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Re: “泥沼状態(何も決まらない)”

投稿者: r13812 投稿日時: 2009/04/09 23:37 投稿番号: [33219 / 62227]
http://kaiseki.ori.u-tokyo.ac.jp/~katukawa/blog/2007/11/post_237.html

さらに問題なのは、生態系モデルをつかって、クジラ害獣論を主張したことだ。
多少なりとも種間関係を含むモデルを扱った人間なら、
生態系モデルがいかに厄介な代物かを知っているだろう。
パラメータの設定によって、直感と逆の結果も簡単に出てくるのである。
生態系モデルのような大規模なものだと、数字の上では何でも起こりうる。
生態系の中にはほとんど情報がない生物が数多くいる。
商業利用される魚の量すらまともに推定できないのに、
漁業の対象とならない種なんて、情報がほとんど無いのである。
結局、こういう種は適当なパラメータを入れざるを得ないのだが、
この部分をどうするかで、最終的な結果は変わってしまうのである。
パラメータをいじれば、クジラがいることで生態系が安定するという結論だって導けるだろう。

生態系モデルを使い出したら最後、不確実性を巡る泥沼に足を踏み入れることになる。
こうなれば、「アレがわからない、これがわからない、だから調べましょう」と言って、
いくらでも時間を稼ぐことが可能になる。
それが如何に無益かは、新管理方式(New Mamangement Procedure)ので経験済みだろう。
以前提案されたNMPは、ベストな個体数推定値を元に、漁獲枠を決定する方式であった。
科学者委員会では、何がベストな個体数推定値かで揉めて、結局は漁獲枠を出せなかったのである。
個体数を推定する場合にも、様々な不確実性があり、計算の設定を一意的に決めることは出来ない。
日本はできるだけ個体数が増えるような設定を探し、英米はできるだけ個体数が減るような設定を探した。
こういうことをやれば、同じデータを使っても、でてくる結果には大きな差が出てくる。
双方が譲らなければ、何も決まらないのである。
この膠着状態を何とかしようということで、調査データを入力すれば漁獲枠が計算できる方式に変更された。
これが改訂管理方式(Revised Management Procedure)である。
せっかく科学者グループがRMPを完成させて、科学的に漁獲枠を計算できる状況になったのに、
生態系モデルを持ち出せば、もとのグダグダに逆戻りしてしまう。


「パラメータの設定によって結果が大きく変わるから、生態系モデルは信用ならない。
だから、単一種で頑健なRMPをつかいましょう」と言えるように準備しておくべきなのだ。
日本として必要なことは、生態系モデルの泥沼に引きずり込まれないような防御策であって、
自ら生態系モデルをつかって何かを主張することではないのである。
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