検証
投稿者: bosintang 投稿日時: 2003/12/29 17:09 投稿番号: [1740 / 3669]
『兎の眼』は児童文学の傑作として,発刊以来ロングセラーを続けていますが,紹介した一節は,主人公の一人,鉄三のおじいさんの話。臼井貘という名前なので,バクじいさんと呼ばれている(朴とは関係なし)。
全体のストーリーにとって,この挿話がさして意味をもっているとは思えませんが,それにしても疑問が多い。
「自分の国のことを勉強しておって牢屋に入れられる」
これで思い出すのは,1942年の朝鮮語学会事件。歴史じゃなくて辞書の編纂だけど,それを秘密結社として,治安維持法で一網打尽にした。
「朝鮮人をごまかして,人の土地を自分のものにしてしまう」
これは,土地調査事業(1910〜18)を指しているんでしょうが,文盲につけこんで土地を没収したというような事実はなかったことが,近年の研究によって明らかになっている。
「朝鮮独立運動家への拷問」
これがもし1919年の3・1運動のときのことだとしたら,過酷すぎる。治安維持法による「共産主義者」に対するものなら,あり得たかもしれないけれど。なお,治安維持法が濫用され,共産主義者だけでなく,宗教団体(大本教など)など,あらゆる結社に適用されたのは1935年以後。
「女,子どもも含めて焼き殺す」
たぶん,堤岩里教会事件(1919)のことだろうけど,「女,子どもを焼き殺した」ことはなかった。
灰谷は50年代終わりから17年間,小学校教師をしていて,植民地経験者から聞いた話もあっただろうし,小説書くときにはおそらく朴慶植あたりから取材もして,噂話を無理やりつなげて実話っぽく再構成したんでしょう。
まあ,小説の中のことだから,目くじら立てることもないかもしれないが,小学校高学年から中学生にかけて広く読まれているようだから,影響力を考えると訂正してほしいね。
これは メッセージ 1739 (bosintang さん)への返信です.
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