金素妍『金日成長寿研究所の秘密』
投稿者: bosintang 投稿日時: 2002/09/20 13:41 投稿番号: [1223 / 3669]
(文春文庫,2002)
北の秘密工作員,金日成長寿研究所の医者として活躍しながら,92年に韓国に亡命した金素妍の回想録。
1980年代以降,外貨獲得が至上命題となり,国家が主導して麻薬密売,観光売春を奨励してきた実態,北朝鮮医学界で日常的に行われていた生体実験(政治犯対象),独裁者金日成を120歳まで生きさせることを唯一の目的とする「金日成長寿研究所」の荒唐無稽な活動が暴露される。
「当時北朝鮮が麻薬密売をしているというのは公然の秘密だった。1980年代半ばには麻薬原料を生産,製造するところまで作って国家が直接管理するほどであった。
また観光売春の最も大きな犠牲者は女子大生であった。中央党幹部が平壌市内をはじめ主要都市を回って体育,音楽,舞踊,映画などを専攻する若い女子大生を選び出し,そうして選ばれてきた女子大生たちは人物審査を経て国内外に配置され,観光ガイドやコールガールとして活動した。とはいえ,そこでかせいだお金が自分の収入になるのではなかった。彼女たちのチップまで国家に上納した。」
「〈喜び組〉ができたのもこの時分であった。観光売春と喜び組の共通点は,女性を商品化して手段として使うということだ。観光売春が外貨かせぎの手段であるとするなら,喜び組はまさに権力者の性的快楽を充足させるための手段である」
「〈採血組〉。文字通り血をとる人たちのことを指す。そうだ,長寿研究所の中には,一時,採血組というものがあった。これもまた,金日成の無病長寿のためのものであったことは,いうまでもない。採血組をふくめ,金日成の健康のために投入された一群の若者のことをわれわれは「親衛隊決死隊」と呼んでいた。19歳から21歳までの身体頑健な男およそ五百人あまりで構成された親衛隊決死隊は,金日成の体に投与されるすべての食品と注射薬などを先に与えられる実験人間,悪くいえば戦場の弾丸よけのようなものだった。
採血組に抜擢されると,あらかじめ3年ないし6年あまりにわたって身体鍛練訓練を受けねばならない。金日成の老化防止と新陳代謝活性化のため血をささげる採血組が健康でなければ,何の意味もないからだ。金日成の血を若者の血に「血替え」するという発想がいったいどこから来たのか,くわしくは知らないのだが,ともかく金日成は70代後半から3年に一度ずつ輸血を受けた」
これは メッセージ 712 (bosintang さん)への返信です.
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