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三・一運動論 29

投稿者: tell_me_honto_gou 投稿日時: 2004/07/23 18:52 投稿番号: [1454 / 7270]
こったから改めたという姿になって、また将来暴動を挑発する虞(おそれ)があるという風な考があるかも知れませぬが、そんな慰みに暴動をやるものではない。今度暴動をやったために、朝鮮人が二千人も三千人も殺傷も殺傷されて居るのでありますから、容易に再び、暴動が起るなどということがあるものではない。
そんな事は度外に措いても宜い。それよりも暴動を為す源を取除くという方に、吾々の態度をきめる必要が有ると思う。そうして朝鮮の総督を更えるとか、政府内部をいろいろ変えるとか、やるだけの事は早くやって欲しいと思います。そう言っても人が無いとか何とか言いましょうけれども、人などはたくさんあります。我が黎明会に頼めば、朝鮮の政府位のものは、三つでも四つでも、いつでも引受ることが出来る。今日は日本に於ても、だんだんそういう方面に対して、志の有る者が出て来ましたから、この際特に改むべき点があるならば速かに革めて、そうして朝鮮人に安心を与え、吾々国民も共に、ここに大いに安心を得たいと思うのであります。或る意味から言うと、朝鮮問題は人道問題であります。或る意味に於ては、日本国民が大陸発展の能力有りや否やという事の、試験問題でもあると思う。吾々はこの問題にどうか落第したくない。いずれにしても私は、この大事な問題について、切に諸君の御考量を願いたいと思うのであります。

(一九一九年六月五日、黎明会第六回講演会*における講演。黎明講演集第六輯『朝鮮問題号』所収)
*   この講演会には、吉野のほか木村久一、福田徳三、阿部秀助、麻生久、内ガ崎三郎が登壇した。



    新総督及び新政務総監を迎う

  久しく我々の待ち望んで居った朝鮮騒擾の善後策は、いよいよこのほどに至り、ちらほらその輪郭の大体を外間に示したのであったが、先月央ば[八月一二日]新総督及び新政務総監の任命によって、よほどその姿が明かになった。改革官制の発表[八月二〇日]も、本誌の読者に見ゆる頃にはむろん発表になって居ることと信ずる。

  細目の条項は、改革官制の発表並びにこれに関するいろいろの手続きを詳細見た上でなければ判断の出来ぬことであるけれども、今日まで世上に伝唱せらるるところに拠って観るに、現内閣は、朝鮮統治の方針に殆ど根本的とも云うべき大改革を加うるの決心を固めたらしい。今日まで明かになって居る点は、朝鮮総督を文武併用とし、かつ従来の天皇に直隷するの地位を改めて内閣総理大臣の指揮監督を受くるの地位に置いたことが一つ[これは吉野の重大な誤認。この点は改革されず]。もう一つは、今度の騒擾に就いても大部分の責任を負うべき、而して従来朝鮮統治上の百幣の源として指弾せられて居った憲兵制度の撤廃である。無知頑冥の下級憲兵が、或は独断に或は上官の訓令を曲解して、いかに無辜の臣民を虐げたかは、今さら繰返すの必要は無い。けれども、憲兵制度の主たる弊害は、ここに在るのではない。憲兵が朝鮮全土に亘る警察権を掌握しねしかも自ら一種の軍閥的独立系統を作って、文官系統とは全然かけはなれ、謂わば朝鮮に於て、一個独立の治外法権の別天地を為して居ったことである。
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