近代捕鯨史第3章:捕鯨産業4a
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/08/29 19:50 投稿番号: [47130 / 62227]
J. N. TONNESSEN
+
A.O. JOHNSEN著
”THE HISTORY OF MODERN WHALING”
44ページ以下
(19世紀スウェーデン生物学者の捕鯨紀行引用部分)
スヴェン・フォインのやり方による捕鯨での出来事を、スウェーデンの
自然科学者、ヘルマン・サンドベルィ(HERMAN SANDBERG)が生々しく
描写している。
有名なハンター、スヴェン・フォインが親切なことに、彼の一番目の蒸気船を
私に貸与してくれた。ムルマンスク沿岸の一海域を調査するという私の目的の
ためにである。動物学的な目的で捕獲をするために、捕鯨用具一式を持って
ゆくことも許された。
出航してみると北西の風が強く、波は高かった。小さな船は揺られて座っている
と居心地が悪いぐらいだった。寝台に横になって居眠りをするのが一番良かった。
モトカフィヨルドの入り口、フィスケリヤの南側まで来ると船長が来て私を
起こした。あたりにはもう鯨がいて潮を噴いていた。しかし風はまだ強すぎ、
捕獲は試みられなかった。いくらかの鯨をやり過ごしながらフィヨルドの
中へ進んでゆくとまもなく平穏に守られた水域となった。しばらくすると
体をくねらせながら小魚の群を大食いしている非常に太ったシロナガスクジラ
を発見した。この小魚はこの水域に大量にいる。鯨が水面にあらわれると
いつも、多数のカモメが目ざとく餌の魚を確保した。鯨が潜水すると、
カモメたちは一斉に鯨の進む方向へ向かった。
鯨が魚の群の中を通り過ぎるときはいつも、彼らは大きな口を開け、群の中で
体をひねった。そして口を閉じ、水を空中へ高く吹き出した。この餌取り
行動は約一時間の間、数分間隔で繰り返された。この鯨の食餌行動を観察
したあと、私は鯨を撃つよう命令を出した。
スヴェン・フォインのキャッチャーボートにはすべて船首に長さ4フィート
のカノン砲がついていた。これはホゾの上に据えられていて、素早く上下左右に
振ることができた。砲は通常の弾薬を充填しており、ガッタパーチャという
ゴム樹脂で詰められていた。、このカノン砲にハプーンが装着されるのだが、
この高性能のハプーンは何年にもわたる高額な実験の結果、フォインが
唯一開発に成功したものだった。ハプーンの柄は非常に強靭な鉄製の
二重シャフトになっている。この後端に輪がついていてこれに最高品質の
大麻で作られたられた5インチ径の綱がつなげられている。この綱は
通常の船舶用大綱の二倍の破壊力に耐えられるように編まれている。
綱はウインチに掛けられているが、このウィンチは蒸気エンジンの
全力で駆動できるようになっており、鯨の動きにあわせて即座に巻き
取ったり解放することができる。
射撃にはスピードと適格性が要求され、これができる砲手はまさに宝である。
しかし最良の砲手でも失敗はする。特に公海である時や、相手がナガスクジラ
の場合だ。ナガスクジラが水面に姿を現すのはほんの短い時間だけだからである。
しかもこれは動きの鈍いシロナガスクジラとくらべて、はるかに素早く、
野性的に行動する。鯨の尾に命中させないように注意しなければならない。
そうなると鯨の強さを弱めること無くこれを船につないでしまうからである。
船は逆巻く海の中を、救いようもなく稲妻のような早さで引き回される
ことになる。
(つづく)
44ページ以下
(19世紀スウェーデン生物学者の捕鯨紀行引用部分)
スヴェン・フォインのやり方による捕鯨での出来事を、スウェーデンの
自然科学者、ヘルマン・サンドベルィ(HERMAN SANDBERG)が生々しく
描写している。
有名なハンター、スヴェン・フォインが親切なことに、彼の一番目の蒸気船を
私に貸与してくれた。ムルマンスク沿岸の一海域を調査するという私の目的の
ためにである。動物学的な目的で捕獲をするために、捕鯨用具一式を持って
ゆくことも許された。
出航してみると北西の風が強く、波は高かった。小さな船は揺られて座っている
と居心地が悪いぐらいだった。寝台に横になって居眠りをするのが一番良かった。
モトカフィヨルドの入り口、フィスケリヤの南側まで来ると船長が来て私を
起こした。あたりにはもう鯨がいて潮を噴いていた。しかし風はまだ強すぎ、
捕獲は試みられなかった。いくらかの鯨をやり過ごしながらフィヨルドの
中へ進んでゆくとまもなく平穏に守られた水域となった。しばらくすると
体をくねらせながら小魚の群を大食いしている非常に太ったシロナガスクジラ
を発見した。この小魚はこの水域に大量にいる。鯨が水面にあらわれると
いつも、多数のカモメが目ざとく餌の魚を確保した。鯨が潜水すると、
カモメたちは一斉に鯨の進む方向へ向かった。
鯨が魚の群の中を通り過ぎるときはいつも、彼らは大きな口を開け、群の中で
体をひねった。そして口を閉じ、水を空中へ高く吹き出した。この餌取り
行動は約一時間の間、数分間隔で繰り返された。この鯨の食餌行動を観察
したあと、私は鯨を撃つよう命令を出した。
スヴェン・フォインのキャッチャーボートにはすべて船首に長さ4フィート
のカノン砲がついていた。これはホゾの上に据えられていて、素早く上下左右に
振ることができた。砲は通常の弾薬を充填しており、ガッタパーチャという
ゴム樹脂で詰められていた。、このカノン砲にハプーンが装着されるのだが、
この高性能のハプーンは何年にもわたる高額な実験の結果、フォインが
唯一開発に成功したものだった。ハプーンの柄は非常に強靭な鉄製の
二重シャフトになっている。この後端に輪がついていてこれに最高品質の
大麻で作られたられた5インチ径の綱がつなげられている。この綱は
通常の船舶用大綱の二倍の破壊力に耐えられるように編まれている。
綱はウインチに掛けられているが、このウィンチは蒸気エンジンの
全力で駆動できるようになっており、鯨の動きにあわせて即座に巻き
取ったり解放することができる。
射撃にはスピードと適格性が要求され、これができる砲手はまさに宝である。
しかし最良の砲手でも失敗はする。特に公海である時や、相手がナガスクジラ
の場合だ。ナガスクジラが水面に姿を現すのはほんの短い時間だけだからである。
しかもこれは動きの鈍いシロナガスクジラとくらべて、はるかに素早く、
野性的に行動する。鯨の尾に命中させないように注意しなければならない。
そうなると鯨の強さを弱めること無くこれを船につないでしまうからである。
船は逆巻く海の中を、救いようもなく稲妻のような早さで引き回される
ことになる。
(つづく)
これは メッセージ 47129 (aplzsia さん)への返信です.
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