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ナガス捕鯨の無謀by森&バターワース推定

投稿者: aplzsia 投稿日時: 2010/05/02 21:12 投稿番号: [43721 / 62227]
というわけで、日本側から唯一出している南極海のナガスクジラ資源動向予測、
森&バターワース2006年論文を見てみましょう。
http://www.iwcoffice.org/_documents/sci_com/workshops/MSYR/Mori-Butterworth-CCAMLR-13-pp217-277.pdf

森さんは当時鯨研に在籍しており、IWC科学委員会にも日本政府派遣科学委員
26名のうちの一名として参加しておられますね。バターワースは南ア派遣
ではなく招待科学委員です。

いちばんわかりやすいのが、48(264)頁の図表です。
ここには森&バターワースの推定式による南半球のシロナガスクジラ、
ミンククジラ、ナガスクジラ、オキアミ、カニクイアザラシの個体数趨勢
がグラフで描かれています。期間は1780年から2480年までですね。

これで、大捕鯨時代以前の自然状態での生息数は、森バターワース推定
だと南半球ナガスクジラ24ー25万頭ですが、その6−7割まで回復
しないと、どんな資源管理論でも商業捕鯨再開はありえないです。

もちろん、南米海域のナガスが増えて全体の数量が初期資源量の7割を
越えたからといって、そこまで回復していないニュージーランド南の
ナガスクジラを捕ったら、ニュージーランドの人は釈然としないでしょう。
当たり前です。

それで本当は、生殖的な関係があり、同じ回遊パターンを示している
各系統群ごとにこういう生息数動態を出さなければいけないのですが、
南半球のナガスやミンククジラについてはまだそういうものが
はっきりしていないです。(これをはっきりさせようとしたら、
非常に多くの個体から細胞を採ってDNAを分類し、発信器付けて
回遊パターンを検知したり、音響マイクで声紋をとって求愛歌の
方言分布を調べるetc.というのがいちばんまともなやり方ですね。)

まあそういうわけで、森&バターワース論文だと、南極周辺を
A海域とP海域の二つに大きく分けて、おおまかな推定をしています。

グラフだと、ピンクで示されているのがアトランティックの略で
A海域、破線で示されているのがパシフィックのP海域、青線がA+Pで
南半球全域の合計ですね。

A海域は大西洋だけでなくインド洋南を含み、P海域はオーストラリア
東部の南からニュージーランド、南米西海岸までの南太平洋です。

日本の調査捕鯨海域はインド洋南のA海域と東オーストラリアNZ
南のP海域にまたがってます。この両方で7割前後にまで回復
しなければナガスクジラの商業捕鯨はありえないということになります。
系群の分離/混合関係がはっきりしてないですからね。

森&バターワース論文、264(pdf48)頁のグラフだと、そこまで
回復するのは2080年前後です。まだ70年あります。

しかもIUCNレッドリストの査定会議では、1)初期資源量が低く
見積もられすぎている、2)地域絶滅した個体群の回復が、
もし有りえたとしても初期には非常に遅いテンポで回復する
はず(#アリー効果)なのだけれど、そのことが考慮されていない
と指摘されてますね。

査定委員の一人であるバターワース自身、この指摘にまともに
答えることができてないです。

というわけで、今回のIWC議長妥協案で日本のナガスクジラ
捕鯨が毎年10頭(A海域東端とP海域西端で交互に各年)
認められたわけですが、これ、まともに考えると「科学的根拠」
まったく無いです。

#「アリー効果」というのは、静岡大学の吉村仁教授が13年ゼミ
とか、素数年の周期で大発生する蝉の謎を解くのに使って最近
国際的な注目を浴びたばかりの数理生物学的なメカニズムですね。
アリーさんが日本の鯉を使ってアリー効果を発見したのはもう
ずいぶん前のことですが。
吉村教授は、「増加率が利子率より低い野生生物は商業的利用に
向かない」という有名な生物資源経済学のテーゼを導き出した
コリン.W.クラーク教授と非常に近い関係にある数理/進化
生物学者です。
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