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自然人類学1

投稿者: ditgtedgbbdc 投稿日時: 2002/07/27 15:23 投稿番号: [60852 / 99628]
III 自然人類学
自然人類学は、おもに人類の進化についての研究、生物体としての人間の研究、人間以外の霊長類の研究をおこなう学問である。

1 人類の進化についての研究
自然人類学の代表的な分野のひとつが人類進化の研究である。古人類学者の一家として有名なリーキー家の業績などは、一般にも広く知られている。とりわけ、1960年代に東アフリカのオルドバイ峡谷から発見されたいくつかの化石人骨は、それまでの人類の生物学的進化についての考え方を大きくかえるものだった。74年にエチオピアで発見された化石人骨アウストラロピテクス・アファレンシスは、「ルーシー」というニックネームで知られているが、370万〜300万年前の最初期の人類の仲間である。

1970年代後半から80年代にかけておこなわれた発掘調査では、人類の直接の祖先であるホモ属が300万〜100万年前までは、猿人アウストラロピテクス属と東アフリカで共存していたという事実が明らかになった。アファレンシスの子孫が2種の生物体にわかれたのであろう。

これら人類の祖先たちは、いずれも二足歩行に適した体つきをしており、手で物をもちはこぶことができた。最近でも、カリフォルニア大学の研究者グループがオルドバイ峡谷で重要な発見をしている。ほりだされた180万年前の化石人骨は、腕や脚の骨の観察から、確実に直立の姿勢で二足歩行をおこなっていたことがわかる。ところが、脳は小さく、身長も低く、「ルーシー」とほとんど差がみとめられない。このように、人類の進化はそれまで考えられていたよりもはるかに複雑な過程をたどっていたようだ。

道具を製作し、使用する能力も、300万年前にさかのぼれることが明らかになっている。最古の簡素な石器をともなう化石人骨が、東アフリカの各地で発見されたのである。道具についての能力は、その後の人類の進化にとって重要な意味をもっている。そこで、この化石人骨は「器用なヒト」という意味のホモ・ハビリスと命名された。今のところホモ・ハビリスがもっとも古いホモ属ということになる。その歯の形態や、道具を使用していたという事実から判断して、肉を食べる機会が多かったと考えられる。これは、菜食だったアウストラロピテクスとの大きな違いである。

人類が最初に進化した場所は、アジアではなくアフリカの可能性が高い。人類の祖先と思われる古い化石人骨は、いずれもアフリカから発見されているし、その種類や数もかなり多くなってきた。ホモ・ハビリスは体が小さく、成人の脳の大きさは平均して750ccにしかならない。最新の発見例は、わずか身長91cmの女性の化石人骨である。

しかし、およそ150万年前になると、同じホモ属でも、かなり体が大きく、脳の大きさも平均で900cc以上になる別種が出現する。この新しい大型のホモ属の化石人骨も、東アフリカから発見されている。それはホモ・エレクトゥスと総称されるもので、おそらく100万年前に、アフリカからヨーロッパやアジアの地へと広がり、さまざまなタイプの石器をはじめとする本格的な道具を製作するようになったと考えられている。

ホモ・エレクトゥスの化石人骨としてもっともよく知られているのは、かつてはピテカントロプスという学名でよばれていたジャワ原人と、北京郊外の周口店で発見され、シナントロプス・ペキネンシスという学名がつけられた北京原人である。これらの原人は東アフリカのホモ・ハビリスよりもはるかに新しい時代の人類であり、その年代は75万〜30万年前とされている。

同じホモ・エレクトゥスの仲間でも、北京原人は、ジャワ原人とくらべると、脳がかなり大きく、平均して1050ccもある。頭骨やその他の骨の特徴からみても、より現生人類に近い。ホモ・エレクトゥスの化石人骨はヨーロッパやアフリカの各地でも発見されており、いっしょに出土する数多くの石器類などの考古学的証拠からは、採集狩猟生活をいとなんでいたことがわかる。周口店の発掘調査では、人類最古の火の使用の痕跡がみとめられ、さらに食人の風習があった可能性も指摘されている。
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