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西ヨーロッパでの生活

投稿者: ditgtedgbbdc 投稿日時: 2002/07/27 17:58 投稿番号: [60943 / 99628]
4 西ヨーロッパでの生活
西ヨーロッパにおけるユダヤ人の解放は、宗教、文化、政治の領域で広範な影響をあたえた。ユダヤ人は、ゆっくりと近代世界の中に自分たちの場を占めていった。ユダヤ人共同体をかこっていたユダヤ教のきびしい伝統の壁が、くずれはじめた。



モーゼス・メンデルスゾーンは、ユダヤ教を宗教としても、また生活方法としても、外の世界に順応させるのに絶大な影響力をあたえた。彼は、モーセ五書をドイツ語に翻訳し、さらにユダヤ人と非ユダヤ人世界の文化的な交流の価値をおしえることによって、のちのユダヤ人がユダヤ人共同体や全世界に文化的貢献をおこなう道をひらいたといえる。その功績のひとつが、ドイツのユダヤ人による改革派ユダヤ教の創始である。

多くのユダヤ人家族は、ユダヤ教を全面的に放棄してキリスト教に改宗し、文化的・市民的なチャンスを拡大しようとした。しかも改宗という行為によって、1世紀前であればまきおこったような容赦ない非難は生じなかったのである。そのような家族のひとつが、メンデルスゾーン自身の孫である有名な作曲家、フェーリクス・メンデルスゾーンの一家だった。ドイツの偉大な詩人ハイネもユダヤ人として生まれた。彼はキリスト教に改宗したが、ユダヤ教への愛着はけっしてすてなかった。イギリスの政治家ディズレーリも、改宗ユダヤ人の息子だった。

西ヨーロッパのどの国でも、アメリカ合衆国でも、ユダヤ人はユダヤ人共同体の一員としてではなく、市民として、また国民文化の担い手として、記念碑的な貢献をおこなった。

たとえば、マルクスは、近代の社会主義・共産主義運動の創始者となった。フランスではベルグソンが、またドイツではコーエンとブーバーが現代哲学に深い影響をあたえた。フロイトは精神分析学の開祖だった。美術の領域では、モディリアニ(イタリア生まれ)、ピサロ(両親はポルトガル系とフランス系)、シャガール(ロシア生まれ)のような画家たちや、ジェイコブ(ヤコブ)・エプスタイン(アメリカ生まれ)、ジャック・リプシッツ(リトアニア生まれ)などの彫刻家たちが国際的に有名になった。アインシュタイン(ドイツ生まれ)は、相対性理論によって物理学と数学の諸理論に革命をおこした。

学芸や事業の多くの分野で、ユダヤ人は、特異ではあるが同等の成員として活躍した。19世紀には、ユダヤ人共同体自体が大きなルネサンスを体験した。「ハスカラー」(ヘブライ語で「啓蒙」の意味)とよばれるこのルネサンスは、東ヨーロッパではじまった。ユダヤ人は、ふたたびヘブライ語で著作をはじめ、ダーウィンやトマス・ハクスリーの新しい生物学にとりくんだ。それどころか、かつては神聖不可侵だったはずの聖書の学問的・科学的解釈にさえ手をつけるユダヤ人もいた。ヘブライ語の詩や、小説や、歴史書が出版され、ヘブライ語は生きた言語として復活した。東ヨーロッパのユダヤ人のイディッシュ語は、メンデレ・モヘル・セトファリーム、シャローム・アレイヘム、ユダ・レブ・ペレツ、ショーレム・アッシュなどの大作家たちによって気品のあるものに発展した。

とりわけユダヤ的な文化復興としてのハスカラー運動は、ユダヤ人の精神的遺産の研究を通じて、パレスティナという故郷への帰還の希望をふたたびもえたたせるうえでも重要な役割をはたした。
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