>>弾力性アプローチ
投稿者: J_Fooker 投稿日時: 2002/03/02 03:43 投稿番号: [17247 / 35788]
ちょっと教科書的なレスになりますが、いくつか思った点。
まず、基本認識として、データが示すとおり、プラザ合意後バブル期の日本の経常収支は縮小している事実を無視することは出来ません。
普通に考えれば、「内需拡大によって輸入が増えたため経常収支は縮小した」という説明が妥当かと思われます。
Jカーブ効果については、1986年前半には当てはまるでしょう。
次に、
GDP=C+I+G+X−M
(1)
は仮定ではなく定義式です。
つまり恒等式であり、ここから導かれる経常収支の定義式
S−I=X−M
(2)
も同様に恒等式です。(簡単化のためGは捨象)
これは恒等式である以上常に成立しているわけですから、(1)において、X−Mが増えたためGDPが増えた、という結論に直接つなげるのは不可能です。
同時に(2)を成立させるためには、Sが増大する(=Cが減少する)かIが減少しなくてはいけません。
短期における為替レートと経常収支の関係を表すマーシャル=ラーナ−条件から得られる結果を、恒等式に当てはめて解釈するのは不可能であると思われます。
マーシャル=ラーナ−条件は部分均衡分析ですが、GDPの変化は一般均衡条件を満たしている必要があります。
「そんなこと言われなくても判っている」と思われるでしょうし、ややくどくもなりますが、恒等式と方程式を混同して扱うことは不可能です。
非常に単純化して言うと、(1)においてXの値だけが増えればGDPは増えますが、これは部分均衡分析であり、他の変数の均衡条件を考慮に入れてませんよね。
(それ以前にこれはトートロジーですが)
以上により、お説の、「Jカーブ効果によって円高後のGDP増大を説明できる」という解釈は残念ですが成立しないと考えます。
輸出(または経常収支)の増大がGDP増大のエンジンたり得ることを証明するためには、このトートロジーを避けつつ、一般均衡条件を満たすモデルを作る必要があり、Feder(1982)以降さまざまなモデルが検討されています。
が、実際にはいろいろ問題があり難しいようです。
否定的なことばかり言って申し訳ない。
これは メッセージ 17244 (tamagawaheishirou さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/1835396/a4ja4bcffckdcbfma4oa1a27ya4oa4la4ka4na4aba1a9_1/17247.html