水産資源管理論
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2009/06/21 07:02 投稿番号: [35931 / 62227]
>冷凍冷蔵技術や新型漁船、強力漁具の近代産業のメンタリティーでの
>導入で乱獲が起こるというのは、RMPによる制限頭数という科学委員会の
>活動の結果を無視したものに思えるのですが、違いますでしょうか?
技術の進歩が急速で、近代産業メンタリティーが伝統的な抑制の掟を
壊すと乱獲が起る、というのは野生生物の採取経済一般について
言えることです。これは鯨にもあてはまりますが、繁殖率の高い生物、
十分注意して獲れば持続的に利用できるイカナゴなどにも当てはまります。
それに対して鯨やウミガメ、屋久杉、珊瑚など、特に成長率が低い
生物の場合、繁殖率が安定的長期利子率より低い局面がある程度
続くと、企業にとっては商業的な意味で絶滅させるほど急速に獲る
ことが合理的になるというメカニズムが働くのです。二重に不利なのね。
これは1980年代のC.W.クラークだと比較的簡単に数学的に
証明していますが、最近ではもっと確率論的に精緻化したり、将来世代
への責任という経済倫理の側面も考慮したりとか、あるいは技術進歩で
代替できることと出来ないことを判別するという、かなり実体的、
質的側面へ踏み込んだミクロ経済学になってます。わりと複雑です。
経済学をあんまり複雑にすると、竹中教授とか本間教授のような
単純明快で、長期的に見ると明らかに破滅的な理屈が流行する原因に
なるので注意が必要なのですが、しょうがないです。
われわれ国民がすこしまともに勉強するしかないです。
>また、IWCの反捕鯨国では「近代産業で大型野生動物の商業利用は
>なりたたねーよ」と主張する国も、シドニー・ホルトがそう主張した
>こともありませんが、どこからそれが理由だ、と思われたんでしょうか?
>「シドニー・ホルト 大型野生動物 資源管理論」でググッても
>参考になるものを見つけられませんでした。
国際捕鯨委員会・科学委員会に提出されたシドニー・ホルトの論文
SC/29/Doc 17に書いてあります。
それまでIWCで資源管理の根幹になっていたのはMSY理論
とでも言うべきものなのですが、たとえば果物の樹でも似たような
ことありますけど、ある程度刈り込んでやったほうが生産性が
上がるというところに着目した管理論ですね。
これがどうやらヒラメやイカナゴなど、大量に増えて大量に死んだり
食われたりということをあたりまえのように何百万年もやってる
生物だとうまくゆくけど、鯨やウミガメではそうはゆかない
ということがわかったのです。
以前のMSY(最大持続生産量)理論というを水産学の分野で明快に
理論化したというのは、ホルト自身が同僚のR. J.Bevertonと一緒に
1950年代にやったことだし、それを捕鯨の世界に持ち込んだのも
ホルトなのだから、ある意味これは自己批判なんですがね。
まともな学者だったらそういうことは精力的にやりますね。
ホルトの論文、さわりのところ貼っときます。
REP. INT. WHAL. COMMN 28,1978 p.191
SC/29/Doc 17
Some Implications of Maximum Sustainable Net Yield as a
Management Objective for Whaling
S. J. Holt (FAO/UNEP Marine Mammal Project)
Provision for MSY is an economically desirable objective of
management of fishing and whaling only in very special
cases, if ever.
If the rate of discount is high enough in relation to the
rate of natural increase of the stock, it may pay an
exploiter in the long run, as weli as in the short run, to
conduct whaling more intensively, and not necessarily
sustainably, than wòuld be called for by an MSY policy
(Clark, 1976). However, if the capital costs of whaling
vessels have already been recovered by previous highiy
profitable whaling, during which initial stocks were
depleted, it may be useful to consider the case of zero
discount rate and simply compare the values of catches
with the costs of operation and maintenance of vessels, as
was done by Beverton and Holt (1951) and by S. Gordon,
and A. Scott (Anderson, 1975) in earlier fisheries literature
on bioeconomic modelling.
>導入で乱獲が起こるというのは、RMPによる制限頭数という科学委員会の
>活動の結果を無視したものに思えるのですが、違いますでしょうか?
技術の進歩が急速で、近代産業メンタリティーが伝統的な抑制の掟を
壊すと乱獲が起る、というのは野生生物の採取経済一般について
言えることです。これは鯨にもあてはまりますが、繁殖率の高い生物、
十分注意して獲れば持続的に利用できるイカナゴなどにも当てはまります。
それに対して鯨やウミガメ、屋久杉、珊瑚など、特に成長率が低い
生物の場合、繁殖率が安定的長期利子率より低い局面がある程度
続くと、企業にとっては商業的な意味で絶滅させるほど急速に獲る
ことが合理的になるというメカニズムが働くのです。二重に不利なのね。
これは1980年代のC.W.クラークだと比較的簡単に数学的に
証明していますが、最近ではもっと確率論的に精緻化したり、将来世代
への責任という経済倫理の側面も考慮したりとか、あるいは技術進歩で
代替できることと出来ないことを判別するという、かなり実体的、
質的側面へ踏み込んだミクロ経済学になってます。わりと複雑です。
経済学をあんまり複雑にすると、竹中教授とか本間教授のような
単純明快で、長期的に見ると明らかに破滅的な理屈が流行する原因に
なるので注意が必要なのですが、しょうがないです。
われわれ国民がすこしまともに勉強するしかないです。
>また、IWCの反捕鯨国では「近代産業で大型野生動物の商業利用は
>なりたたねーよ」と主張する国も、シドニー・ホルトがそう主張した
>こともありませんが、どこからそれが理由だ、と思われたんでしょうか?
>「シドニー・ホルト 大型野生動物 資源管理論」でググッても
>参考になるものを見つけられませんでした。
国際捕鯨委員会・科学委員会に提出されたシドニー・ホルトの論文
SC/29/Doc 17に書いてあります。
それまでIWCで資源管理の根幹になっていたのはMSY理論
とでも言うべきものなのですが、たとえば果物の樹でも似たような
ことありますけど、ある程度刈り込んでやったほうが生産性が
上がるというところに着目した管理論ですね。
これがどうやらヒラメやイカナゴなど、大量に増えて大量に死んだり
食われたりということをあたりまえのように何百万年もやってる
生物だとうまくゆくけど、鯨やウミガメではそうはゆかない
ということがわかったのです。
以前のMSY(最大持続生産量)理論というを水産学の分野で明快に
理論化したというのは、ホルト自身が同僚のR. J.Bevertonと一緒に
1950年代にやったことだし、それを捕鯨の世界に持ち込んだのも
ホルトなのだから、ある意味これは自己批判なんですがね。
まともな学者だったらそういうことは精力的にやりますね。
ホルトの論文、さわりのところ貼っときます。
REP. INT. WHAL. COMMN 28,1978 p.191
SC/29/Doc 17
Some Implications of Maximum Sustainable Net Yield as a
Management Objective for Whaling
S. J. Holt (FAO/UNEP Marine Mammal Project)
Provision for MSY is an economically desirable objective of
management of fishing and whaling only in very special
cases, if ever.
If the rate of discount is high enough in relation to the
rate of natural increase of the stock, it may pay an
exploiter in the long run, as weli as in the short run, to
conduct whaling more intensively, and not necessarily
sustainably, than wòuld be called for by an MSY policy
(Clark, 1976). However, if the capital costs of whaling
vessels have already been recovered by previous highiy
profitable whaling, during which initial stocks were
depleted, it may be useful to consider the case of zero
discount rate and simply compare the values of catches
with the costs of operation and maintenance of vessels, as
was done by Beverton and Holt (1951) and by S. Gordon,
and A. Scott (Anderson, 1975) in earlier fisheries literature
on bioeconomic modelling.
これは メッセージ 35896 (karamiseibun さん)への返信です.
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