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近代捕鯨史第3章:捕鯨産業4b

投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/08/29 19:53 投稿番号: [47131 / 62227]
(19世紀スウェーデン生物学者の捕鯨紀行引用部分・つづき)

捕鯨砲が準備されて火薬が充填される。ハプーンが挿入されて追跡が
はじまる。時々鯨に非常に近くまで接近する。われわれを怖れている
という気配はまったくない。このくじらはほとんどボートと同じ
長さに達し、幅はもっと広い。ものすごい呼吸量は鯨の中に巨大な
力がひめられていることを示している。

ようやく適切な射程距離につけ、砲が発射された。ハプーンはすぐに
鯨の体の中へ消え、即座に麻痺効果を発揮したように見えた。
われわれは皆、鯨が即死したと思ったのだが、その直後に彼は
潜水した。綱が張り、くぐもった音信がハプーン砲身の爆薬が
鯨の体内で爆発したことを伝えた。今一度、鯨は雷に撃たれた
ように静止した。しかしここからワイルドチェイスが始まる。

痛みに荒れ狂って、鯨はあちこちに矢のように突き進む。ある時には
海中に潜り、またある時は浮上する。われわれの船は頻繁に変わる
ペースで左右に振り回される。そのために水が舳先に注ぎかかる。
全員が所定位置についてその存在を示し、リーダーのかすかな指図
にも従う。これは生死を争う闘争だ。鯨が体の周りに円を描いて
海を血に染める。水面に浮上すると巨大な血柱をあげる。

この闘争は鯨が力つきるまで約1時間つづいた。無意識のうちに
鯨は横転し、ある時はわれわれの船に直進して頭の全体が視界に
入ったり、水面に体の三分の一が見えたりした。

この段階が本当に危険な状態である。鯨がもしその膨大な力で
船に頭から衝突すると、ほとんど確実に船には大きな穴があく。
この理由から、常に注意深く観察し、敬意をもった間隔を置くこと
が重要である。まもなく鯨は失血で弱まり、船から降ろしたボート
で近づいて槍を投げて仕留めることが可能になる。

頭に通した丈夫な端綱と巨大な尾に巻いた鎖で鯨は船に引き寄せられる。
ここから6海里の港へともどった。

(スウェーデン人生物学者の引用おわり)
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