宮田節子監『植民統治の虚像と実像』
投稿者: bosintang 投稿日時: 2002/09/15 11:23 投稿番号: [1212 / 3669]
最近韓国で出た新刊を紹介します。
宮田節子監修『植民統治の虚像と実像−朝鮮総督府高位官吏の肉声証言−』
(鄭在貞訳,ソウル・ヘアン出版,2002年8月発行)
1958〜59年に,複数の総督府官吏にインタビューした録音を活字化した本です。
次は,巻末の翻訳者後記からの抜粋。
「私はなぜこの本を翻訳出版しようとしたか」(鄭在貞)
まず,一つの時代の政策を設計し,指揮,監督した核心主体が残した肉声録音記録という魅力のゆえだ。朝鮮総監や局長という地位は,総督を補佐し韓国支配を実質的に処理した要職中の要職だ。したがって彼らは,最上級の歴史資料の直接的な生産者だった。彼らの肉声録音がからくも残っており,その一部が活字化され,この本に盛られているということを初めて確かめた瞬間の衝撃を,いまも忘れることができない。
次に,消えてしまいやすい歴史資料を復元・伝授しようという熱情に対する感動のゆえだ。朝鮮総督府高位官吏たちの肉声を収録した人々は,当時,大学4年ぐらいの学生たちだった。彼らは敗戦の傷が完全に癒えない状況で,朝鮮総督府の高位官吏たちと毎週一回も欠かさず500回以上の研究会を開催し,400巻を越える肉声録音資料を作り上げた。こんなすごいことを,どうしてやり遂げられたのか? 歴史を勉強する者の一人として,感服しないわけにはいかない。
三つ目は,原著の証言記録につけられた充実した参考資料と脚注の価値のゆえだ。朝鮮総督府の高位官吏たちが,いくら当代きってのエリート官僚だったとしても,彼らの記憶がすべて正確だとはいえない。これを見越してのことか,原著では,要所要所に各種の機構,法令,年表,人物,事件などについての最近の研究成果をもとに,くどいくらいに親切な説明がつけられている。読者は,これを読むだけでも当時の歴史を大雑把に把握できるだろう。読者の理解を助けるため,翻訳者が原著にない脚注も多数追加したということを記しておく。
四つ目は,わが国でも一日も早く肉声証言の録音記録が続出することを期待する,願いのゆえだ。この肉声証言において,朝鮮総督府高位官吏たちは,植民統治が真心からわき出た善政だったということを繰り返し強調している。当時を生きた二千五百万の韓国人たちも,そのように考えるだろうか? いまこそ口を開いて証言しなければならない。そして記録に残さねばならない。年齢からして当時を証言できる人々は,そう多くは残っていない。彼らが何も言わずに消えたあと,歴史家たちはどんな資料で植民地時代を研究すべきか? いま,韓国史学界では,国内外にちらばった歴史資料を探査するのに没頭している。しかし,もともとない資料はいくら探しても無駄だ。むしろ生きている人間を対象に,証言を聴取し,記録するのがもっと近道だ。歴史資料を探査することより,歴史資料を生産するほうが,もっと重要だという真理を,この本が雄弁に語っているではないか!
この訳者には,次に呉善花さんの『生活者の日本統治時代』を訳してもらいたいですね。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&board=1835396&tid=a2a1a53a5ja5a24xoa2bdqc0ra2a1&sid=1835396&action=m&mid=194&mid=
現時点での韓国人への取材は,やはり「自己保身」の感情が働くだろうから,はたして「真実」を聞き出せるかどうか。
訳者の鄭在貞は1951年生まれ。ソウル大,東大大学院に学び,現在,ソウル市立大学教授。わりと客観的な視点をもった史学者のようです。
放送大学の国史教科書を書いたりもしてますね。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&board=1835396&tid=a2a1a53a5ja5a24xoa2bdqc0ra2a1&sid=1835396&action=m&mid=&mid=748
宮田節子監修『植民統治の虚像と実像−朝鮮総督府高位官吏の肉声証言−』
(鄭在貞訳,ソウル・ヘアン出版,2002年8月発行)
1958〜59年に,複数の総督府官吏にインタビューした録音を活字化した本です。
次は,巻末の翻訳者後記からの抜粋。
「私はなぜこの本を翻訳出版しようとしたか」(鄭在貞)
まず,一つの時代の政策を設計し,指揮,監督した核心主体が残した肉声録音記録という魅力のゆえだ。朝鮮総監や局長という地位は,総督を補佐し韓国支配を実質的に処理した要職中の要職だ。したがって彼らは,最上級の歴史資料の直接的な生産者だった。彼らの肉声録音がからくも残っており,その一部が活字化され,この本に盛られているということを初めて確かめた瞬間の衝撃を,いまも忘れることができない。
次に,消えてしまいやすい歴史資料を復元・伝授しようという熱情に対する感動のゆえだ。朝鮮総督府高位官吏たちの肉声を収録した人々は,当時,大学4年ぐらいの学生たちだった。彼らは敗戦の傷が完全に癒えない状況で,朝鮮総督府の高位官吏たちと毎週一回も欠かさず500回以上の研究会を開催し,400巻を越える肉声録音資料を作り上げた。こんなすごいことを,どうしてやり遂げられたのか? 歴史を勉強する者の一人として,感服しないわけにはいかない。
三つ目は,原著の証言記録につけられた充実した参考資料と脚注の価値のゆえだ。朝鮮総督府の高位官吏たちが,いくら当代きってのエリート官僚だったとしても,彼らの記憶がすべて正確だとはいえない。これを見越してのことか,原著では,要所要所に各種の機構,法令,年表,人物,事件などについての最近の研究成果をもとに,くどいくらいに親切な説明がつけられている。読者は,これを読むだけでも当時の歴史を大雑把に把握できるだろう。読者の理解を助けるため,翻訳者が原著にない脚注も多数追加したということを記しておく。
四つ目は,わが国でも一日も早く肉声証言の録音記録が続出することを期待する,願いのゆえだ。この肉声証言において,朝鮮総督府高位官吏たちは,植民統治が真心からわき出た善政だったということを繰り返し強調している。当時を生きた二千五百万の韓国人たちも,そのように考えるだろうか? いまこそ口を開いて証言しなければならない。そして記録に残さねばならない。年齢からして当時を証言できる人々は,そう多くは残っていない。彼らが何も言わずに消えたあと,歴史家たちはどんな資料で植民地時代を研究すべきか? いま,韓国史学界では,国内外にちらばった歴史資料を探査するのに没頭している。しかし,もともとない資料はいくら探しても無駄だ。むしろ生きている人間を対象に,証言を聴取し,記録するのがもっと近道だ。歴史資料を探査することより,歴史資料を生産するほうが,もっと重要だという真理を,この本が雄弁に語っているではないか!
この訳者には,次に呉善花さんの『生活者の日本統治時代』を訳してもらいたいですね。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&board=1835396&tid=a2a1a53a5ja5a24xoa2bdqc0ra2a1&sid=1835396&action=m&mid=194&mid=
現時点での韓国人への取材は,やはり「自己保身」の感情が働くだろうから,はたして「真実」を聞き出せるかどうか。
訳者の鄭在貞は1951年生まれ。ソウル大,東大大学院に学び,現在,ソウル市立大学教授。わりと客観的な視点をもった史学者のようです。
放送大学の国史教科書を書いたりもしてますね。
http://messages.yahoo.co.jp/bbs?.mm=GN&board=1835396&tid=a2a1a53a5ja5a24xoa2bdqc0ra2a1&sid=1835396&action=m&mid=&mid=748
これは メッセージ 1 (violla_21 さん)への返信です.
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