小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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手嶋龍一VS佐藤優(4)

投稿者: komash0427 投稿日時: 2006/08/26 23:01 投稿番号: [229112 / 232612]
     「成否の鍵は国連安保理と
           G8の"順番"にあった」

手嶋   北朝鮮は核兵器を持っている。そして短・中長距離のミサイルも持っている。長距離のものも不完全ではあるがもっている。しかし、北朝鮮にとって200キロトンとも言われる核弾頭を乗せて運ぶということは難しいでしょう。つまり、核の運搬手段を備えた核兵器の体系を確立しているとまではまだ言えません。そこが最大の弱点です。だからアメリカは放っておいてもいいと思っているのですが、ここには唯一、留保条件がある。北朝鮮が巡航ミサイルを持っていないならば、ということです。巡航ミサイルを持っていれば、核を搭載して正確にピンポイントで運ぶことができますからね。X55の脅威というのは、それほど大きいんです。

佐藤   そうなんです。ですから、トマホーク型のX55という巡航ミサイルを北朝鮮は持っているか、持っていないか、そこを解明する。ここで「有罪推定の原則」に立たなきゃいけないんですよ。私は刑事被告人ですが、こうやって『SAPIO』に出てきて手島さんとお話しできるのは、「無罪推定」という原則が働いているからです。

  ところが、インテリジェンスの世界では、X55が6基ずつイランと中国に出ている。エンドユーザーがわからない。それを持ちたいと思っている国がある。その意思を表明している国がある。購入する経済的な能力がある。となれば、北朝鮮をクロとして見ておくべきなんです。

手嶋   ですから、こういう重要なものこそ全力で追うべきで、Xデーを知っていたか、知っていなかったかという話しをメディアにリークし、世間体を取り繕うということが、いかに本質から外れているかということです。

佐藤   それに、国益を毀損していることになると思いますね。

手嶋   これは佐藤さんの主たるフィールドなのでぜひおうかがいしたいのですが、国連安保理決議に向かうプロセスで、中国はロシアをずっと抱え続けましたよね。日本はアメリカを抱え続けられなかった。

  これが問題だと思うのですけれども、もし佐藤さんが今回、インテリジェンス・オフィサー(情報仕官)として、日本政府内にいたなら、ロシアと中国の間に楔を打ち込んで、両国を離間させる方法はあったのか。つまり、安保理に北朝鮮制裁決議案を提出した上でロシアに棄権させる(拒否権を行使させない)具体策はなかったのでしょうか。

佐藤   私はあったと思ってます。私は、G8サミットと安保理の決議の"順番"を間違えたと見ているんです。安保理決議はサミットの後でよかった。それはどういう理屈か。

  サミットというのは、文書を纏め上げられなければ失敗なんです。今回はロシアが議長国ですね。「サミットの成功」という人質をこちらは持っています。そこで、他の参加国を眺めれば、基本的に日本が北朝鮮のミサイル発射に対して強い制裁をも含むような表明をすることに積極的に反対する国はひとつも存在しません。もちろんアメリカは強くサポートしてくれます。G8ならロシア一国を説得すればいいんです。

  ここで制裁を盛り込んだ決議文を作って、これと同じラインで決議しようと安保理に持っていけばロシアは自国がまとめた文書ですから、拒否はもとより棄権することもできません。中国は完全に孤立するわけです。

  そのときのロシアとの取引材料は、実はチェチェンなんです。サミット開催前、7月10日にチェチェン独立派のバサエフ司令官をロシア軍が暗殺しましたね。プーチンは恐る恐るやったんです。居場所は前から把握していましたが、バサエフの後ろには国際ネットワークやNGO(非政府組織)が控えていますからそんなに乱暴なことはやりづらかった。しかし、北朝鮮のミサイル発射で世界が騒然としているドサクサを狙ったわけです。

  本当はそこで西側諸国が、「なぜ法的手続きに基づいて対処しないのか」「ロシア政府の人権意識はどうなっているのか」と大騒ぎしなければいけなかった。そこをある程度抑える代わりに、「制裁決議」を入れさせるという一種の取引が必要だったと思うんですね。

(以下次号)
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