『立ちすくむ』傍観者以外の何者でもな2
投稿者: jyonnconner 投稿日時: 2006/12/05 03:35 投稿番号: [1246 / 2525]
その朝、私は迷った。
もう散々戦禍は撮影した。これでもかという破壊の跡を撮影した。
葬儀も撮影した。ほんの二日前撮影したばかりだった。ガザ地区の難民キャンプでの銃撃戦で13歳の少年が射殺されたのだった。葬儀には、ハマスや、イスラム聖戦、PFLP、DFLP、ファタハなどの各組織が銃を持って集まった。激しく銃を撃ち放ち、葬列は続いた。
葬儀の後、わずかばかりの少年たちがイスラエル入植地に向かって走ったが、かつてのような投石はなかった。多くの者は葬儀の後、黙りこくって家路についた。
もう葬儀はよかった。これまでも何度も、今回も撮影した。
できれば金曜日、投石を今でも続けているであろうヨルダン川西岸のラマラの町に行こうと思っていた。投石が撮りたかった。イスラエルに対して激しく戦うパレスチナ人たちの姿を収めたかった。
しかしその日、私は再びガザに向かった。
ラマラの投石も日を追って縮小化しているのを知っていたし、もう何度も撮影した。
ガザでの葬儀は17歳の青年のものだったが、彼を撃ったのはイスラエルではなく、パレスチナ警察だった。パレスチナ警察が、パレスチナの組織ハマスのリーダーを逮捕しに行ったとき銃撃戦は起こった。その被害者の葬儀。これまでとは違った葬儀。それを見てみたかった。
ガザとイスラエルを隔てる国境ともいうべきチェックポイント、エレツ検問所。
何度か顔を会わせたことのあるイスラエル兵が言う。
「お前も物好きだな、今ガザは危ないぜ。ハマスはアニマルだ、気をつけろ」
よく言うぜ。ここまでパレスチナを追い込んだのはどっちだ。君は今ガザの各地がどんな状態か知っているのか。君たちの軍隊が破壊した町を見たのか。
私たちはもう何度も交わした、「お前には分からない」という笑みでお互いを見つめた。
彼も平和な日本からわざわざ戦火の中にやってきた自称ジャーナリストの気持ちが分からない。私も、20歳そこそこの若者がいばりくさって通行許可のスタンプを押しているその気持ちが分からない。自国の政府が理不尽な占領を続けていることに鈍感な青年の神経が分からない。
ガザ。ジャバリア難民キャンプ。
ガイドはさっそく私をそこへ連れて行った。目の前を黒いバンが走る。後ろの扉は開けられ、何人もの人間がひしめき合って乗っている。窓からは自動小銃を手にした黒い覆面をした男たちが半身を覗かせている。
病院から遺体を運ぶ車だ。地元のメディアの車が跡を追う。
私のガイドもそれを追う。追いながら昨日何があったか説明する。
今、パレスチナ警察は、イスラエルのプレッシャーの中、過激派の掃討作戦に出ている。
イスラエルのこれ以上の攻撃を食い止めるには、自らが「テロリスト」を摘発しなくてはならない。それが仲介国アメリカの要望だし、イスラエル政府は「もはやアラファトにその力はない」と断定し、独自に「テロリスト狩り」を始めている。イスラエルの軍事的行動をこれ以上拡大させないためにも、自治が顕在であることを示さなくてはならない。
パレスチナ警察は、ジャバリア難民キャンプでハマスのリーダーの逮捕に踏み切った。それに反対した民衆を含んだハマス支持者と銃撃戦になった。17歳の青年が撃たれた。
遺体を運んだ車が今、自宅に向かっている。それからモスク、そしてデモとともに墓地へ。
段取りは分かっていた。
もう何度も見た光景だった。
だが、ガイドが先回りしてバンを迎えようとした時、それは起こった。
パレスチナ警察の前を車が通ろうとしたとき、激しい銃声音が響いた。どちらが先に、どこから撃ったのか、判断もつかないうちにあたりは激しい銃撃戦となった。
葬儀の車を迎えていた群衆が銃撃音の中を逃げる。黒覆面の男たちが、銃を撃ちながら走る。その中を、遺体を板に載せたメンバーが通る。大きな石をパレスチナ警察の車の窓ガラスに投げつけている者もいる。怒号と銃声、サイレンの音。
パレスチナ青年の葬儀の幕開けはこうして始まった。目の前のパレスチナ警察署の中からも反撃しているのだろう。時たま機銃音も響く。
私もカメラを手に走った。音がしてから身をかがめても仕方がないのかもしれないが、なにしろ撃ち手が見えない。時に身をかがめ、辺りの混乱ぶりを眺め、狙いをつけてカメラを回す。逃げ惑う人間もいるが、悠々と歩いている人間もいる。叫ぶ者もいるが、いやに落ち着いて見える者もいる。
まさか撃たれまい。何の保証もないのだが、不思議とそういう気になる。
もう散々戦禍は撮影した。これでもかという破壊の跡を撮影した。
葬儀も撮影した。ほんの二日前撮影したばかりだった。ガザ地区の難民キャンプでの銃撃戦で13歳の少年が射殺されたのだった。葬儀には、ハマスや、イスラム聖戦、PFLP、DFLP、ファタハなどの各組織が銃を持って集まった。激しく銃を撃ち放ち、葬列は続いた。
葬儀の後、わずかばかりの少年たちがイスラエル入植地に向かって走ったが、かつてのような投石はなかった。多くの者は葬儀の後、黙りこくって家路についた。
もう葬儀はよかった。これまでも何度も、今回も撮影した。
できれば金曜日、投石を今でも続けているであろうヨルダン川西岸のラマラの町に行こうと思っていた。投石が撮りたかった。イスラエルに対して激しく戦うパレスチナ人たちの姿を収めたかった。
しかしその日、私は再びガザに向かった。
ラマラの投石も日を追って縮小化しているのを知っていたし、もう何度も撮影した。
ガザでの葬儀は17歳の青年のものだったが、彼を撃ったのはイスラエルではなく、パレスチナ警察だった。パレスチナ警察が、パレスチナの組織ハマスのリーダーを逮捕しに行ったとき銃撃戦は起こった。その被害者の葬儀。これまでとは違った葬儀。それを見てみたかった。
ガザとイスラエルを隔てる国境ともいうべきチェックポイント、エレツ検問所。
何度か顔を会わせたことのあるイスラエル兵が言う。
「お前も物好きだな、今ガザは危ないぜ。ハマスはアニマルだ、気をつけろ」
よく言うぜ。ここまでパレスチナを追い込んだのはどっちだ。君は今ガザの各地がどんな状態か知っているのか。君たちの軍隊が破壊した町を見たのか。
私たちはもう何度も交わした、「お前には分からない」という笑みでお互いを見つめた。
彼も平和な日本からわざわざ戦火の中にやってきた自称ジャーナリストの気持ちが分からない。私も、20歳そこそこの若者がいばりくさって通行許可のスタンプを押しているその気持ちが分からない。自国の政府が理不尽な占領を続けていることに鈍感な青年の神経が分からない。
ガザ。ジャバリア難民キャンプ。
ガイドはさっそく私をそこへ連れて行った。目の前を黒いバンが走る。後ろの扉は開けられ、何人もの人間がひしめき合って乗っている。窓からは自動小銃を手にした黒い覆面をした男たちが半身を覗かせている。
病院から遺体を運ぶ車だ。地元のメディアの車が跡を追う。
私のガイドもそれを追う。追いながら昨日何があったか説明する。
今、パレスチナ警察は、イスラエルのプレッシャーの中、過激派の掃討作戦に出ている。
イスラエルのこれ以上の攻撃を食い止めるには、自らが「テロリスト」を摘発しなくてはならない。それが仲介国アメリカの要望だし、イスラエル政府は「もはやアラファトにその力はない」と断定し、独自に「テロリスト狩り」を始めている。イスラエルの軍事的行動をこれ以上拡大させないためにも、自治が顕在であることを示さなくてはならない。
パレスチナ警察は、ジャバリア難民キャンプでハマスのリーダーの逮捕に踏み切った。それに反対した民衆を含んだハマス支持者と銃撃戦になった。17歳の青年が撃たれた。
遺体を運んだ車が今、自宅に向かっている。それからモスク、そしてデモとともに墓地へ。
段取りは分かっていた。
もう何度も見た光景だった。
だが、ガイドが先回りしてバンを迎えようとした時、それは起こった。
パレスチナ警察の前を車が通ろうとしたとき、激しい銃声音が響いた。どちらが先に、どこから撃ったのか、判断もつかないうちにあたりは激しい銃撃戦となった。
葬儀の車を迎えていた群衆が銃撃音の中を逃げる。黒覆面の男たちが、銃を撃ちながら走る。その中を、遺体を板に載せたメンバーが通る。大きな石をパレスチナ警察の車の窓ガラスに投げつけている者もいる。怒号と銃声、サイレンの音。
パレスチナ青年の葬儀の幕開けはこうして始まった。目の前のパレスチナ警察署の中からも反撃しているのだろう。時たま機銃音も響く。
私もカメラを手に走った。音がしてから身をかがめても仕方がないのかもしれないが、なにしろ撃ち手が見えない。時に身をかがめ、辺りの混乱ぶりを眺め、狙いをつけてカメラを回す。逃げ惑う人間もいるが、悠々と歩いている人間もいる。叫ぶ者もいるが、いやに落ち着いて見える者もいる。
まさか撃たれまい。何の保証もないのだが、不思議とそういう気になる。
これは メッセージ 1245 (jyonnconner さん)への返信です.
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