Re: 非捕殺調査による食性研究の例
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2009/05/14 07:52 投稿番号: [34452 / 62227]
http://www.iwcoffice.org/_documents/sci_com/workshops/climate%20change/SC-60-BRG23.pdf
SC/60/BRG23 つづき
[背 景]
<摂食行動の指標としての髭板>
安定同位元素の地域的な違いは鳥類や鯨類を含む哺乳類など、多くの生物種
の回遊、渡りのパターンを特定するために用いられてきた(Rubenstein and Hobson,
2004; Kunito et al., 2000; Schell et al., 1989; Abend and Smith, 1997; Schoeninger et
al.,1999)。
シェルその他(1989)はホッキョククジラの髭板中に見られる炭素13比率の
サイクルを記録し、これらの値が鯨の回遊経路、ベーリング海、チュクチ海、
ボーフォール海それぞれの餌種の値と一致するということを示した。
ベスト&シェル(1996)はミナミセミクジラの髭板も年周同位体サイクルを
示し、成熟した鯨の髭板は6−7年分の南大西洋での摂食経過を記録している
と報告した。ベスト&シェル(1996)はこれら南アフリカの髭板の年次サイクル
が、定期的な亜熱帯収束線(Subtropical convergence;STC)の横断に
対応しているという仮説を提起した。
ロウントゥリーその他(2001)はアルゼンチン、ヴァルデス半島の7枚の髭板の
平均同位体比を報告した。ロウントゥリーその他(2001)が見いだしたのは、
アルゼンチンの4枚の髭板は南アフリカの6枚の髭板と似た平均値を示したのに
対し、他の3枚はより高い平均値を示したということだった。
<なぜ海洋のδ13C(炭素13比率)は摂食ロケイションの良い指標なのか>
異なった質量の同位元素は様々な生物学的、生理学的プロセスに対して違った
形で反応する。これが地域に独特の源泉比率を作り出し、さらに食物連鎖が
これを増幅する(代謝経路によってしばしば予測可能な小さな相殺効果をともなう)。
一次生産者と水温が炭素の安定同位体比率に影響を与える。藻類は光合成のために
軽い二酸化炭素分子を用いることを選好する(12CO2)。この結果有機物の分子は
質量12の炭素に富むことになる(従って質量13の炭素は低減する)。
この光合成による「有機的分断化」が、海の中の一次生産者によって合成された
有機分子の13C/12C比率を、水に溶けた無機のCO2での比率よりも低いものに
する。(同位元素比率は伝統的にδ13Cと表示される。これの単位は千分の一比率
であり、‘‰’ あるいはパーミルと表記される。)
水温が一次生産者の行う有機的分断過程の強度を変化させることにより、 δ13Cの
値に影響を与える。高温では海水に溶け込むCO2の量が相対的に少なく、光合成
をするプランクトンが利用できる量が相対的に少ない。この条件化では分断化が
比較的弱い。植物性プランクトンが利用できるCO2のほとんどを利用しようと
するからである。低温ではCO2はより容易に水溶し、光合成をするプランクトン
に利用できる量が多い。その結果分断化は堅実に起る。温度と水面のCO2量を
つなぐこのプロセスの帰結として一次生産者の炭素同位体比(δ13C、これは
13C/12Cを反映する)は緯度が上がるにつれて低下する。
補食者の組織から計測される同位元素比率は、被食者の値を反映し、これには
軽度の(しかし予測可能な)相殺が伴っている(Kelly, 2000)。この「汝は汝の
食するものの如きである」原則にもとづき、δ13Cは摂食地と餌種を特定するために
用いられてきた。消費者の同位体比と潜在的な食物の同位対比を照合する
というやりかたによってである(Hobson,1999)。
炭素が捕食者の組織に同化されるにあたり、より軽い同位体(12C)が優先的に
多くの代謝過程に使用されるため、消費者の組織に残る13C/12C比はその食物より
約1‰高い(Deniro and Epstein, 1978; Fry and Sherr, 1984)。しかし最近の論文に
よると、ケラチンの豊富な組織(髪の毛や髭板)ではこの分断化効果が高く、
3‰になるとされている(Cerling et al., 2004)。
SC/60/BRG23 つづき
[背 景]
<摂食行動の指標としての髭板>
安定同位元素の地域的な違いは鳥類や鯨類を含む哺乳類など、多くの生物種
の回遊、渡りのパターンを特定するために用いられてきた(Rubenstein and Hobson,
2004; Kunito et al., 2000; Schell et al., 1989; Abend and Smith, 1997; Schoeninger et
al.,1999)。
シェルその他(1989)はホッキョククジラの髭板中に見られる炭素13比率の
サイクルを記録し、これらの値が鯨の回遊経路、ベーリング海、チュクチ海、
ボーフォール海それぞれの餌種の値と一致するということを示した。
ベスト&シェル(1996)はミナミセミクジラの髭板も年周同位体サイクルを
示し、成熟した鯨の髭板は6−7年分の南大西洋での摂食経過を記録している
と報告した。ベスト&シェル(1996)はこれら南アフリカの髭板の年次サイクル
が、定期的な亜熱帯収束線(Subtropical convergence;STC)の横断に
対応しているという仮説を提起した。
ロウントゥリーその他(2001)はアルゼンチン、ヴァルデス半島の7枚の髭板の
平均同位体比を報告した。ロウントゥリーその他(2001)が見いだしたのは、
アルゼンチンの4枚の髭板は南アフリカの6枚の髭板と似た平均値を示したのに
対し、他の3枚はより高い平均値を示したということだった。
<なぜ海洋のδ13C(炭素13比率)は摂食ロケイションの良い指標なのか>
異なった質量の同位元素は様々な生物学的、生理学的プロセスに対して違った
形で反応する。これが地域に独特の源泉比率を作り出し、さらに食物連鎖が
これを増幅する(代謝経路によってしばしば予測可能な小さな相殺効果をともなう)。
一次生産者と水温が炭素の安定同位体比率に影響を与える。藻類は光合成のために
軽い二酸化炭素分子を用いることを選好する(12CO2)。この結果有機物の分子は
質量12の炭素に富むことになる(従って質量13の炭素は低減する)。
この光合成による「有機的分断化」が、海の中の一次生産者によって合成された
有機分子の13C/12C比率を、水に溶けた無機のCO2での比率よりも低いものに
する。(同位元素比率は伝統的にδ13Cと表示される。これの単位は千分の一比率
であり、‘‰’ あるいはパーミルと表記される。)
水温が一次生産者の行う有機的分断過程の強度を変化させることにより、 δ13Cの
値に影響を与える。高温では海水に溶け込むCO2の量が相対的に少なく、光合成
をするプランクトンが利用できる量が相対的に少ない。この条件化では分断化が
比較的弱い。植物性プランクトンが利用できるCO2のほとんどを利用しようと
するからである。低温ではCO2はより容易に水溶し、光合成をするプランクトン
に利用できる量が多い。その結果分断化は堅実に起る。温度と水面のCO2量を
つなぐこのプロセスの帰結として一次生産者の炭素同位体比(δ13C、これは
13C/12Cを反映する)は緯度が上がるにつれて低下する。
補食者の組織から計測される同位元素比率は、被食者の値を反映し、これには
軽度の(しかし予測可能な)相殺が伴っている(Kelly, 2000)。この「汝は汝の
食するものの如きである」原則にもとづき、δ13Cは摂食地と餌種を特定するために
用いられてきた。消費者の同位体比と潜在的な食物の同位対比を照合する
というやりかたによってである(Hobson,1999)。
炭素が捕食者の組織に同化されるにあたり、より軽い同位体(12C)が優先的に
多くの代謝過程に使用されるため、消費者の組織に残る13C/12C比はその食物より
約1‰高い(Deniro and Epstein, 1978; Fry and Sherr, 1984)。しかし最近の論文に
よると、ケラチンの豊富な組織(髪の毛や髭板)ではこの分断化効果が高く、
3‰になるとされている(Cerling et al., 2004)。
これは メッセージ 34451 (aplzsia さん)への返信です.
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