3.化学物質汚染_2
投稿者: capt_paul_watson 投稿日時: 2008/06/10 17:37 投稿番号: [5 / 2396]
○汚染物質の種類
生物に害をなす人工的な化学物質には様々な種類がありますが、特に海の生物に影響をもたらすのは次の3つのタイプです。
■有機塩素化合物
DDT、PCB、ダイオキシンなど。水には溶けず油に溶けるため、生物の脂肪組織に蓄積、環境中で長時間分解されずに残留する性質があります。強い神経毒性に加え、世代を越えて毒性を伝播する変異原性があるいわゆる"環境ホルモン"としても知られるようになりました。カネミ油症で有名なPCBは、日本での使用・製造は禁止されていますが、保管体制の不備で未だに環境中に漏出し続けています。野生動物の汚染事例としては、海鳥や猛禽類、バルト海のアザラシなどで繁殖率を大きく減少させたことが報告されています。北大西洋産のナガスクジラ類各種で高濃度の蓄積が見られるほか、日本の調査捕鯨で捕獲された北太平洋産のミンククジラもまたPCBに汚染されていたことがわかっています(こちら参照)。
□有機リン化合物(オマケ)
中国製冷凍食品の中毒問題で話題となっているメタミドホスやジクロルボスなどは、この有機リン系殺虫剤に該当します。日本でも戦後大量に使用され、中毒死事故も多発しています(自殺を含む)。もともとは大戦中の毒ガス兵器用に開発され、神経伝達系の酵素の働きを阻害する強い神経毒性を持っています。散布された後、やはり空気中や水系を通じて海へ到達します。有機塩素系に比べると環境中に残留する危険性は低いものの、あまりに毒性が強いため、体内に摂取した野生動物はすぐに死んでしまうことから表面化しにくいだけ──という可能性も指摘されています。
■重金属
水銀、カドミウム、鉛、有機スズなど。元素によって生物に与える影響は異なりますが、有機性の錯化合物になると毒性が強化される傾向があります。生物にとって必須の元素も、大量に摂取すればやはり毒性を発揮します。有機スズTBTは、魚網や船底塗料として日本で大量に使用され、魚介類にメス化などの被害を与えた環境ホルモンです。座礁した歯クジラ類で、ときに内臓や筋肉中の高濃度の重金属汚染が見つかっています。カドミウムはクロミンククジラで生体濃度が臨界に達している可能性があります(詳細こちら)。
■芳香族炭化水素
石油汚染の項を参照。
以下に、海洋汚染に対してとりわけ鯨類がいかに弱いかを列挙します。
※ 海洋汚染に対してとてもデリケートなクジラたちの特性の数々
食物連鎖の上位にあるので、汚染物質の生体濃縮が働く。歯クジラ類でとくに深刻。同じ理由で、餌生物の直接的被害の影響を最もシビアに受ける。
長寿命のため、汚染環境への被曝が長く、やはり汚染物質が蓄積しやすい。人為的な排出による汚染でなくとも、健康被害にまで至っている可能性も指摘されている(詳細こちら)。
性成熟までの期間が長く、幼若個体の死亡率の増加がそのまま繁殖率の低下に直結する。
特に毒性の高い有機塩素系化合物は脂溶性で、皮下に厚い脂皮を持つ鯨類はそれらの化学物質を大量に蓄積することになる。
鯨類は体が大きくエラのような排出機構も持たないため、汚染物質の排泄の面でも魚類等に比べ不利。
鯨類は個体間の情報伝達やエコロケーションなど能動的に感覚器官を用いており、高度に発達した感覚/神経系に捕食や繁殖を依存する。このため、神経毒性のある重金属などの汚染によって聴覚・神経系統のダメージを被った場合、致命的となる。摂食・繁殖阻害のみならず、ストランディング誘発などによる間接的死因になり得る。
社会性が発達し、種によっては年齢・性別に応じて構成の変わる複雑な社会集団を形成しているため、非致死的影響であっても、社会行動を阻害することで繁殖率の低下につながる可能性がある。
胎盤あるいは授乳を通じた母子間汚染により、汚染の影響が長期間に及ぶ。
世代交代の間隔が長いため、汚染物質に対し遺伝的耐性を獲得することは望めない。
鯨類の生理には陸上哺乳類とも魚類とも異なる点があるため、汚染物質の影響について予測しにくい。
(ニンゲンが殺した健康体の標本ばかりで)自然死亡の状況に対する知見に乏しく、汚染の被害を把握することが難しい。
汚染のひどい沿岸水域は、ある種の鯨類にとって重要な繁殖場ないし索餌場となっている。
生物に害をなす人工的な化学物質には様々な種類がありますが、特に海の生物に影響をもたらすのは次の3つのタイプです。
■有機塩素化合物
DDT、PCB、ダイオキシンなど。水には溶けず油に溶けるため、生物の脂肪組織に蓄積、環境中で長時間分解されずに残留する性質があります。強い神経毒性に加え、世代を越えて毒性を伝播する変異原性があるいわゆる"環境ホルモン"としても知られるようになりました。カネミ油症で有名なPCBは、日本での使用・製造は禁止されていますが、保管体制の不備で未だに環境中に漏出し続けています。野生動物の汚染事例としては、海鳥や猛禽類、バルト海のアザラシなどで繁殖率を大きく減少させたことが報告されています。北大西洋産のナガスクジラ類各種で高濃度の蓄積が見られるほか、日本の調査捕鯨で捕獲された北太平洋産のミンククジラもまたPCBに汚染されていたことがわかっています(こちら参照)。
□有機リン化合物(オマケ)
中国製冷凍食品の中毒問題で話題となっているメタミドホスやジクロルボスなどは、この有機リン系殺虫剤に該当します。日本でも戦後大量に使用され、中毒死事故も多発しています(自殺を含む)。もともとは大戦中の毒ガス兵器用に開発され、神経伝達系の酵素の働きを阻害する強い神経毒性を持っています。散布された後、やはり空気中や水系を通じて海へ到達します。有機塩素系に比べると環境中に残留する危険性は低いものの、あまりに毒性が強いため、体内に摂取した野生動物はすぐに死んでしまうことから表面化しにくいだけ──という可能性も指摘されています。
■重金属
水銀、カドミウム、鉛、有機スズなど。元素によって生物に与える影響は異なりますが、有機性の錯化合物になると毒性が強化される傾向があります。生物にとって必須の元素も、大量に摂取すればやはり毒性を発揮します。有機スズTBTは、魚網や船底塗料として日本で大量に使用され、魚介類にメス化などの被害を与えた環境ホルモンです。座礁した歯クジラ類で、ときに内臓や筋肉中の高濃度の重金属汚染が見つかっています。カドミウムはクロミンククジラで生体濃度が臨界に達している可能性があります(詳細こちら)。
■芳香族炭化水素
石油汚染の項を参照。
以下に、海洋汚染に対してとりわけ鯨類がいかに弱いかを列挙します。
※ 海洋汚染に対してとてもデリケートなクジラたちの特性の数々
食物連鎖の上位にあるので、汚染物質の生体濃縮が働く。歯クジラ類でとくに深刻。同じ理由で、餌生物の直接的被害の影響を最もシビアに受ける。
長寿命のため、汚染環境への被曝が長く、やはり汚染物質が蓄積しやすい。人為的な排出による汚染でなくとも、健康被害にまで至っている可能性も指摘されている(詳細こちら)。
性成熟までの期間が長く、幼若個体の死亡率の増加がそのまま繁殖率の低下に直結する。
特に毒性の高い有機塩素系化合物は脂溶性で、皮下に厚い脂皮を持つ鯨類はそれらの化学物質を大量に蓄積することになる。
鯨類は体が大きくエラのような排出機構も持たないため、汚染物質の排泄の面でも魚類等に比べ不利。
鯨類は個体間の情報伝達やエコロケーションなど能動的に感覚器官を用いており、高度に発達した感覚/神経系に捕食や繁殖を依存する。このため、神経毒性のある重金属などの汚染によって聴覚・神経系統のダメージを被った場合、致命的となる。摂食・繁殖阻害のみならず、ストランディング誘発などによる間接的死因になり得る。
社会性が発達し、種によっては年齢・性別に応じて構成の変わる複雑な社会集団を形成しているため、非致死的影響であっても、社会行動を阻害することで繁殖率の低下につながる可能性がある。
胎盤あるいは授乳を通じた母子間汚染により、汚染の影響が長期間に及ぶ。
世代交代の間隔が長いため、汚染物質に対し遺伝的耐性を獲得することは望めない。
鯨類の生理には陸上哺乳類とも魚類とも異なる点があるため、汚染物質の影響について予測しにくい。
(ニンゲンが殺した健康体の標本ばかりで)自然死亡の状況に対する知見に乏しく、汚染の被害を把握することが難しい。
汚染のひどい沿岸水域は、ある種の鯨類にとって重要な繁殖場ないし索餌場となっている。
これは メッセージ 4 (capt_paul_watson さん)への返信です.
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