拉致と核――失望の3年間③
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/09/16 19:05 投稿番号: [215809 / 232612]
北朝鮮に対する姿勢はトーンダウン
西岡 7月末から8月にかけて北京で6カ国協議が開催されましたが、この直前の7月14日の記者会見で細田博之官房長官は、「拉致問題を取り上げれば北朝鮮が反発するのではないかということばかり言っていると拉致被害者の家族や関係者が怒るのではないか。あらゆる場を捉えて、北朝鮮に拉致問題の解決を強く申し入れるという政府の基本方針には変わりはない」と発言しています。「5・22」の首相発言と同じです。
そして、今回の6カ国協議では最後に短い時間ですが日朝の2国間協議が行なわれ、日本は拉致問題を取り上げました。協議後、ご家族に対する政府の説明が行なわれた際、佐々江賢一郎・アジア大洋州局長に、「このままでは厳しい対応を取らざるを得ない」という政府の方針を北朝鮮に伝えたかどうか尋ねました。「厳しい対応」とは、北朝鮮がめぐみさんのものと称して出してきた遺骨が偽物だったことが判明した昨年12月24日、細田長官が経済制裁を念頭に公式に発言したことです。しかし、佐々江局長の回答は、「日本政府は何回も言っているから北朝鮮は先刻承知しているし、初めて2国間協議ができたのだから、この対話を継続させたかったから言わなかった」というものでした。
小泉政権は明らかに、昨年12月に表明した「このままでは厳しい対応を取らざるを得ない」という方針をトーンダウンさせています。北朝鮮の核問題を優先させ国連安保理事会に諮ったうえで国際制裁をする、それまでは拉致問題で日本に突出したことはしないという姿勢にこの半年間で転じたということです。これはしかし大変危険なことで、北朝鮮が、日本は拉致問題をそれほど重要視はしていないので単独制裁はしないと考えていると受け止められる可能性があります。
櫻井 6カ国協議で日本はずいぶん軽く扱われました。韓国も中国も拉致を取り上げることに反対しましたし、日本は北朝鮮に会いたい、会いたいと懇願し続けて、立ち話程度で会ってもらいました。ただ一国、拉致を意味する人権問題を取り上げるべきだとする日本の立場を応援してくれたのはアメリカでした。そのアメリカでさえも、日本の言うことは筋が通っているとか、日本人のためを思って応援してくれるとかの前に、当然のことですが、米国の利益と立場の反映として日本の主張をサポートしてくれるわけです。外交政策は、その国の国民の利益、その国の国の国益だけを考えて行なわれるべきでなのであって、アメリカといえども日本国の利益を第一に考えているわけではありません。日本国の国民の命や安全を守るのは日本国政府でしかないし、その国以外の国の政府は、基本的には考えないのが当然なんですね。
それだけ冷徹な国際社会の中で、日本国政府が必ずしも拉致被害者の安全や命、家族のことを最優先では考えていないということが明らかになっているわけですから、日本が拉致問題を取り上げるよう主張しても説得力はないと思います。いまのような日本では拉致だけに限らず、国民全体の安全と命、安寧な生活を守れません。これでは国家が存在する意義があるのかと問わざるを得ないと思います。
横田 人間、あまり怒らない方がよいのは当然なのですが、誰が見ても悪だということに対しては怒らないといけないし、それも顔に表して、声に出して、表現しなければ相手に通じないと思います。
北朝鮮は金正日の独裁国家で、彼以外の誰かと交渉したとしても金正日にどこまで伝わるか分かりません。首脳会談は、その金正日と面と向き合って目を見て表情を見て話しができる最高のチャンスですから、昨年5月の訪朝前には、首相は怒りを顔にぶつけてきてください、それだけはお願いしますと私は何度も事前に政府に要望しましたけれど、会談時の首相からは、怒りはまったく感じられませんでした。それで小泉さんという人は、穏やかで声を荒げたりされない方なのかもしれないと思っていたんです。
ところが、衆議院を解散した際、小泉首相は「反対勢力と協力することはない」と大変な形相で怒りましたよね。私はそれを観て、思わず「その顔で金正日に怒ってきて欲しかったんですよ」とテレビ画面に向って言ってしまいました。結局、小泉首相の心の中には、拉致問題での怒りというものはないのだなと思いました。
(つづく)
西岡 7月末から8月にかけて北京で6カ国協議が開催されましたが、この直前の7月14日の記者会見で細田博之官房長官は、「拉致問題を取り上げれば北朝鮮が反発するのではないかということばかり言っていると拉致被害者の家族や関係者が怒るのではないか。あらゆる場を捉えて、北朝鮮に拉致問題の解決を強く申し入れるという政府の基本方針には変わりはない」と発言しています。「5・22」の首相発言と同じです。
そして、今回の6カ国協議では最後に短い時間ですが日朝の2国間協議が行なわれ、日本は拉致問題を取り上げました。協議後、ご家族に対する政府の説明が行なわれた際、佐々江賢一郎・アジア大洋州局長に、「このままでは厳しい対応を取らざるを得ない」という政府の方針を北朝鮮に伝えたかどうか尋ねました。「厳しい対応」とは、北朝鮮がめぐみさんのものと称して出してきた遺骨が偽物だったことが判明した昨年12月24日、細田長官が経済制裁を念頭に公式に発言したことです。しかし、佐々江局長の回答は、「日本政府は何回も言っているから北朝鮮は先刻承知しているし、初めて2国間協議ができたのだから、この対話を継続させたかったから言わなかった」というものでした。
小泉政権は明らかに、昨年12月に表明した「このままでは厳しい対応を取らざるを得ない」という方針をトーンダウンさせています。北朝鮮の核問題を優先させ国連安保理事会に諮ったうえで国際制裁をする、それまでは拉致問題で日本に突出したことはしないという姿勢にこの半年間で転じたということです。これはしかし大変危険なことで、北朝鮮が、日本は拉致問題をそれほど重要視はしていないので単独制裁はしないと考えていると受け止められる可能性があります。
櫻井 6カ国協議で日本はずいぶん軽く扱われました。韓国も中国も拉致を取り上げることに反対しましたし、日本は北朝鮮に会いたい、会いたいと懇願し続けて、立ち話程度で会ってもらいました。ただ一国、拉致を意味する人権問題を取り上げるべきだとする日本の立場を応援してくれたのはアメリカでした。そのアメリカでさえも、日本の言うことは筋が通っているとか、日本人のためを思って応援してくれるとかの前に、当然のことですが、米国の利益と立場の反映として日本の主張をサポートしてくれるわけです。外交政策は、その国の国民の利益、その国の国の国益だけを考えて行なわれるべきでなのであって、アメリカといえども日本国の利益を第一に考えているわけではありません。日本国の国民の命や安全を守るのは日本国政府でしかないし、その国以外の国の政府は、基本的には考えないのが当然なんですね。
それだけ冷徹な国際社会の中で、日本国政府が必ずしも拉致被害者の安全や命、家族のことを最優先では考えていないということが明らかになっているわけですから、日本が拉致問題を取り上げるよう主張しても説得力はないと思います。いまのような日本では拉致だけに限らず、国民全体の安全と命、安寧な生活を守れません。これでは国家が存在する意義があるのかと問わざるを得ないと思います。
横田 人間、あまり怒らない方がよいのは当然なのですが、誰が見ても悪だということに対しては怒らないといけないし、それも顔に表して、声に出して、表現しなければ相手に通じないと思います。
北朝鮮は金正日の独裁国家で、彼以外の誰かと交渉したとしても金正日にどこまで伝わるか分かりません。首脳会談は、その金正日と面と向き合って目を見て表情を見て話しができる最高のチャンスですから、昨年5月の訪朝前には、首相は怒りを顔にぶつけてきてください、それだけはお願いしますと私は何度も事前に政府に要望しましたけれど、会談時の首相からは、怒りはまったく感じられませんでした。それで小泉さんという人は、穏やかで声を荒げたりされない方なのかもしれないと思っていたんです。
ところが、衆議院を解散した際、小泉首相は「反対勢力と協力することはない」と大変な形相で怒りましたよね。私はそれを観て、思わず「その顔で金正日に怒ってきて欲しかったんですよ」とテレビ画面に向って言ってしまいました。結局、小泉首相の心の中には、拉致問題での怒りというものはないのだなと思いました。
(つづく)
これは メッセージ 215345 (komash0427 さん)への返信です.