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裏切りの楽園 

投稿者: ringo_rn 投稿日時: 2003/01/30 16:02 投稿番号: [45635 / 232612]
裏切りの楽園   “生存”知る音信の有無【脱北の日本人妻】「たすけて下さい。ふるぎでもよいです」親族ら高齢化「援助にも限界」

  北朝鮮から四十四年ぶりに帰国した日本人妻が北朝鮮へ渡ったのは、昭和三十四(一九五九)年から始められた「帰国事業」によってだった。

  帰国事業は、北朝鮮の故金日成主席と在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の故韓徳銖議長が、朝鮮戦争で荒廃し、疲弊した北朝鮮の国土を復興させるための労働力、資金の確保を目的に北朝鮮を「地上の楽園」と宣伝、在日韓国・朝鮮人の帰国を促した運動を指す。三十四年十二月、第一回帰国船が新潟港を出港。以来、五十九年までの二十五年間に約九万三千人が北へ渡った。

  そのなかには、在日韓国・朝鮮人を夫や妻にもつ日本人の男女(日本人配偶者)も含まれており、その数は約千八百人にも上る。「やがて自由往来できると教えられ、夫や妻の祖国・北朝鮮を信じての同伴帰国だった」(帰国者の家族)が、配偶者の日本への一時帰国が実現したのは平成九年からこれまでに、四十三人にとどまっている。

  第一回帰国から四十四年が経過。当時二十歳代、三十歳代が多かった帰国者やその日本人配偶者は高齢化が進み、ある帰国者家族は「われわれ親族に寄せられる手紙は年々少なくなってきている。北朝鮮のような国で健康に生きていくことは難しいだろうから、高齢で音信が途絶えると、命が途絶えたのか、と心配になる」と話す。

  元北朝鮮工作員の脱北者、青山健煕氏は昨年十一月、民主党の公開ヒアリングで「(日本人妻は)これまで、四回の大粛清を受けた」と証言。「現地で突然姿を消したり、人民軍に射殺されたりした例もある」とも話した。

  また、中国吉林省延辺に留学していた都内の男性は平成十年、北朝鮮・清津市在住の日本人妻から、生活の困窮を訴える手紙を受け取った。

  親族にあてた手紙には「兄さんと母さんもみたい。たすけて下さい。十万円送ってください。ふるぎでもよいです」と切々とつづってあった。

  手紙を取り次いだ人の話では、この日本人妻はぼろ布のような服をまとい、住む場所も一定していなかったという。

  帰国者をもつ在日韓国・朝鮮人や日本人の家族は「手紙がくれば金や食糧を送れと書いてある。北朝鮮では金や食糧が即命につながる。大切な肉親であることに変わりはないが年を取ってこちらも経済的に苦しい中で、援助にも限界がある。どうしてよいのか」と複雑な胸の内を明かした。



平成15年1月30日
産経新聞   朝刊
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