交渉リードした「情報戦略」(上)
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/09/25 00:03 投稿番号: [217416 / 232612]
先に閉会した第4回6カ国協議において米国が合意文書に署名をしたその理由については、気になる方も多いと思います。
「イラク問題にイランの核開発問題、ハリケーンの対応のまずさで批判が高まる中、支持率が低下しているブッシュ政権は協議決裂による新たな批判をさせたかった」からだという報道を目にします。
自分としてはこのような折込ずみの理由だけではないと。
次に紹介するのは「世界週報8月30日号」(時事通信社)の「北京の取材ノートから」(時事通信北京特派員 城山秀己)です。副題は「交渉リードした『情報戦略』6カ国協議の13日間」。
この記事には直接的なその理由はもちろん書かれていませんが、今協議の米国首席代表を務めるヒル次官補の「交渉姿勢」が描写されています。そこから米側の思惑が窺い知れると思います。
1年1ヶ月ぶりに北京で再開された北朝鮮の核問題をめぐる第4回6カ国協議は13日間の討議を終えて休会し、8月29日からの週に再開することを決定した。議長国・中国の秦剛外務相副報道局長は過去3回をあわせた協議日数を上回るマラソン交渉に対し、「会合10日間でミネラルウォーター5000本、2000杯以上のコーヒーを消費した」と表現。議長の武大偉外務次官は、中国共産党が今も誇りとする1930年代の大移動「長征」に例え、「万里の長征の途上で勝ち戦を収めた」と強調した。
「表」と「裏」使い分け
「皆さんへの情報提供をしっかり行う」――。開会前日の7月25日、北京入りしたばかりの米首席代表、ヒル国務次官補のこの言葉通り、展開の不透明さが際立った交渉では、各国間や2国間の公式折衝以外の「場外舌戦」が相手を混乱させる最大の武器となった。
「場外舌戦」の主役はヒル次官補だ。開会前、ある協議関係者は「進展のカギ」について、「北朝鮮が(昨年6月の前回協議での)米提案に回答しても、前回までのケリー次官補のように米国が聞いているだけではだめだ。どの程度ヒル氏に代表権や裁量権が与えられているかだ」と語った。
ケリー前首席代表は記者団に対し、朝は「グッドモーニング」、夜は「ロングデー」などと一言しか発せず、会合でも「紙の読み上げが中心。最終局面では必ずホワイトハウスの指示を受けないと回答しなかった」(協議筋)という。
一方、ヒル次官補はブッシュ大統領やらイス国務長官らの信任も厚く、交渉権限も与えられていた。「私は強い忍耐力を持ち続けている。合意に達するためにここ(北京)に来た」と繰り返した言葉は自信にあふれ、内容も予想を越えたものだった。
協議4日目の7月29日、焦点となった北朝鮮の核平和利用について、核拡散防止条約(NPT)復帰などを条件に一定の理解を示す異例の発言を行った。中国が各国の意見を取り入れて提示した共同文書第4次草案に関しても「北朝鮮を除く5ヶ国が基本的に受け入れた」と強調。北朝鮮から前向きな姿勢を引き出すための圧力とするとともに、「最後まで頑なだったのは北朝鮮だ」と印象付ける狙いがあった。
第4次草案受け入れに向け、中国が北朝鮮に対し続けた説得工作が終わり、13日間のうちで最大のヤマ場となった8月4日夜の首席代表会合。協議筋によると、中国が各国に「厳しい状況だ。どうしようか」と問いかけると、ヒル次官補は自らが関与した1995年のボスニア・ヘルツェゴニナ和平交渉では合意まで22日間も要した経験を話し、「まだ10日目だろう」と活を入れた。各国が先行きの不透明さに懸念を示す中、同会合では共同文書採択の重要性を確認した。
その一方で、ヒル次官補はその2日前には記者団に休会の可能性を示唆。同会合を終えた当日夜も、「あと2日程度」で協議が終了するとの見通しを明らかにしている。「表」と「裏」で使い分ける情報戦略が北朝鮮を混乱させたのは間違いない。
(つづく)
「イラク問題にイランの核開発問題、ハリケーンの対応のまずさで批判が高まる中、支持率が低下しているブッシュ政権は協議決裂による新たな批判をさせたかった」からだという報道を目にします。
自分としてはこのような折込ずみの理由だけではないと。
次に紹介するのは「世界週報8月30日号」(時事通信社)の「北京の取材ノートから」(時事通信北京特派員 城山秀己)です。副題は「交渉リードした『情報戦略』6カ国協議の13日間」。
この記事には直接的なその理由はもちろん書かれていませんが、今協議の米国首席代表を務めるヒル次官補の「交渉姿勢」が描写されています。そこから米側の思惑が窺い知れると思います。
1年1ヶ月ぶりに北京で再開された北朝鮮の核問題をめぐる第4回6カ国協議は13日間の討議を終えて休会し、8月29日からの週に再開することを決定した。議長国・中国の秦剛外務相副報道局長は過去3回をあわせた協議日数を上回るマラソン交渉に対し、「会合10日間でミネラルウォーター5000本、2000杯以上のコーヒーを消費した」と表現。議長の武大偉外務次官は、中国共産党が今も誇りとする1930年代の大移動「長征」に例え、「万里の長征の途上で勝ち戦を収めた」と強調した。
「表」と「裏」使い分け
「皆さんへの情報提供をしっかり行う」――。開会前日の7月25日、北京入りしたばかりの米首席代表、ヒル国務次官補のこの言葉通り、展開の不透明さが際立った交渉では、各国間や2国間の公式折衝以外の「場外舌戦」が相手を混乱させる最大の武器となった。
「場外舌戦」の主役はヒル次官補だ。開会前、ある協議関係者は「進展のカギ」について、「北朝鮮が(昨年6月の前回協議での)米提案に回答しても、前回までのケリー次官補のように米国が聞いているだけではだめだ。どの程度ヒル氏に代表権や裁量権が与えられているかだ」と語った。
ケリー前首席代表は記者団に対し、朝は「グッドモーニング」、夜は「ロングデー」などと一言しか発せず、会合でも「紙の読み上げが中心。最終局面では必ずホワイトハウスの指示を受けないと回答しなかった」(協議筋)という。
一方、ヒル次官補はブッシュ大統領やらイス国務長官らの信任も厚く、交渉権限も与えられていた。「私は強い忍耐力を持ち続けている。合意に達するためにここ(北京)に来た」と繰り返した言葉は自信にあふれ、内容も予想を越えたものだった。
協議4日目の7月29日、焦点となった北朝鮮の核平和利用について、核拡散防止条約(NPT)復帰などを条件に一定の理解を示す異例の発言を行った。中国が各国の意見を取り入れて提示した共同文書第4次草案に関しても「北朝鮮を除く5ヶ国が基本的に受け入れた」と強調。北朝鮮から前向きな姿勢を引き出すための圧力とするとともに、「最後まで頑なだったのは北朝鮮だ」と印象付ける狙いがあった。
第4次草案受け入れに向け、中国が北朝鮮に対し続けた説得工作が終わり、13日間のうちで最大のヤマ場となった8月4日夜の首席代表会合。協議筋によると、中国が各国に「厳しい状況だ。どうしようか」と問いかけると、ヒル次官補は自らが関与した1995年のボスニア・ヘルツェゴニナ和平交渉では合意まで22日間も要した経験を話し、「まだ10日目だろう」と活を入れた。各国が先行きの不透明さに懸念を示す中、同会合では共同文書採択の重要性を確認した。
その一方で、ヒル次官補はその2日前には記者団に休会の可能性を示唆。同会合を終えた当日夜も、「あと2日程度」で協議が終了するとの見通しを明らかにしている。「表」と「裏」で使い分ける情報戦略が北朝鮮を混乱させたのは間違いない。
(つづく)
これは メッセージ 210517 (komash0427 さん)への返信です.