西郷豊崎也
(B1) 従是南至雲州美穂関三十五里
(B2) 辰巳至伯州赤碕浦四十里
(B3) 未申至石州温泉津五十八里
(B4) 自子至卯無可往地
(B5) 戌亥間行二日一夜有松島
(B6) 又一日程有竹島
(B6a) [俗言磯竹島]
(B6b) [多竹・魚・海鹿]
(C1) 此二島無人之地
(C2) 見高麗如自雲州望隠岐
(C3) 然則日本之乾地、以此州為限矣
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国代記地理部は、三つの段落に分けることができます。
A. 隠州の地理に関する概説 (A1〜A7)
B. 隠州から各方位にある土地とそこまで距離 (B1〜B6b)
C. 隠州が日本の北西国境であることの説明 (C1〜C3)
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いい教材がここにあった。適切ではないア・プリオリの用例にうってつけだね。
「C. 隠州が日本の北西国境であることの説明 (C1〜C3)」は先入観や偏見に基づいた当為の”理”をア・プリオリとする適例だ。
先入観を取り去り素直に読めば「C. 此州が日本の北西国境であることの説明 (B5〜B6b)(C1〜C3)」だね。論理証明も検証もなくア・プリオリに隠州を持ち込むということは論理学で排除すべき詭弁なのだ。
>これを前提にして「私は、隠州視聴合紀の国代記を以下のように解釈することが妥当だと思います。」
> 「以此州為限矣」の「此州」は隠州を指す
> 「竹島と松島は、日本にも朝鮮にも属さない無人の島と認識されている」
まさにこれは、先に述べた「当為の<理>がア・プリオリ(前提)にあって、それを理屈付けしてゆく」という演繹法の好例でないだろうか。
(続く)
これは メッセージ 10270 (torezojp さん)への返信です.
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