BEKOFF「倫理と海洋哺乳類」1
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/09/07 18:41 投稿番号: [47474 / 62227]
Encyclopedia of Marine Mammals, 2nd Edition (2009)
Edited by William F. Perrin, J. G.M. Thewissen and Bernd Wursig
396−402頁
【Ethics and Marine Mammals 倫理と海洋哺乳類】 Marc BEKOFF
|The whale in the sea, like the wolf (Canis lupus) on land,
|constituted not only a symbol of wildness but also a fulcrum
|for projecting attitudes of conquest and utilitarianism and,
|eventually, more contemporary perceptions of preservation and
|protection.
|海のクジラと陸のオオカミは野生のシンボルであるばかりでなく
|征服と功利主義の度合いを反映する秤の要であり、さらに
|最近では保全と保護の感知指標である。
| Stephen R. Kellert R(1996)
第1章 人間と他の動物: 多元的遭遇
人間は好奇心旺盛にして十分におせっかいなもので、われわれの身に
付いた所作や意図、不注意は他の人間や人間以外の動物、植物、水、
大気、非生物的な風景にはなはだしい影響を与える。
われわれの影響というのは往々にして微細であり、長期的な効果として
あらわれる。われわれの動物との関係は複雑で多義的であり、やりがい
のある仕事であったり欲求不満をもたらすような事柄でもある。
人間がどのように動物と相互干渉してゆくのかという倫理的な議論では
重要で難しい問題を多数、真剣に考察することが要求される。
この複雑さは、主観的意見や感情が高進することによって増幅される。
この稿ではこれらの問題がいかに複雑であるかに照明を当てることに
とどめる。
この意味するところは、異なった視角による議論の出発点を提示する
ということである。どの視角が他の視角よりも重要ということではない。
重要なことは、人間と他の動物の相互干渉について議論する場合、
いかなる議論においても倫理が基本的な要素だということにわれわれ
すべてが合意するということである。
(#ここで、「倫理」の存在意義を拒否するとその時点で話はおわりますね。)
私がこのエンサイクロペディア初版(2002年)にこの項目を執筆して
以来、海洋哺乳類を含む多くの海洋生物にとって事態は悪化している。
人間が引き起こした水棲生態系と個々の生物への侵害には、気候変動、
リクリエイションによるもの、過剰捕獲によるものなどがある
(Bekoff,2007a and references therein; see also For cod's sake, act now.
2006; Mackenne, 2006: Osinga and 't Hart, 2006; Raloff, 2006)。
国連食糧農業機関(FAO)は2006年2月に報告を行った。
「最も新しい野生魚類資源に関する世界規模の資源評価によると、
FAOがモニタリングしている主要商用魚約600種のうち、50%が
開発搾取の上限での利用状態であり、25%が過剰搾取(17%)か
枯渇(7%)あるいは枯渇からの回復過程(1%)の状態にある。
20%が穏やかに利用されており、3%だけが低位の利用状態にある」
と記述されている(Food and agricultural organization of the United Nations, 2006)。
もう一つ、漁業活動には目的としない生物種を混獲してしまうという問題
がある。たとえば1990年には約4200万の海洋哺乳類と海鳥がイカ漁、
マグロ漁のために海に浮遊する網で混獲された(Fox, 1997)。
義務づけられているウミガメ排除装置を付けていない漁網を使用した
漁船のために、過去13年間で12万9000頭のヒメウミガメ(Lepidochelys
olivacea)が窒息死した。
2003年に世界自然保護基金(WWF)が発表した報告書によると、
漁網その他の漁具にひっかかって毎日1000頭近くの鯨イルカ類が溺死
している(Verrengia. 2003)。年間30万頭以上が漁業のために死亡して
いるのである。
1986年以来世界的な商業捕鯨モラトリアムがあるにもかかわらず、
日本とアイスランドは彼らが「科学的プログラム」と呼ぶものによって
捕鯨を続けている(#アイスランド調査捕鯨は2007年まで)。
ノルウェーはモラトリアムに異議申し立てをして商業捕鯨を行っている。
(つづく)
Edited by William F. Perrin, J. G.M. Thewissen and Bernd Wursig
396−402頁
【Ethics and Marine Mammals 倫理と海洋哺乳類】 Marc BEKOFF
|The whale in the sea, like the wolf (Canis lupus) on land,
|constituted not only a symbol of wildness but also a fulcrum
|for projecting attitudes of conquest and utilitarianism and,
|eventually, more contemporary perceptions of preservation and
|protection.
|海のクジラと陸のオオカミは野生のシンボルであるばかりでなく
|征服と功利主義の度合いを反映する秤の要であり、さらに
|最近では保全と保護の感知指標である。
| Stephen R. Kellert R(1996)
第1章 人間と他の動物: 多元的遭遇
人間は好奇心旺盛にして十分におせっかいなもので、われわれの身に
付いた所作や意図、不注意は他の人間や人間以外の動物、植物、水、
大気、非生物的な風景にはなはだしい影響を与える。
われわれの影響というのは往々にして微細であり、長期的な効果として
あらわれる。われわれの動物との関係は複雑で多義的であり、やりがい
のある仕事であったり欲求不満をもたらすような事柄でもある。
人間がどのように動物と相互干渉してゆくのかという倫理的な議論では
重要で難しい問題を多数、真剣に考察することが要求される。
この複雑さは、主観的意見や感情が高進することによって増幅される。
この稿ではこれらの問題がいかに複雑であるかに照明を当てることに
とどめる。
この意味するところは、異なった視角による議論の出発点を提示する
ということである。どの視角が他の視角よりも重要ということではない。
重要なことは、人間と他の動物の相互干渉について議論する場合、
いかなる議論においても倫理が基本的な要素だということにわれわれ
すべてが合意するということである。
(#ここで、「倫理」の存在意義を拒否するとその時点で話はおわりますね。)
私がこのエンサイクロペディア初版(2002年)にこの項目を執筆して
以来、海洋哺乳類を含む多くの海洋生物にとって事態は悪化している。
人間が引き起こした水棲生態系と個々の生物への侵害には、気候変動、
リクリエイションによるもの、過剰捕獲によるものなどがある
(Bekoff,2007a and references therein; see also For cod's sake, act now.
2006; Mackenne, 2006: Osinga and 't Hart, 2006; Raloff, 2006)。
国連食糧農業機関(FAO)は2006年2月に報告を行った。
「最も新しい野生魚類資源に関する世界規模の資源評価によると、
FAOがモニタリングしている主要商用魚約600種のうち、50%が
開発搾取の上限での利用状態であり、25%が過剰搾取(17%)か
枯渇(7%)あるいは枯渇からの回復過程(1%)の状態にある。
20%が穏やかに利用されており、3%だけが低位の利用状態にある」
と記述されている(Food and agricultural organization of the United Nations, 2006)。
もう一つ、漁業活動には目的としない生物種を混獲してしまうという問題
がある。たとえば1990年には約4200万の海洋哺乳類と海鳥がイカ漁、
マグロ漁のために海に浮遊する網で混獲された(Fox, 1997)。
義務づけられているウミガメ排除装置を付けていない漁網を使用した
漁船のために、過去13年間で12万9000頭のヒメウミガメ(Lepidochelys
olivacea)が窒息死した。
2003年に世界自然保護基金(WWF)が発表した報告書によると、
漁網その他の漁具にひっかかって毎日1000頭近くの鯨イルカ類が溺死
している(Verrengia. 2003)。年間30万頭以上が漁業のために死亡して
いるのである。
1986年以来世界的な商業捕鯨モラトリアムがあるにもかかわらず、
日本とアイスランドは彼らが「科学的プログラム」と呼ぶものによって
捕鯨を続けている(#アイスランド調査捕鯨は2007年まで)。
ノルウェーはモラトリアムに異議申し立てをして商業捕鯨を行っている。
(つづく)
これは メッセージ 47473 (aplzsia さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/1834578/a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa_1/47474.html