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朝まで④

投稿者: trip_in_the_night 投稿日時: 2005/12/03 20:58 投稿番号: [3159 / 7270]
日本はドイツを過信した。参謀本部の判断ミス

田原   この戦争をやるための主導権を誰がもったのかということを、いまここでは確認したい。明治大学教授の山田さん、どうですか?

山田   基本的にはやっぱり統帥部ですよね。統帥部が――。

田原   統帥部っていうのは大本営ですね、はい。

山田   戦時には大本営ですね。とくに陸軍の参謀本部と海軍の軍令部だと思うんですが、ただこの統帥部といえども、本当に日本がアメリカと戦争して打倒できるとは考えてなかったというところが重要なんです。つまり、いまわれわれが考えますとね、戦争っていうのはまあ勝つか負けるかだと思っているわけです。しかし、参謀本部や軍令部の彼らは、「負けないという選択肢があるんだ」っていうふうに、強く信じているんです。

田原   僕も秦さんにいろいろお聞きして書いたんだけど、じつは参謀総長も軍令部総長も勝てるとは思ってないですよね、両者とも。連合艦隊司令官の山本五十六だって「1年は暴れてみせる。あとはダメだよ」といっているんですね。みんなつまり石油が1年で終わりになるとわかってるんですね。

山田   田原さん、ちょっと待ってください。当時の参謀本部がどういう見通しだったか。これ昭和16年9月6日の参謀本部の判断なんですが、アンダーライン引いてちょっと読みます。「対英米戦争は長期大持久戦に移行すべく戦争の終結を予想することは甚だ困難にして」の次、ここです。「特に米国の屈服を求むるは先ず不可能と判断せらる」といってます。参謀本部は決して戦争反対派じゃないわけで、まさに推進派であるけれども、アメリカの屈服を求めるのはまず不可能だという。
  ならば、どうしてこの戦争に勝てるかというと、「我南方作戦の成果大なるか」――これは南方の資源地帯を取って持久戦をやっていればですね。「英国の屈服等に起因する」、つまりイギリスがヨーロッパで負けると。イギリスが負けると、アメリカの世論の「大転換に依り戦争終末の到来必ずしも絶無にあらざるべし」と見ている。
  どういうことかというと、まずドイツがイギリスをやっつれてくれるということが大前提になっているんですね。日本が単独でイギリスを降伏させることはできない。シンガポールを攻略したりビルマを攻略したりはできるかもしれないが、イギリスを完全にノックアウトすることは日本だけではできない。とすると、ヨーロッパでドイツが頑張ってくれてイギリスを降伏に追い込む。そうすればアメリカは単独で戦争に介入する、あるいは戦争を継続することを断念するだろうと、こういうシナリオなんです。

田原   あのね、ちょっとこれ、歴史を知らない人はなんにもわかんないと思います。太平洋戦争に至る前、1939年(昭和14年)9月にドイツがポーランドに侵入、イギリスとフランスがドイツに宣戦布告して第二次世界大戦が始まった。その直後に日本はドイツとイタリアと組んで三国同盟をつくる。さらに松岡洋右という外務大臣がいろいろ努力して、ソ連も巻き込んじゃって、四国同盟にしようとする。

山田   そこが重要なんです。

田原   で、四国同盟ができれば、ドイツは当然イギリスを滅ぼすだろう。するとアメリカは孤立する。だからこれでいけると思ったら、昭和16年の6月にドイツとソ連が戦争を始めちゃった。これはヒットラーのハッタリもあって、ソ連なんて、こんなもの3か月でやっつけるぞといった。日本はそれを信じるわけですね。ところが、山田さんが紹介した日本の参謀本部の判断、これが出た昭和16年の9月の時点では、アメリカはソ連とドイツの戦争でどうもソ連が勝ちそうだと判断しているんですね。日本の参謀本部は馬鹿だったんですか?

山田   つまり、ドイツを過信したっていうことですよね。

田原   だってもうアメリカは、ドイツがどうも負ける、ダメだぞとわかって、このへんからアメリカは、もう日本と仲よくしなくていいよと考え出すわけですよね。それが日本はまったくわかってなかった。
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