鯨類の保護について

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3.化学物質汚染_1

投稿者: capt_paul_watson 投稿日時: 2008/06/10 17:36 投稿番号: [4 / 2396]
○人類が招いた化学物質汚染
  ニンゲンの手によって作り出された化学物質は、商品化されたものだけでも合計10万種類に上り、そのリストには毎年千〜2千種類が新たに付け加えられています。中には、もともと天然に存在する量に匹敵するほど大量に生産されるものもあれば、自然界にまったく存在しない人工の合成物質もあります。多くのものは二〇世紀の前半までは地表上にほとんど存在しておらず、ここ半世紀足らずの間に"汚染"という形で急速に広まりました。有機化合物の世界全体の生産量は、1950年には700万トンだったものが、35年後の1985年には35倍の25000万トンへと膨れ上がっています。そうして生産された化学物質の大部分は、最終的には環境中に放出されることになります。

○汚染物質の集積場としての海洋環境
  クジラたちの生息環境である海は、工業/農業/都市生活排水の流れ込む場所であり、殺虫剤や除草剤、工場や輸送機関の排気に含まれる大気汚染物質も、すべて行き着く先は海です。散布された農薬は、空気中を微粒子として漂い、風に乗ってはるか南極にまで運ばれ、いずれアザラシやペンギン、クジラたちの体内に取り込まれることになります。その中には、先進国で使用・製造が禁止されていながら、マラリアなどの伝染病が猛威を振るう途上国で未だに使われ続けているDDT等の危険な殺虫剤も含まれています。土壌中の汚染物質もまた、地下水や河川などの水脈を通じて海へと到達します。これ以上処理できない固形の廃棄物は、直接ニンゲンの手で海際に埋め立てられたり、海中に投棄されます。海はまさしく"汚染物質の最終処分場"と化しているのです。

○複合汚染の恐怖
  化学物質が生態系に及ぼす定性的な影響としては、多様性の損失とそれに伴う安定性の低下が挙げられます。とくに長寿命の大型動物が欠落していく一方、短寿命の小型動物は個体数が大きく変動し不安定になります。個々の動物に対しては、行動や形質の異常として現われ、死亡率の増加や繁殖率の減少へとつながります。
  化学物質の多くは、単独で生物に対し有害な作用を及ぼすのみならず、複数の化学物質を合わせて摂取することにより、その毒性が数段強まる可能性があります。単独では無毒だったものも、その毒性を抑える役目を果たしていた酵素を別の物質が破壊するといった具合に、新たな毒性が出現するケースもあります。しかし、そうした化学物質同士の相乗効果については一部の例が知られているにすぎません。私たちの日常生活で氾濫する無数の化学物質が、組み合わされたときにどのような悪影響をもたらすかは、まったくの未知数といえます。海こそは、それらの化学物質が実際に混じり合う場所であるということを、肝に命じておく必要があるでしょう。

○拡散の原理の神話
  人々は一般に、汚染物質が海のような環境中に放出されれば、「薄められて害がなくなるに違いない」と思い込みがちです。しかし、実際には逆に、生体内に取り込まれて集積する傾向があるのです。海中に溶け込んだ汚染物質は、プランクトンの表面などに吸着されやすくなります。海底に速やかに沈降した場合は、堆積物中に留まったうえ、荒天時の波浪や浚渫などの人間活動によって攪拌され、汚染状態が持続します。水俣のケースのように、ある種のバクテリアが無機水銀をより毒性の高いメチル水銀に変えてしまうといったことも起こります。自然の"浄化作用"をあてにするのは禁物なのです。
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