キンメダイ業者との確執/イルカ
投稿者: r13812 投稿日時: 2009/04/02 07:04 投稿番号: [32956 / 62227]
・科学的にはまだ「よく分かってない」ってこと。
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遠洋リサーチ&トピックス 5 (平成21年2月)
http://fsf.fra.affrc.go.jp/enyo_rt/rt5.pdf
小型鯨類による漁業被害 岩粼俊秀
小型鯨類による漁業被害とは?
小型鯨類による漁業被害は、漁具に掛かった漁獲物を奪
う場合と、魚群を追い散らして漁場を奪う場合の二つと考え
られる。漁獲対象種を捕食するとしても漁業活動と時間空間
を異にする競合の問題とはとりあえず切り分けておきたい。
近年、被害軽減のための対策を求める声は強く、18年度遠
洋漁業専門特別部会を機会に一都四県のキンメダイ漁業と
の接点が増えた。19年度に東京都、神奈川県、静岡県の研
究者・漁業者への聴き取りを実施した。
聴き取りと資料から
キンメダイの漁業(たて縄および底立延縄)は深い水深帯
(300m以上)で行われる漁業であるため、聴き取り調査か
らも加害鯨種を現認した例は非常に少なかった。しかし魚探
には大型動物に共通の「へ」の字型の像が現れる。また、サ
メ類は魚と漁具を奪い、鯨類は自傷しないように漁具を残し
て魚のみを奪う。漁場周辺海面に現れる鯨体も観察されてお
り、聴き取りと数少ない映像からはハンドウイルカが含まれ
ることは特定できたが、他にも複数の候補鯨種がある。海域
としては伊豆半島東岸と伊豆諸島に顕著と見られる。中でも
伊豆諸島周辺の漁場は複数都県が利用しており(近年最も漁
獲が期待できる)、被害の申告が顕著のようである。周年で
影響を与えている模様。平成19年の水産庁調査によれば、
太平洋南部キンメダイ資源に鯨類等による漁業被害が起こり
始めたとされるのは10-15年前である。また多くの被害漁業
者は、「いるかは増えている」と主張している。遠洋水産研究
所の鯨類目視調査からは、黒潮系のいるか漁業対象種の資
源量として1983-91年データによるものと1998-2001年データ
によるものとが得られている。しかし後者の推定精度が低い
(変動係数が大きい)、調査海域が必ずしも同じでないこと
などから、資源量の変動は検出されていない。一方、学習の
効果は考えられる。また、レジームシフトがこの間にあったこ
とから餌生物の種類や分布の変化に応じて鯨類の分布が変
化した可能性もある(検証不能か)。さらに、キンメダイの漁
獲高は平成3年の11千トンをピークに、現在では6-8千トンに
まで減少している。資源評価は「中位、横ばい」とされている。
漁業被害は当初から見られたものの、この漁獲減少期に入っ
て顕著になったとも解釈でき、漁業者の中には、この考えを
認める方もいる。
決め手に欠ける対策
対策として漁業者は「捕獲(駆除)」を最も強く要望してい
る。具体的には、静岡県のキンメ漁業者は、あまり利用されて
いない同県追い込み漁業枠の転用を求めており、東京都の
漁業者は、実態はなかったが名目上存在したいるか突きん棒
漁業の復活を求めている。捕獲を伴わない防除法をいくつか
列挙する。いずれも音響的な手法であるが決め手には欠ける
のが現状である。
a. いるか追い込み用鉄パイプの乱打
複数船がハンマーで乱打するとエコーロケーションを混乱
させるのか群れが固まる。一定の効果があると思われるが一
人乗りの漁船では使用困難。
b. 水中発音弾(通称音玉と呼ばれる爆竹)
一定の効果あるも翌日にはまた被害。
c. ランダムスペクトルの超音波ピンガー
複数県が試行中なるも効果は未判明。鯨類に学習させ、
誘引する危険も。
これらの他、当研究所の西田国際海洋資源研究員を中心
にまぐろ延縄漁業の被害防止漁具開発が進められている。
成果に期待したい。
おわりに
水産庁は平成19年に一都四県が漁獲する太平洋南部キン
メダイ資源について資源回復計画を策定した。もちろん資源
回復が最優先課題なので、リソースが限られる中で漁業被害
対策を追求しすぎると本題がおろそかになりはしないかと勝
手な心配をしている。また対象資源や漁法によって漁業被害
の実態や対策が異なることは容易に推察できる。筆者は現
在長崎県壱岐地方のスルメイカ、ケンサキイカ漁業の被害対
策にも関わっている。どのような実態があるのか比較してゆ
きたい。
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遠洋リサーチ&トピックス 5 (平成21年2月)
http://fsf.fra.affrc.go.jp/enyo_rt/rt5.pdf
小型鯨類による漁業被害 岩粼俊秀
小型鯨類による漁業被害とは?
小型鯨類による漁業被害は、漁具に掛かった漁獲物を奪
う場合と、魚群を追い散らして漁場を奪う場合の二つと考え
られる。漁獲対象種を捕食するとしても漁業活動と時間空間
を異にする競合の問題とはとりあえず切り分けておきたい。
近年、被害軽減のための対策を求める声は強く、18年度遠
洋漁業専門特別部会を機会に一都四県のキンメダイ漁業と
の接点が増えた。19年度に東京都、神奈川県、静岡県の研
究者・漁業者への聴き取りを実施した。
聴き取りと資料から
キンメダイの漁業(たて縄および底立延縄)は深い水深帯
(300m以上)で行われる漁業であるため、聴き取り調査か
らも加害鯨種を現認した例は非常に少なかった。しかし魚探
には大型動物に共通の「へ」の字型の像が現れる。また、サ
メ類は魚と漁具を奪い、鯨類は自傷しないように漁具を残し
て魚のみを奪う。漁場周辺海面に現れる鯨体も観察されてお
り、聴き取りと数少ない映像からはハンドウイルカが含まれ
ることは特定できたが、他にも複数の候補鯨種がある。海域
としては伊豆半島東岸と伊豆諸島に顕著と見られる。中でも
伊豆諸島周辺の漁場は複数都県が利用しており(近年最も漁
獲が期待できる)、被害の申告が顕著のようである。周年で
影響を与えている模様。平成19年の水産庁調査によれば、
太平洋南部キンメダイ資源に鯨類等による漁業被害が起こり
始めたとされるのは10-15年前である。また多くの被害漁業
者は、「いるかは増えている」と主張している。遠洋水産研究
所の鯨類目視調査からは、黒潮系のいるか漁業対象種の資
源量として1983-91年データによるものと1998-2001年データ
によるものとが得られている。しかし後者の推定精度が低い
(変動係数が大きい)、調査海域が必ずしも同じでないこと
などから、資源量の変動は検出されていない。一方、学習の
効果は考えられる。また、レジームシフトがこの間にあったこ
とから餌生物の種類や分布の変化に応じて鯨類の分布が変
化した可能性もある(検証不能か)。さらに、キンメダイの漁
獲高は平成3年の11千トンをピークに、現在では6-8千トンに
まで減少している。資源評価は「中位、横ばい」とされている。
漁業被害は当初から見られたものの、この漁獲減少期に入っ
て顕著になったとも解釈でき、漁業者の中には、この考えを
認める方もいる。
決め手に欠ける対策
対策として漁業者は「捕獲(駆除)」を最も強く要望してい
る。具体的には、静岡県のキンメ漁業者は、あまり利用されて
いない同県追い込み漁業枠の転用を求めており、東京都の
漁業者は、実態はなかったが名目上存在したいるか突きん棒
漁業の復活を求めている。捕獲を伴わない防除法をいくつか
列挙する。いずれも音響的な手法であるが決め手には欠ける
のが現状である。
a. いるか追い込み用鉄パイプの乱打
複数船がハンマーで乱打するとエコーロケーションを混乱
させるのか群れが固まる。一定の効果があると思われるが一
人乗りの漁船では使用困難。
b. 水中発音弾(通称音玉と呼ばれる爆竹)
一定の効果あるも翌日にはまた被害。
c. ランダムスペクトルの超音波ピンガー
複数県が試行中なるも効果は未判明。鯨類に学習させ、
誘引する危険も。
これらの他、当研究所の西田国際海洋資源研究員を中心
にまぐろ延縄漁業の被害防止漁具開発が進められている。
成果に期待したい。
おわりに
水産庁は平成19年に一都四県が漁獲する太平洋南部キン
メダイ資源について資源回復計画を策定した。もちろん資源
回復が最優先課題なので、リソースが限られる中で漁業被害
対策を追求しすぎると本題がおろそかになりはしないかと勝
手な心配をしている。また対象資源や漁法によって漁業被害
の実態や対策が異なることは容易に推察できる。筆者は現
在長崎県壱岐地方のスルメイカ、ケンサキイカ漁業の被害対
策にも関わっている。どのような実態があるのか比較してゆ
きたい。
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