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交戦規定の必要性(2)

投稿者: yamadaakira651 投稿日時: 2003/04/29 23:36 投稿番号: [65749 / 232612]
R・O・E(交戦規定)   (下)
三重県郷友連盟副会長   樋口慶徳

  「R・O・E」?   読者の皆様は「それは何だ」ということでしょう。「ルール   オブ   エンディジメント」の頭文字をとって、R・O・Eといっています。日本語では交戦規定と訳しています。

  自衛隊の海外派遣問題が出てから急に、このR・O・Eが新聞紙上に現れるようになりました。国会や政治の舞台でこのような論議がなされるのは、大変結構なことです。いま論議されているR・O・Eは、二つの部分からなっています。

  一つは国内法に基づく「正当防衛」「緊急避難」によるものです。自衛隊法では「武器の使用」という表現で交戦規定の一部となっています。これは個人の判断で相手に対し発砲するものです。第一幕はこの場面です。この場面に遭遇している隊員は、生きるか死ぬか、撃たなければやられる、なにも考える余裕なしというのが現実です。

  もう一つは自衛隊法でいう「武力行使」であります。これは国家権力を付託された現場指揮官の命令によって、指揮下部隊がいわゆる武力を行使するものです。第二幕がこの状況です。

  「武力行使」は国家権力の発動でありますので、間違うと国家間の戦争に発展することがあります。盧溝橋事件、ノモンハン事件など、小部隊の武力行使が戦争につながった例でしょう。反対に「武力行使」を躊躇するような場合、その部隊は大変な犠牲を払ったり国家主権を侵されることになります。

  司(つかさ)での的確な判断と指示が必要です。外国の場合、ほとんどの政治家は軍事体験があります。日本の場合、はたして外国のようにいけるのでしようか。

  国際社会には、戦争法規があります。捕虜の取り扱い、民間人に対する武力行使の禁止など誰もが承知している事項です。この戦争法規の思想は、次の三つから成り立っています。1・軍事的必要性   2・人道   3・騎士道。

  騎士道は古臭くて、いまの時代に合わないのでさておくとして、「軍事的必要性」と「人道」は常に対立しています。いま政治のなかで議論されている交戦規定の部分は、この軍事的必要性をどう認識するかということです。

  日本はかつてノモンハン事件、盧溝橋事件など、現場指揮官の判断による武力行使の結果、大変な事態になった苦い経験があります。そのためか、武力行使の判断の多くの部分を政治の手の中に、硬く握り締めたいとの欲求があるように思われます。しかし緊急時、判断する者の立場で考えると、(現場指揮官に)判断の自由がほしいのです。

  国際軍事社会一般の考え方は、すべては現地指揮官の自由なる判断に任されます。そのなかで「これと、これは、人道的見地からやってはいけない」と決められています。ネガティブ表現なのです。

  日本の場合は、場面を限定して考え「何々の場合のみ武器を使ってよろしい」「あとはみんな駄目。政治が判断する」と表現されます。大変自由を束縛されます。武力行使に至っては「判断」は、上に吸い上げられ、政治が軍事を完全支配するようになっています。

  航空自衛隊は創設以来、R・O・Eは極めて重要な問題でした。領空侵犯に対して対処しなけれぱなりません。どのような場合、どう武器を使うのか。一つ間違えば、領空を侵犯され国家主権を侵されます。反対の場合は、サハリン沖の大韓航空機のような悲劇にもつながります。

  第二幕でいいましたように、その任にあったときレーダーで捉まえた機影は「何者なるや、いかなる意図を持つものか」、大変身の細る思いでした。

  P・K・Oで外地に派遣された陸上自衛隊の現地指揮官が、武器の使用、武力の行使について、テレビでその苦衷をいっておられる気持ち、大変よく分かります。

  軍事は政治に従属しなければなりません。現実において、軍事と政治の接点は、この武器の使用・武力行使の一点に集約されます。

  創設以来半世紀、やっとR・O・Eが政治のテーブルに乗るようになりました。「瞬時に判断しないとやられる」あるいは「軍事的敗北につながる」という軍事の特徴をよく理解していただき、列国並みのR・O・Eに近づけていただきたいのが、現役を去った者の望みであります。

平成 14/2/24 (日)
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