Re: 「WEDGE」谷口氏に捕鯨協会長中島氏が
投稿者: aplzsia 投稿日時: 2009/03/19 09:03 投稿番号: [32754 / 62227]
いろいろな方向へ自由連想が発展しているようですが、とりあえず実証的に
以前一部だけ引用した1974年IWC科学委員会の報告から、南半球ミンククジラ
に関する項目を全文紹介しておきます。
Minke Whales
18. There are no new stook analyses for this population though SC/26/8 provides
sighting data of minke whales. This population as a whole is almost unexploited
but there is little information about the status of possible subpopulations.
The Committee was unable to reach any conclusion on stock size or MSY estimates
and therefore is unable to advise the Commission on a scientific basis. The
Committee recalls the principles of paragraph 10 but advises caution in setting
any quota. It further suggests that an interim safe harvest of such a population
would be no more than 5% of the exploitable population. This can be calculated
as 46% of the 300,000 figure for the total population used last year (IWC/24 p42).
This would give a maximum safe quota of about 7,000.
(南半球)ミンククジラ
18.SC/26/8 はミンククジラの目視データを提供しているが、この個体群についての
新たなストック(資源/系群)分析はない。
この個体群は全体としてほとんど開発(捕獲)されておらず、下位個体群に関する
情報はほとんどない。
科学委員会は系群/資源サイズあるいは最大持続捕獲高推定の結論に到達する
ことができず、したがって国際捕鯨委員会(総会)に対して科学にもとづいた
助言を行うことができない(unable to advice)。
科学委員会は第10条の原則を想起し、しかしあらゆる捕獲枠の設定に注意を
要することを助言(advises)する。
科学委員会はさらに、このような個体群に対する暫定的な安全捕獲は捕獲可能
個体数(exploitable population)の5%を越えないことを示唆する。
この捕獲可能個体数は、昨年用いられた総個体数概数30万(IWC/24 p42)の46%
として計算される。
これにより最大安全捕獲枠は約7000頭となる。
(IWC,Twenty-fifth Report of the Commission 1975年刊行/65頁)
=========以上引用おわり===========
環境収容力いっぱい近くにいる海洋野生生物はほとんど増加しない。
環境収容力より低いレベル(たとえば60%程度)の時に海洋野生生物は
最大の増加率を示す。
従ってこのレベルで安定的に捕り続けると産業的生産高が長期的に最大化する。
このレベルを「MSYレベル」と名付ける。
これが1957年に英国王室印刷局から出版されたビヴァートン=ホルト理論の
核心です(Beverton R.J.H., Holt S.J., On the Dynamics of Exploited
Fish Populations, Her Majesty's Stationery Office, London, 1957.)
ホルトが「3人委員会」の一人としてIWCに派遣されて以来1970年代前半に
かけて、この理論がIWCの鯨類管理の基本になっています。
従って環境収容力(100)からMSYレベル(60)まで獲り降ろして行く過程
では、必ずしも現在量の増分を正確に捕獲するという必要はありません。
(というか、100に近いところでは、増分が少なすぎるのだわ)
そういうわけで、1974年の科学委員会で暫定捕獲枠算出の分母として
初期資源量を選んだことに理論上の不都合はまったく無いです。
従ってホルトもそのことに異議を差し挟んではいません。
問題の一つは捕鯨開始年次(=初期資源量とみなす年)が海区によって違う
のに正木論文をベースにした1975年推定だと、これを一律に扱ったという
ことです。
これについてはホルトが各海域で雌雄の捕獲比がアンバランスである問題と
同時に扱っています(前述)。これにより第II海区では初期資源量推定に
5パーセントポイントほどの違いが出てきていますが、40万対14万とか、
40万対2万とか、そういう激しい違いにはならないです。
シロナガスクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ等大型ヒゲクジラが乱獲で
激減したのでミンククジラが激増したはずだという、いわゆるオキアミ余剰
仮説については、1976年にレイ・ギャンベルが国連食糧農業機関(FAO)への
レポートで淡い憶測として言及していますが、1975年にはまだIWCで話題には
なっていないようです。もし大隅先生、正木先生、大村先生がすでにそういう
主張をしていたとしたらたいへん興味深いので教えてください。
以前一部だけ引用した1974年IWC科学委員会の報告から、南半球ミンククジラ
に関する項目を全文紹介しておきます。
Minke Whales
18. There are no new stook analyses for this population though SC/26/8 provides
sighting data of minke whales. This population as a whole is almost unexploited
but there is little information about the status of possible subpopulations.
The Committee was unable to reach any conclusion on stock size or MSY estimates
and therefore is unable to advise the Commission on a scientific basis. The
Committee recalls the principles of paragraph 10 but advises caution in setting
any quota. It further suggests that an interim safe harvest of such a population
would be no more than 5% of the exploitable population. This can be calculated
as 46% of the 300,000 figure for the total population used last year (IWC/24 p42).
This would give a maximum safe quota of about 7,000.
(南半球)ミンククジラ
18.SC/26/8 はミンククジラの目視データを提供しているが、この個体群についての
新たなストック(資源/系群)分析はない。
この個体群は全体としてほとんど開発(捕獲)されておらず、下位個体群に関する
情報はほとんどない。
科学委員会は系群/資源サイズあるいは最大持続捕獲高推定の結論に到達する
ことができず、したがって国際捕鯨委員会(総会)に対して科学にもとづいた
助言を行うことができない(unable to advice)。
科学委員会は第10条の原則を想起し、しかしあらゆる捕獲枠の設定に注意を
要することを助言(advises)する。
科学委員会はさらに、このような個体群に対する暫定的な安全捕獲は捕獲可能
個体数(exploitable population)の5%を越えないことを示唆する。
この捕獲可能個体数は、昨年用いられた総個体数概数30万(IWC/24 p42)の46%
として計算される。
これにより最大安全捕獲枠は約7000頭となる。
(IWC,Twenty-fifth Report of the Commission 1975年刊行/65頁)
=========以上引用おわり===========
環境収容力いっぱい近くにいる海洋野生生物はほとんど増加しない。
環境収容力より低いレベル(たとえば60%程度)の時に海洋野生生物は
最大の増加率を示す。
従ってこのレベルで安定的に捕り続けると産業的生産高が長期的に最大化する。
このレベルを「MSYレベル」と名付ける。
これが1957年に英国王室印刷局から出版されたビヴァートン=ホルト理論の
核心です(Beverton R.J.H., Holt S.J., On the Dynamics of Exploited
Fish Populations, Her Majesty's Stationery Office, London, 1957.)
ホルトが「3人委員会」の一人としてIWCに派遣されて以来1970年代前半に
かけて、この理論がIWCの鯨類管理の基本になっています。
従って環境収容力(100)からMSYレベル(60)まで獲り降ろして行く過程
では、必ずしも現在量の増分を正確に捕獲するという必要はありません。
(というか、100に近いところでは、増分が少なすぎるのだわ)
そういうわけで、1974年の科学委員会で暫定捕獲枠算出の分母として
初期資源量を選んだことに理論上の不都合はまったく無いです。
従ってホルトもそのことに異議を差し挟んではいません。
問題の一つは捕鯨開始年次(=初期資源量とみなす年)が海区によって違う
のに正木論文をベースにした1975年推定だと、これを一律に扱ったという
ことです。
これについてはホルトが各海域で雌雄の捕獲比がアンバランスである問題と
同時に扱っています(前述)。これにより第II海区では初期資源量推定に
5パーセントポイントほどの違いが出てきていますが、40万対14万とか、
40万対2万とか、そういう激しい違いにはならないです。
シロナガスクジラ、ナガスクジラ、ザトウクジラ等大型ヒゲクジラが乱獲で
激減したのでミンククジラが激増したはずだという、いわゆるオキアミ余剰
仮説については、1976年にレイ・ギャンベルが国連食糧農業機関(FAO)への
レポートで淡い憶測として言及していますが、1975年にはまだIWCで話題には
なっていないようです。もし大隅先生、正木先生、大村先生がすでにそういう
主張をしていたとしたらたいへん興味深いので教えてください。
これは メッセージ 32746 (legal_guardian01 さん)への返信です.
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