夢の国「イラン」についていろいろ教えて

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第五話 逮捕②

投稿者: hafez0211 投稿日時: 2010/06/15 00:02 投稿番号: [3655 / 3876]
(原因は私の手紙を見たせいなの?)と驚いたが、Mが早口で「面会時間があまりない。君に頼みがある。私の会社を仲間に続けるよう伝えて。ビジネスは順調なんだ、私がいなくても続けられるって言って。だって何も違法なことはしていないんだ。それと君にやってもらいことがあるときは手紙で連絡をするから、便箋、切手を準備して。あと、この人達に連絡を取って欲しい」と言って彼はメモをアルミ板の隙間から私に渡してきて約10分の面会は終了した。
私は、その日からMのメッセンジャーと化した。
ビジネスパートナーには、彼の容疑はオーバーステイだけであるようだと伝えたが、彼らはすっかり怯えてしまい「もう会社はたたむ」と言って聞かなかった。
イスラエル人の女性には、Mの状況を伝えておいた方が良い気がして、仕事帰りに109前の彼女の露天に立ち寄り、英語の辞書を片手に面会の時の様子を説明した。彼女は日本語で「カワイソウ」と言って涙ぐんだ。
私もなんだか悲しくなってきてしまい「そう、かわいそうなの。アンラッキーだったね」と言い、私達はアクセサリーの並ぶ露天の前で抱き合いながらおいおいと泣いた。恋敵だったはずなのに、私にとってはその女性は唯一私の気持ちを共有できる仲間となったのだった。
日本語が全く話せないと思っていたら、片言の日本語は話せるようで「M、ジブン、ケイサツ、行った。ワルクナイだって」と言ってきた。
私にはその暗号のような日本語がすぐに分からなかったが、後日知り合うことになる(Mが参加していた)外国人労働者問題を扱うボランティアの人によると「日本人女性がイタリア人男性にレイプされる事件があり、彼イタリア人に間違えられて署に任意で呼ばれたのよ。私達は行くなって言ったんだけど、私は何もやってません大丈夫ですって言って行っちゃったのよね。なんか妙に自信を持っているところがあって、オーバーステイぐらいでは捕まらないって信じきってたのよ。彼の中ではオーバーステイは犯罪という認識が無かったの。どんなに言っても、ハチ公前交番の警官達はみんなワタシのことを知っていて、世間話をするほどの仲だし、悪いことをしていたら初めてオーバーステイ容疑で別件逮捕して本当の犯罪を調べるんだ、とか考えていたみたいなの」ということだった。
結局レイプ犯のイタリア人では無いということで渋谷署に行った時は捕まらなかったのだが、数日後センター街でレストランを出たところで捕まったことを考えると、目をつけられていたのかもしれない、とその人は言った。
「結婚できない日本人の男とかにとって、外国人の男が日本人の女の人とつきあってたりするのって許せないんじゃない。だからMがイタリア人じゃないと分かった後も目をつけられてたんじゃないかと思うの。大体あの人ハチ公の前でお客さんと待ち合わせすることが多かったから、交番勤務の人とはみんなトモダチになっているんだなんて言っていたけど、好意的な警官もそりゃいたかもしれないけど、みんながみんなそう甘くはないでしょ」とも言われた。

Mと友達づきあいを始めて1ヶ月もしないというのに私と彼は警察の留置所の面会室で、わずか10分ひどいときは5分だけ、それもアルミ板を通し、しかも監視付の中で顔を合わすだけの関係へとなった。
制約のある時間内では、Mの会社をたたむことになったとか、公共料金の支払いがどうだとか、連絡事項を伝えるのが精一杯で(この人とは気が合ったけれども、あと数ヶ月したらサヨナラなんだろうな)と漠然と思った。
Mは私が寂しそうな顔をしていると「大丈夫だよ〜。心配しないでね。警察結構やさしい。みんな親切だから心配ないよ。ほら泣かないで笑って」と励ましてくれ、どちらが囚われの身なのか分からなくなるほど明るい声だった。
あの頃のMの口癖は「なんとかなる」「道はあるはずだから焦らないで」だったことが今では懐かしく思われる。
そしてMは起訴されることになり、小菅の拘置所へと収容先が変わることになった。
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