韓カテ資料室

Yahoo! Japan 掲示板トピックビューアー

[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

上田正昭のお仕事 2

投稿者: toapanlang 投稿日時: 2007/01/05 19:33 投稿番号: [453 / 1474]
(続き)

  さて、気を取り直して、続きを読んでみましょう。
 
6)七支刀下賜説1――先行研究批判
「これまでの研究史で納得のできない点がある。(中略)もっとも重要なことは、これまでの解読者達は、すべてこれを百済王より倭王へ「献上した」「奉った」あるいは「贈った」刀としているが、はたしてそのようなことがこの銘文からいえるかどうか。その点が問題である。」(pp.12-13)
 
  …すでに結論先行してるので、今更問題提起のフリをしても無駄だと思うのですが。
  「帰化人史観」等々と繰り返してきたことからも分かるように、上田は記紀の記述を重視しません。特に七支刀に関する記述は「あくまで記紀の立場にたっての書きぶり」(p.14)として考慮の埒外に置きます。その代わりに出てくるのが、「銘文からいえるか」・「銘文のどこに「献上」、「貢献」、「奉る」、「贈る」の意味があるのか。」(p.14)・「銘文のどこにも倭王に「献上した」刀とすべき証拠はない。」(p.14)という論法、つまり銘文の記述だけからどう理解するのか、という手法です。(金錫亨も同様の手法を用いている。)
  銘文は「依頼・希望」の文章とも読めますんで、「奉る」「贈る」は読み取れるんですけどね。上田は既に「何人も認めねばなるまい。」なんて断言してしまってますので、こんなことは考えません。
 
  さて、再び気を取り直して、続きを読んでみましょう。
 
「私は冒頭に「帰化人史観」「征服史観」がいかに「初期日朝関係」史をゆがめてきたかを究明することが、現在の古代史学に必要であると述べたが、七支刀銘文の解読の歩みにもそのことを痛感する。/栗原氏の論拠をここにとりあげたのに他意はない。大なり小なりそうした視点にたってこれまでの解読がなされてきたのである。」(p.13)
→栗原の「当時の倭と百済との関係からみて(中略)百済がこの七支刀を倭の君主に贈ってくるはずはない」という考察に対して、「断言することはできない」とする。
 
  栗原氏は、いわゆる「東晋下賜説」を唱えた研究者。上田は、「百済がこの七支刀を倭の君主に贈ってくるはずはない」という栗原の論考を「帰化人史観」「征服史観」であると批判し、「下賜説」の論法だけを「百済下賜説」に援用するわけです。となると、実は金錫亨説をそのまま用いているのと大差無いわけですが……
  上田にとって困ったことに、栗原氏に対して「断言することはできない」と批判するだけでは東晋下賜説を否定できません。そこで「「世」の次の字が、はたして「子」かどうか、依然として今後の解読にまつべき余地がある」と言い出します。「世子」と読んでしまうと百済下賜説にとって致命的なのは理解しているようです。このあたりの手法も金錫亨と同一。(そのわりに、東晋の正朔を奉じているのは問題視しないんですが…)。一般的には可能性ではなく妥当性を論述するのが論文。しかし上田式「論文」では可能性こそ枢要です。そういえば李泰鎮も「余地がある」とか口にしてましたねぇ。

7)七支刀下賜説2――「論証」?
「泰和四年すなわち三六九年は、近肖古王が高句麗を討ち、その二年後には平壌に攻め入っている(『三国史記』)(中略)/百済王の政治勢力が結集し、いちだんと高まったおりの作刀である。しかもその銘文の形式は下行文書の形式であって上位者が下位者へ降す文言をとっている。」(p.14)
 
  当然ですが、「三六九年(中略)百済王の政治勢力が結集し、いちだんと高まったおりの作刀」とは、銘文に書いてありません。銘文の記述の分析をしている筈の上田、何故か『三国史記』をもちだします。こういうのを二重規範と言います。
  ちなみに『三国史記』を見ると、369年の戦闘は高句麗が先に攻め入ったため雉城を急襲したもの、371年の戦闘は同じく高句麗が先に攻め入り(百済は伏兵でこれを破る)、同年百済は平壌に攻め入ったものの結局平壌を抜けなかった、というもの。この後百済は、長らく対高句麗は劣勢です。「いちだんと高まった」って、どういう意味でしょうねぇ。対新羅では、366年には新羅に使節を派遣し、368年には新羅に良馬を贈っています。何がどう「いちだんと高まった」のか、これまた良くわかりません。
  上田は何故か、前後関係を全く解説してくれません。いったい何と比較して「いちだんと高まった」のでしょうか。
 
(続く)
[ << 最初のページ | < 前のページ | メッセージリスト | 掲示板表示 | [ メッセージ # ] | 次のページ > | 最後のページ >> ]

Yahoo! Japan 掲示板 アーカイヴ

[検索ページ] (中東) (東亜) (捕鯨 / 捕鯨詳細)