小泉外交_9
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/08/27 00:46 投稿番号: [213152 / 232612]
「抑止」か「圧力」かで攻防
2003年に入ると、北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)脱退を表明するなど、核問題は深刻化した。拉致問題も、拉致被害者家族の帰国・来日のめどが立たず、こう着状態に陥った。
北朝鮮からどう前向きの対応を引き出すか。その方法論について、日本政府内では「圧力派」と「宥和派」との対立が強まった。
「北朝鮮問題の平和的解決のためには、『対話と圧力』が必要だ」
この年5月23日、米テキサス州での日米首脳会談で小泉首相はこう強調した。ブッシュ大統領も同調した。
その後の日本の対北朝鮮政策の基本となる「対話と圧力」を国際舞台で明確にした場面だった。
だが、そこに至るまでには、政府内で激しい意見対立があった。
北朝鮮との対話を重視する田中均外務審議官は、「圧力」に反対した。
「圧力は、そしらぬ顔で静かにかけるものだ。圧力という言葉を振りかざすのは、北朝鮮を刺激するだけで、効果的ではない」
福田官房長官、川口外相、竹内幸夫外務次官らが理解を示した。「圧力」の変わりに『対話と抑止』を使う案が浮上した。
「圧力案」を強く主張したのは、安倍晋三官房副長官や、外務省の藪中三十二アジア大洋州局長、海老原紳北米局長らだった。
「抑止は、軍事的な報復力により、相手の攻撃を止めさせる言葉。北朝鮮の対応を前向きに変えるには、やはり圧力が必要だ」
政府が検討していた「圧力」とは、現行法に基づく輸入管理の強化だった。
激しいやりとりの据え、首脳会談で小泉は「圧力」に言及することになった。
それでも、田中はあきらめなかった。
米国に向かう政府専用機内での昼食の席のこと。田中が小泉に"直訴"した。
「総理が『圧力』とおっしゃってしまえば、北朝鮮は暴発しかねない。彼らはすべてのメッセージを悪いほうに受け取ります」
同席していた安倍は、すかさず反論した。
「何を根拠に言っているんだ。古今東西、国ぐるみで暴発した例はない。当然『圧力』で行くべきです」
海老原も「暴発を防ぐために日米同盟がある」と同調した。小泉は特に発言せず、方針は変わらなかった。
首脳会談後に、小泉発言をどう公表するかをめぐって、混乱が続いた。
記者説明役は安倍だった。田中は小泉の「圧力」発言を伏せるように主張した。しかし、安倍は「今後の日米同盟の姿勢に関する合意である以上、私は発表する」と拒否した。
外務省が作成した記者説明用の文書には、「圧力」の文字が一旦載ったが、最終段階で消えていた。
安倍は「俺に任せてくれ」と言い残すと、文書を無視して、小泉の「圧力」発言を記者団にこう表した。
外務省側は否定するが、安倍は今でも。「『圧力』は田中の指示で削除された」と思っている。
(敬称略。肩書きは当時)
2003年に入ると、北朝鮮が核拡散防止条約(NPT)脱退を表明するなど、核問題は深刻化した。拉致問題も、拉致被害者家族の帰国・来日のめどが立たず、こう着状態に陥った。
北朝鮮からどう前向きの対応を引き出すか。その方法論について、日本政府内では「圧力派」と「宥和派」との対立が強まった。
「北朝鮮問題の平和的解決のためには、『対話と圧力』が必要だ」
この年5月23日、米テキサス州での日米首脳会談で小泉首相はこう強調した。ブッシュ大統領も同調した。
その後の日本の対北朝鮮政策の基本となる「対話と圧力」を国際舞台で明確にした場面だった。
だが、そこに至るまでには、政府内で激しい意見対立があった。
北朝鮮との対話を重視する田中均外務審議官は、「圧力」に反対した。
「圧力は、そしらぬ顔で静かにかけるものだ。圧力という言葉を振りかざすのは、北朝鮮を刺激するだけで、効果的ではない」
福田官房長官、川口外相、竹内幸夫外務次官らが理解を示した。「圧力」の変わりに『対話と抑止』を使う案が浮上した。
「圧力案」を強く主張したのは、安倍晋三官房副長官や、外務省の藪中三十二アジア大洋州局長、海老原紳北米局長らだった。
「抑止は、軍事的な報復力により、相手の攻撃を止めさせる言葉。北朝鮮の対応を前向きに変えるには、やはり圧力が必要だ」
政府が検討していた「圧力」とは、現行法に基づく輸入管理の強化だった。
激しいやりとりの据え、首脳会談で小泉は「圧力」に言及することになった。
それでも、田中はあきらめなかった。
米国に向かう政府専用機内での昼食の席のこと。田中が小泉に"直訴"した。
「総理が『圧力』とおっしゃってしまえば、北朝鮮は暴発しかねない。彼らはすべてのメッセージを悪いほうに受け取ります」
同席していた安倍は、すかさず反論した。
「何を根拠に言っているんだ。古今東西、国ぐるみで暴発した例はない。当然『圧力』で行くべきです」
海老原も「暴発を防ぐために日米同盟がある」と同調した。小泉は特に発言せず、方針は変わらなかった。
首脳会談後に、小泉発言をどう公表するかをめぐって、混乱が続いた。
記者説明役は安倍だった。田中は小泉の「圧力」発言を伏せるように主張した。しかし、安倍は「今後の日米同盟の姿勢に関する合意である以上、私は発表する」と拒否した。
外務省が作成した記者説明用の文書には、「圧力」の文字が一旦載ったが、最終段階で消えていた。
安倍は「俺に任せてくれ」と言い残すと、文書を無視して、小泉の「圧力」発言を記者団にこう表した。
外務省側は否定するが、安倍は今でも。「『圧力』は田中の指示で削除された」と思っている。
(敬称略。肩書きは当時)
これは メッセージ 212732 (komash0427 さん)への返信です.