小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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喉元過ぎても忘れてはならないこと(中)

投稿者: wesleysneijder_2011 投稿日時: 2010/12/25 10:33 投稿番号: [232190 / 232612]
  黒船以来の伝統的構図

  当時の状況を、もう少し詳しく振り返ってみよう。
  1980年代は、日米間の経済摩擦が大きく顕在化した時期である。新聞では、「アメリカ、日本に対し強硬な市場開放要求」というトーンの見出しが、しばしば一面トップを飾っていた。往々にして不当ともいえるアメリカ側の圧力が、日本に重くのしかかる。日本はそれを不当と撥ねつけたり、無視したりすることは許されず、ひたすら圧力にどう応え、どうすれば先方に納得してもらえるかを考える。単純化すると、多くの交渉はこのような構図であったといえる。

  何のことはない、この構図は幕末の黒船来航の時代からあまり変わっていないのだ。このような構図のもとでの外交交渉では、もっぱら「受身の姿勢」「言い訳の姿勢」「小出しの姿勢」という三つのパターンが用いられる。そこでは相手に注文をつけることにはほとんど関心がなく、向こうから要求される内容に折り合いをつけることに、ひたすら労力を費やすことになる。

  高度成長期の日本を分析したエズラ・ヴォーゲルの『ジャパン・アズ・ナンバーワン』(1979年)がもてはやされたことに象徴されるように、当時の日本経済はまさしく日の出の勢いだった。それはやがてアメリカ経済の屋台骨である自動車産業を揺るがし、半導体や工作機械などの市場も席巻していった。

  日本とは対照的に、アメリカ経済は自信喪失の状況にあった。その頃、米議会のスタッフからこんな言葉を聞かされたものだ。

  「今のアメリカは、自分たちの父親の生活水準を維持できなくなっている」

  将来への不安が転じて日本に脅威を感じる向きも増えてきた。「来るべき日本との戦争」といった刺激的なタイトルの本が相次いで出版され、ソ連のミサイルより日本経済のほうが大きな脅威だと感じるアメリカ人が、過半数を超えるまでになった。

  アメリカ人の心のよりどころともいえるハリウッドの映画会社や、富のシンボル、NY5番街のロックフェラー・センターまでがジャパン・マネーで買収されるに及び、もはや対日批判の声は抑えきれなくなっていたのだ。

  とうとうアメリカは、こう主張するようになった。

  「5百億ドルを超える巨額の対日貿易の原因は、日本市場の閉鎖性にある。もし日本が態度をあらためて市場を開放しないなら。対日制裁をせざるをえない」

  これまでは比較的寛容な態度を取ってきたが、もう甘い顔はしていられない。言う事を聞かないなら仕返しをするぞ、というのがアメリカの姿勢で、半導体、電気通信、医薬品などの産業部門だけでなく、牛肉、オレンジなどの農業部門、ほかにも木材や公共事業などありとあらゆる分野で日本の市場開放を求めてきたのである。

  アメリカ市場の決定的重要性

  矢継ぎ早にとんでくるアメリカの要求に対して、日本は一方的な守勢に立たされた。アメリカは自らの宿題を棚に上げて少々強引過ぎやしないか、という声は経済界にも少なくなかったが、この際は理屈よりも現実が大切だった。

  なぜか?   答えは簡単明瞭だ。日本経済にとってアメリカ市場は、決定的に重要だったからだ。経済摩擦が噴出しはじめた1986年、戦後一貫して延び続けた日本の対米輸出は全体の4割近くにまで達していた。しかも、その中心は自動車、コンピューター、エレクトロニクスなど、日本の経済を支えてきた主要産業だった。

  しびれを切らした米議会が暴走し、対日制裁、課徴金などという話になれば、その影響ははかりしれない。いかに米側の主張が理不尽だとしても、いったんは胸におさめて問題を解決していくのが日本の国益だ、というのが交渉に参加した私の確信だった。

  率直に言って、対米経済交渉の場では、何度くやしい思いをしたかしれない。こちらは問題解決のために昼夜を分かたず苦労し、解決策を考える。ところが交渉相手は何かにつけ、二言目には「これでは議会がもたない。対日経済制裁はさけられない」とくる。

  ご記憶の方も多いだろうが、当時、米議会が作った法律でスーパー301条というのがあった。まさしく日本を狙い撃ちしたもので、日本が市場を開放しないなら対抗措置として制裁を課す、という宣言にひとしかった。アメリカの交渉担当者は議会の圧力をバックに日本に屈服を迫ってきたわけで、「いい加減にしてくれ」と叫びたくなることも、一度や二度ではなかった。
(続く)
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