この上戦争なんか望んでいなかった
投稿者: hontonokotoga_shiritai 投稿日時: 2003/09/06 09:15 投稿番号: [289 / 7270]
戦前の庶民の意識がどうであったか軽視論トビで話題になったので、最近読んだ本で少し関わりがありそう
なとろを紹介します。
文春新書
誰か「戦前」をしらないか
夏彦迷惑問答
山本夏彦著
インテリア専門雑誌「室内」に掲載されたインタビュー形式の記事をまとめたものです。
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大正(ご遠慮)デモクラシーより抜粋
山本:あなた方に「戦前」を話して理解が得られないのは、ひとえに言葉が滅びたからです。
それは核家族が完了したからです。教育のせいです。あなた方は戦前という時代はまっ暗だっ
たって習ったでしょう。「戦前戦中まっ暗史観」は社会主義者が言いふらしたんです。社会主
義者は戦争中は牢屋にいた、転向して牢屋にいない者も常に「特高」に監視されていた。彼ら
にしてみれば、さぞまっ暗だったでしょう。けれども杜会主義者はほんのひと握りです。転向
しなかった主義者は戦争が終った途端にアメリカ軍によって解放され、凱旋将軍のように迎え
られました。彼らは直ちに労働組合を組織してその指導者になりました。短期間ではあるが
「読売新聞」を乗っ取りました。労働者は唯々として従いました。社会主義には何より「正義」
があったから一世を風摩しました。「日教組」はその巨大な組合の一つです。手短にいうとそ
の教育で成功したものの随一は、古いものは悪い、新しいものはいい、でしょう。彼らは日清
日露の戦役まで侵略戦争だと教えました。戦艦陸奥、長門の名も事典から抹殺しました。僕は
それを「お尋ね者史観」と呼んでいます。
−−−そんな言葉はじめて聞きます。
山本:言い得てて妙でしよう。大衆はお尋ね者ではないから、その日その日を泣いたり笑った
りすること今日の如く暮してました。向田邦子は「嚢」という短編のなかで、私たち女学生は
もんぺはいて明日の命も知れないというのに箸がころんでも笑っていたと書いています。
−−−「箸がころんでもおかしい」は大袈裟じゃありませんか。
山本:そういうたとえがあるのです。昭和初年のエログロナンセンス時代は聞いているでしょう。
−−−言葉だけは聞いています。
山本:今のポルノ時代と同じですよ。往年のエログロ時代が来るべき戦争におびえてのもの
だと言うなら、今のポルノ時代も次の暗黒時代の前兆だと言い玉え。それなら承知する。来る
べき戦争というが、だれもアメリカと戦争するなんて思ってもいなかった。
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