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三・一運動論 26

投稿者: tell_me_honto_gou 投稿日時: 2004/07/21 18:30 投稿番号: [1448 / 7270]
ばならない、今の同化政策のままではどうしても融和しないと、私は確信する者であります。そこで私は教育上その他いろいろな点に於て、今の同化政策は徹底して居ないと信じますから、この不徹底なる同化政策を棄てよという事を、第三の問題として、ここに提供しようと思うのであります。

       *

  第四に言論の自由*を与えよという事を、私は主張したい。今迄申上げたような事は、この頃はだんだん朝鮮の事を吾々が問題として研究して居りますから、もう諸君はたいてい御承知であろうと思いますけれど、最近までは多数の諸君は、恐らく御承知なかったろうと思います。何故知らないか。言論の自由が無いからである。朝鮮の事に就ては内地人にも批評の自由がない。この頃はよほど緩みましたけれども、朝鮮にかの騒動の起こった頃には、朝鮮の事は書いてはいけないと言う。朝鮮に於ては口に出すことすら相成らぬ。朝鮮に於てウッカリそんな事を言おうものなら大変だ。朝鮮に於ては、朝鮮人は勿論、日本人にも言論の自由を与えない。それだから朝鮮の事情が世間に判らないばかりでなく、たとい上官に誠意が有って、いろいろ改めたいと思っても、その上官にも下情が判らないという事になるのであります。

*   吉野は『中央公論』一九一九(大正八)年六月号の「時論」欄で、「朝鮮における言論の自由」と題してこの問題をとりあげている。

  これは私が先年旅行をした時の事でありますが、こういう事件があった。仁川の日本の或る大きな米屋が、朝鮮人から米を買う約束をした−−−米一石を例えば三十円で買おうという約束でした。朝鮮人が■(よろこ)


んで田舎に買出しに往った。彼等には金が無いから、高い利息を払って借金をして、儲かるだろうと思って、田舎に往って米を買集めて持って来た。すると、米屋の方では、彼等が借金で苦んで居る事を知ったから、三十円で約束をしながら、二十五円ででなければ買われないと言う。朝鮮人がそれでは約束に違うと言って憤慨するけれども、平然として居る。そこで打棄って置けば、利に利を喰って損害が大きくなるばかりだから、その朝鮮人は二三人でありましたが、遂に涙を呑んで二十五円で売って非常に損をした。これに反して日本人の米屋は、旨く大儲けをしたと言って祝杯を挙げた。その当時は、これには官憲の結託があるという風評もありましたが、官憲の結託はどうか知りませぬが、これも朝鮮人に言論の自由を与えてあれば、こんな不都合があったという事が、すぐに世間に判る。又総督府にも判る。判れば総督府は打棄てて置く筈がない。
  政府では考えて見ると極めて要領を得ない事をやったものです。一方に於ては、朝鮮人をばかに虐めて居りながら、一方に於ては不公平だと思われるほど日本人を圧え付ける。それだから日本人は、随分朝鮮人のために迷惑をして居ります。例えば停車場に往って赤帽を雇う。停車場の赤帽は朝鮮人でありますが、それを取締る者は日本人です。赤帽は、ここから向うまで荷物を運んで、十銭という定りがあるけれども、取締の目の届かない少し遠方の処へ往くとか、或いは車に乗って往くと言えば、十銭の定りの所を五十銭くれと言う−−−途中まで往って五十銭でなければもう往きませぬと言う。朝鮮の労働者の間には、随分悪いものがあります。そういう時には、五十銭やるからと言って彼等を宥めて向うへ往ってから、約束が十銭だから、十銭しかやらないと言う。赤帽は、十銭ではいけない、どうしても五十銭貰わねばならぬとうるさく言う。その時には面倒だから、赤帽を殴ったりする場合がある。そこを
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