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投稿者: bbking2003jp 投稿日時: 2004/10/12 19:38 投稿番号: [4991 / 62227]
船団は一斉に北上を開始した。
3月22日にはオーストラリア東沖まで北上し、気温も24度まで上昇した。操業打ち切りの12日がマイナス11度だったから、10日間で35度の気温差になる。冷房のない船内は、さしずめ人体実験場のような暑さになっていた。
船内新聞が、共同通信社の記事を伝えた。
「政府は20日、米国で北洋漁場での対日漁獲割当削減の制裁をちらつかせて撤退を迫っている日本の商業捕鯨について、米国の要求を受け入れ、IWCの商業捕鯨全面禁止決議への異議申し立てを撤回せざるを得ないとの判断を固めた」
「これによって日本が遅くとも1988年(昭和63年)に商業捕鯨から全面的に撤退することが確実」
このニュースに、船内が大きな衝撃に包まれた。
どの程度まで正確な情報なのか。通信社の独自の見解なのか。土井は船団長をはじめ、多くの人から、こういうケースでの「記事の確度」について盛んに質問を受けた。「会社からは何も言ってこないし・・・」という不安ばかりがつのっているようだった。
一方、ソ連の南氷洋船団は、IWC枠をはるかにオーバーして、約2400頭を捕獲し、なおも操業を続行中というニュースも入ってきたので、船内にはかなり強い意見も出始めていた。
「異議申し立ての閣議決定をしておきながら撤回した。今度もその伝だ。閣議決定とはそんな程度の重さしかないのか」
「かつて世界の海でマッコウ鯨を追っていた米国は、いまは全く捕鯨と手が切れている。それが反捕鯨のお先棒をかついで圧力をかけてくる。自国は何も失うものがないうえ、政治基盤を強めることができるからだ。そんな自国の利益優先の政治戦略に対し、日本はき然とした態度をとるべきではないか」
「安倍外相(当時)が参議院予算委員会で異議申し立て撤回を示唆」 3月26日 船舶ファックス
「捕鯨、今年から不可能か、米政府、頭数協議拒否を通告」 3月27日 船舶ファックス
捕鯨派どうなる?
今後の生活はどうなる?
船内の話題はこの2点に絞られたように、重苦しい雰囲気に包まれていた。
もし、捕鯨禁止となった場合、職を失われた人達はどこへ行けばいいのだろうか?
また、鯨体解剖処理という技術は、その特殊さゆえに他の職場では生かされることがなく、必要とされる職もないまま消えてしまうのだ。
鯨獲りには農漁村の次男三男が多く、夏期就労希望調査においても次のような結果が出ている。
1:会社斡旋、社命を待つ 72人
2:アルバイトをする(自動車運転手、大工、警備員など) 30人
3:監視船乗船を希望 25人
4:家業をする 23人
5:大手水産会社募集のサケマス船乗船を希望 13人
1の「会社斡旋、社命を待つ」が一番多く、その内容は、水産加工会社や缶詰工場などへの季節労務であり、一時的なアルバイトとなんら変わりがない。しかも、平均年齢は約46歳であるために、おいそれと転職できるような年代ではない。
4月5日。
「商業捕鯨からの全面撤退を受け入れることを、1988年春までの操業を条件に表明する」(閣議了承)
これが、日本政府の答えだった。
第3日新丸船団が寄稿して間もなく、東京・愛宕の青松寺で、船団乗組員や捕鯨関係者など多くが参列して「鯨供養会」が開かれた。
3月22日にはオーストラリア東沖まで北上し、気温も24度まで上昇した。操業打ち切りの12日がマイナス11度だったから、10日間で35度の気温差になる。冷房のない船内は、さしずめ人体実験場のような暑さになっていた。
船内新聞が、共同通信社の記事を伝えた。
「政府は20日、米国で北洋漁場での対日漁獲割当削減の制裁をちらつかせて撤退を迫っている日本の商業捕鯨について、米国の要求を受け入れ、IWCの商業捕鯨全面禁止決議への異議申し立てを撤回せざるを得ないとの判断を固めた」
「これによって日本が遅くとも1988年(昭和63年)に商業捕鯨から全面的に撤退することが確実」
このニュースに、船内が大きな衝撃に包まれた。
どの程度まで正確な情報なのか。通信社の独自の見解なのか。土井は船団長をはじめ、多くの人から、こういうケースでの「記事の確度」について盛んに質問を受けた。「会社からは何も言ってこないし・・・」という不安ばかりがつのっているようだった。
一方、ソ連の南氷洋船団は、IWC枠をはるかにオーバーして、約2400頭を捕獲し、なおも操業を続行中というニュースも入ってきたので、船内にはかなり強い意見も出始めていた。
「異議申し立ての閣議決定をしておきながら撤回した。今度もその伝だ。閣議決定とはそんな程度の重さしかないのか」
「かつて世界の海でマッコウ鯨を追っていた米国は、いまは全く捕鯨と手が切れている。それが反捕鯨のお先棒をかついで圧力をかけてくる。自国は何も失うものがないうえ、政治基盤を強めることができるからだ。そんな自国の利益優先の政治戦略に対し、日本はき然とした態度をとるべきではないか」
「安倍外相(当時)が参議院予算委員会で異議申し立て撤回を示唆」 3月26日 船舶ファックス
「捕鯨、今年から不可能か、米政府、頭数協議拒否を通告」 3月27日 船舶ファックス
捕鯨派どうなる?
今後の生活はどうなる?
船内の話題はこの2点に絞られたように、重苦しい雰囲気に包まれていた。
もし、捕鯨禁止となった場合、職を失われた人達はどこへ行けばいいのだろうか?
また、鯨体解剖処理という技術は、その特殊さゆえに他の職場では生かされることがなく、必要とされる職もないまま消えてしまうのだ。
鯨獲りには農漁村の次男三男が多く、夏期就労希望調査においても次のような結果が出ている。
1:会社斡旋、社命を待つ 72人
2:アルバイトをする(自動車運転手、大工、警備員など) 30人
3:監視船乗船を希望 25人
4:家業をする 23人
5:大手水産会社募集のサケマス船乗船を希望 13人
1の「会社斡旋、社命を待つ」が一番多く、その内容は、水産加工会社や缶詰工場などへの季節労務であり、一時的なアルバイトとなんら変わりがない。しかも、平均年齢は約46歳であるために、おいそれと転職できるような年代ではない。
4月5日。
「商業捕鯨からの全面撤退を受け入れることを、1988年春までの操業を条件に表明する」(閣議了承)
これが、日本政府の答えだった。
第3日新丸船団が寄稿して間もなく、東京・愛宕の青松寺で、船団乗組員や捕鯨関係者など多くが参列して「鯨供養会」が開かれた。
これは メッセージ 4990 (bbking2003jp さん)への返信です.
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