アイスランドもノルウェーも③
投稿者: kujira77777 投稿日時: 2007/08/31 13:43 投稿番号: [20433 / 62227]
輸入は調査捕鯨「副産物」の脅威
2001年1月17日の共同通信によると「ノルウェー国内で鯨肉は1kgあたり30クローネ(約420円)」だそうだが、同時期に(財)日本鯨類研究所(以後「鯨研」)が発表した調査捕獲による「副産物」であるところのミンククジラの赤身の卸価格は1kgあたり2980円。加工業者や飲食店は輸入を熱望するだろうが、副産物の販売で調査費用を賄っている日本の調査捕鯨(すなわち水産庁や鯨研や共同船舶(株))にとっては、これほどの脅威はない。
2006年10月19日に共同通信は、アイスランドの商業捕鯨開始宣言を受けての記事のなかで、【自民党幹部は「商業捕鯨再開は歓迎するが、(日本で鯨肉が余っている中で)輸入鯨肉が入るのは困る」と複雑な表情を見せている】と報じている。
この微妙なニュアンスは、ノルウェーにも伝わっているのだろう。
筆者が今年2月にノルウェー政府の関係者に確認したところ、「2001年当時は確かに脂肪層の不良在庫が数百トンに達していたが、現在では医薬品の成分を抽出するなどして消費が進んでおり、国内で完全に消費できている。いまのところ輸出は考えていない。日本がもし輸入したいというなら捕獲するが、そういう状況ではない」とのことだった。
ノルウェーは人口が約464万人。対日輸出の約35%が冷凍・冷蔵・生鮮魚類で、同国水産物及び加工品の最大の輸出先でもある。
アイスランドの場合は余剰品どころか、ハナから日本への輸出が前提で調査捕鯨も商業捕鯨も始めているようだ。2004年2月11日に時事通信が報じたところによると、アイスランド外務省が同国の調査捕鯨に関して、「小規模な国内市場から考えれば、(鯨肉を)輸出しなければ計画の実施は今後困難になる」と述べたそうだし、2007年2月8日の日経新聞によれば、グッドフィンソン漁業相が「商業捕鯨は現時点では日本への輸出が前提。日本が受け入れないなら捕鯨を中止せざるをえなくなる」と強調し、日本が輸入を規制すれば「アイスランドという友好的な同盟国を失うことになる」と述べたとされている。
こういった経緯があった上での、今回の「商業捕鯨は中止の方向」なのだ。
市場があるのに受け入れなければ外交問題にも発展するだろうが、そもそも「日本には市場がない」とアイスランドが公式に判断し表明したとすれば、日本にはやむを得ない事情があることを同国が理解したということになり、いまでも「友好的な同盟国」であるのだろう。
このように見てくると、アイスランドもノルウェーも、日本を「鯨肉及び脂身消費国」として見ているのであって、「同じ捕鯨国」というのは枕詞に過ぎないのかもしれない、ということだ。そしてその消費国であるはずの日本への、輸出の期待はどうも薄れつつある。両国とも水産業が主要産業であり、日本はその得意先でもある。鯨肉でごり押しして他の水産物輸出に影響がでることは歓迎しないだろう。
今回のアイスランド漁業相の新聞コメントを額面どおりに受け取るならば、鯨肉在庫の始末に躍起になっている担当者や自民党幹部殿(おそらく捕鯨議員連盟幹部だろう)は一息ついているかもしれない。しかし、その理由として「日本に(輸入鯨肉を受け入れるほどの)市場はない」と捕鯨国仲間が指摘したことについては、心中穏やかではないだろう。アイスランドは、「日本は自分とこの調査捕鯨の肉でもう十分なんだよね」と言ったに等しいからだ。
2007年8月25日の朝日新聞は、【商業捕鯨再開を目指す日本にとっては、逆風となりそうだ】と記事を締めくくっている。しかし、調査捕鯨だけで十分に市場を満たしていると見られている日本で、どんな形の商業捕鯨が再開できるのだろう。小国の漁業相の発言は、日本が掲げているとされる「商業捕鯨再開」の幟(のぼり)に、現実感がないことを指摘しているように思える。
(佐久間淳子)
http://www.news.janjan.jp/world/0708/0708280441/1.php
2001年1月17日の共同通信によると「ノルウェー国内で鯨肉は1kgあたり30クローネ(約420円)」だそうだが、同時期に(財)日本鯨類研究所(以後「鯨研」)が発表した調査捕獲による「副産物」であるところのミンククジラの赤身の卸価格は1kgあたり2980円。加工業者や飲食店は輸入を熱望するだろうが、副産物の販売で調査費用を賄っている日本の調査捕鯨(すなわち水産庁や鯨研や共同船舶(株))にとっては、これほどの脅威はない。
2006年10月19日に共同通信は、アイスランドの商業捕鯨開始宣言を受けての記事のなかで、【自民党幹部は「商業捕鯨再開は歓迎するが、(日本で鯨肉が余っている中で)輸入鯨肉が入るのは困る」と複雑な表情を見せている】と報じている。
この微妙なニュアンスは、ノルウェーにも伝わっているのだろう。
筆者が今年2月にノルウェー政府の関係者に確認したところ、「2001年当時は確かに脂肪層の不良在庫が数百トンに達していたが、現在では医薬品の成分を抽出するなどして消費が進んでおり、国内で完全に消費できている。いまのところ輸出は考えていない。日本がもし輸入したいというなら捕獲するが、そういう状況ではない」とのことだった。
ノルウェーは人口が約464万人。対日輸出の約35%が冷凍・冷蔵・生鮮魚類で、同国水産物及び加工品の最大の輸出先でもある。
アイスランドの場合は余剰品どころか、ハナから日本への輸出が前提で調査捕鯨も商業捕鯨も始めているようだ。2004年2月11日に時事通信が報じたところによると、アイスランド外務省が同国の調査捕鯨に関して、「小規模な国内市場から考えれば、(鯨肉を)輸出しなければ計画の実施は今後困難になる」と述べたそうだし、2007年2月8日の日経新聞によれば、グッドフィンソン漁業相が「商業捕鯨は現時点では日本への輸出が前提。日本が受け入れないなら捕鯨を中止せざるをえなくなる」と強調し、日本が輸入を規制すれば「アイスランドという友好的な同盟国を失うことになる」と述べたとされている。
こういった経緯があった上での、今回の「商業捕鯨は中止の方向」なのだ。
市場があるのに受け入れなければ外交問題にも発展するだろうが、そもそも「日本には市場がない」とアイスランドが公式に判断し表明したとすれば、日本にはやむを得ない事情があることを同国が理解したということになり、いまでも「友好的な同盟国」であるのだろう。
このように見てくると、アイスランドもノルウェーも、日本を「鯨肉及び脂身消費国」として見ているのであって、「同じ捕鯨国」というのは枕詞に過ぎないのかもしれない、ということだ。そしてその消費国であるはずの日本への、輸出の期待はどうも薄れつつある。両国とも水産業が主要産業であり、日本はその得意先でもある。鯨肉でごり押しして他の水産物輸出に影響がでることは歓迎しないだろう。
今回のアイスランド漁業相の新聞コメントを額面どおりに受け取るならば、鯨肉在庫の始末に躍起になっている担当者や自民党幹部殿(おそらく捕鯨議員連盟幹部だろう)は一息ついているかもしれない。しかし、その理由として「日本に(輸入鯨肉を受け入れるほどの)市場はない」と捕鯨国仲間が指摘したことについては、心中穏やかではないだろう。アイスランドは、「日本は自分とこの調査捕鯨の肉でもう十分なんだよね」と言ったに等しいからだ。
2007年8月25日の朝日新聞は、【商業捕鯨再開を目指す日本にとっては、逆風となりそうだ】と記事を締めくくっている。しかし、調査捕鯨だけで十分に市場を満たしていると見られている日本で、どんな形の商業捕鯨が再開できるのだろう。小国の漁業相の発言は、日本が掲げているとされる「商業捕鯨再開」の幟(のぼり)に、現実感がないことを指摘しているように思える。
(佐久間淳子)
http://www.news.janjan.jp/world/0708/0708280441/1.php
これは メッセージ 20432 (kujira77777 さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/1834578/a45a4a2a1aabdt7afa1aaja7dfldbja4c0a1aa_1/20433.html