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ニュース争論:小泉武夫・大久保彩子(1)

投稿者: r13812 投稿日時: 2011/05/23 06:58 投稿番号: [54180 / 62227]
ニュース争論:岐路に立つ、調査捕鯨   小泉武夫氏/大久保彩子氏


  日本が87年から続けてきた南極海などでの調査捕鯨が重大な岐路に立たされている。反捕鯨団体の激しい妨害で事実上、実施が困難になっているためだ。一方、東日本大震災で宮城県石巻市の調査捕鯨船が被災したが、調査捕鯨を復興のシンボルにしようという動きも出ている。捕鯨はどうあるべきか。【立会人・小島正美編集委員、写真・西本勝】

  ◆今やめたら、復活は困難−−東京農大名誉教授・小泉武夫氏

  ◆南極海まで行く必要ない−−東海大海洋学部講師・大久保彩子氏

  ◇外交的な負け

  立会人   反捕鯨団体「シー・シェパード」の妨害で2月半ば、南極海で活動していた調査捕鯨船団が3月末までだった予定を切り上げて帰国することになりました。調査捕鯨は来年以降、どうなるのでしょうか。

  小泉   日の丸を掲げた公海上の船が「怖い、怖い」と言って逃げ出したわけですから、外交的に見て、日本の弱い面を世界にさらけ出したことになりましたね。調査捕鯨は国際条約にのっとった科学的な調査です。このままでは来年も同じことの繰り返しですが、日本は正論を貫き通すべきです。

  大久保   船が引き返したのは乗組員の安全確保もあり、妥当な判断でした。南極海での調査捕鯨をやめれば、シー・シェパードは妨害活動の格好の舞台を失いますから、日本側にプラスでしょう。約8億円もの税金(補助金)を費やして捕ってきても、クジラの肉はあまり売れず、在庫は1年分近い四千数百トンもあるなど、調査捕鯨は消費や産業の現状とあまりにもかけ離れています。調査捕鯨はもう終わってもよい時期です。

  小泉   クジラの肉が高いのは政府の補助金が少な過ぎるからです。もっと支援すれば、値段は安くなって、みんなが食べるようになります。ここで調査捕鯨をやめたら、牛肉を売りたくて仕方のない米国や豪州の思うつぼです。

  大久保   なぜ、多額の税金を投入してまで南極海に行くのでしょうか。仮に商業捕鯨が実現したとしても、どの水産企業も南極海までクジラを捕りに行くことはないと思います。どの企業も参入の意思を表明していないのは採算が合わないからです。

  立会人   補助金がなくても南極海へクジラを捕りに行く企業が現れるかどうか、それはクジラの資源いかんにもよりますね。

  小泉   IWC(国際捕鯨委員会)の科学委員会が認めているように、南半球ではクロミンククジラが約76万頭、マッコウクジラは世界で200万頭もいます。増えたクジラは、人間が食べるサンマ、サケなどを大量に食べ、なんと人間の口に入る魚の約4倍もがクジラに奪われている。北海道沿岸ではサンマやタラがクジラに食べられる漁業被害も出ています。持続可能な範囲内でクジラを捕ったところで、どこからも文句が来る筋合いではない。

  ◇不確かなクジラの数

  大久保   クジラの数の推定値は、計算方法によって大きく異なります。不確かな面が強く、クロミンククジラが増えているのか減っているのか、世界の科学者の間で合意はありません。局地的にクジラによる漁業被害があっても、世界全体で漁業資源がクジラのせいで減っているとはいえません。漁業資源の減少の一番の原因は漁業による乱獲でしょう。

  小泉   欧米の人たちは保護のことばかり言いますが、例えば、米国産牛肉と鯨肉の環境比較をすると、牛肉1キロを作るには10キロ以上の飼料が必要です。その飼料を育てるには肥料や農機具などを作るための化石燃料がいります。また、世界中にいる牛はげっぷを出して、温暖化作用のあるメタンを大量に発生させています。クジラは海で自然に育つので、断然クジラを食べるほうがエコです。調査目的ではなく、公海で堂々と捕ればよいのです。

  大久保   畜産業の方が環境汚染の負荷が大きいのは事実でしょう。ただ、畜産業は日本にもありますし、反捕鯨国を説得する材料としては弱いと思います。
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