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続き:この上戦争なんか望んでいなかった

投稿者: hontonokotoga_shiritai 投稿日時: 2003/09/06 09:16 投稿番号: [290 / 7270]
−−−どうしてです。

山本:国力が比較にならない、日米開戦の昭和十六年は満洲事変以来すでに十年たっている、
この上アメリリカと戦争するなんて出来っこないと、軍国少年はいざ知らず、大人は思っていた。
大衆は戦さに倦んでいた。日清日露、くだって満洲事変だって一年余りで終っている。

−−−大衆は賢かったんですか。

山本:賢くなんかないこと今と同じです。ただこの上戦争する力がないことだけはよく知っ
ていた。軍人だって知っていた。

−−−知っててどうして?

山本:「ハル.ノート」のせいです。日本軍は中国から全面撤退すべし、蒋介石政権以外は
認めないというハル・ノートは日本への最後通牒、宣戦布告ですよ。政府はそれを国民にかく
して発表しなかった。発表すれば、世論は開戦はやむを得ないと承知したでしょう。

−−−なぜ発表しなかったんですか。

山本:そんなこと知りませんよ。外交べたのまじめ人問ばかりです。僕なら「ハル・ノー
ト」受諾します、そして催促されたら一個師団朝鮮に撤退させます。当時の朝鮮はわが国だと
いうことは世界が認めています。さらに催促されたらもう一個師団右から左に動かします。国
際情勢は猫の目みたいに変ります。わが国に有利に動いた好機を捕えます。

−−−成程「世はいかさま」ですね。

山本:分ったかい。もう一人の山本さん、山本七平さんは十二月八日開戦の日、二階で寝て
いたら下からドンドン天井をつつかれて「オイはじまったぞ戦争が」と言われて「えっ、どこ
とどこが」と聞いたそうです。七平さんはインテリだよ。そのインテリだって「まさか」と思
っていた。あとは推して知るべし。

−−−それじゃ終戦は喜んだのですか。

山本:ほっとした。玉音放送は録音が悪くて雑音だらけだったが、北方でも南方でも直ちに
武装解除したのは、終戦を待ち望んでいたからです。のどまで出かかっていたから、「耐ヘガ
タキヲ耐へ、忍ビガタキヲ忍ビ」だけで分ったのです。分りたいことは分るのです。

−−−私たちの教わったのとはだいぶ違いますね。

山本:戦前を語るのはかくの如く難しい。何しろ敵は幾万だからね。細かいディテールをつ
みあげなければ納得してもらえない。時代考証ってのがあるでしょう。あれは昔のほうがやさ
しい。江戸時代は元禄と文化文政と幕末の三つで片づけられる、「暴れん坊将軍」なんて将軍
吉宗が刀を振り回している、絵そら事にきまつているから、時代考証もへちまもない。多少気
をつけるのは岡本椅堂の「半七捕物帳」くらいかな。明治はもう時代劇です。大正はまだおぼ
えている人がいるから気をつける。   ・・・以下略
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