「金王朝を崩壊に追いつめる③
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/07/03 07:49 投稿番号: [207464 / 232612]
情報封印の国家の宿命
さらに平壌は長年「韓国は独立国家ではなく、同じ国の一部にすぎない」と主張してきた。北朝鮮国家の誕生の時点から、平壌のプロパガンダでは、南の住人の苦渋という物語がたぶん主要な役目を果たしてきた。北朝鮮の出版物は韓国を「この世の地獄」として描き、韓国では国民は飢え、貧しい学生は教科書代のために血を売り、残虐な米兵が自分の楽しみのために女性とを殺していると伝えてきた。北朝鮮の大部分の一般住民はそうしたプロパガンダを信じていたようである――少なくとも90年代以前は。最も彼らには他の選択肢はなかった。北朝鮮の国民は何十年にもわたって、国家の伝える公式の世界象に疑いを挟むことが可能になるような情報をまったく欠けていたからである。
北朝鮮の指導者は常々、情報統制の重要さ、いやむしろ情報鎖国の重要さを悟っていた。そして情報統制・情報鎖国を維持させるために、エネルギーと資金を惜しまなかった。その点で北朝鮮はスターリン時代のソ連にさえ引けを取らなかった。北朝鮮の店で売っているラジオは、ダイアルを自由に合わせることができないように細工されていて、平壌の公式番組しか受信できない(私の知る限り、そのシステムは北朝鮮独特のものである)。同時に北朝鮮の一般住民は、60年代初めから「兄弟的社会主義諸国」の定期刊行物も含めて、外国のマスコミ報道には接することができないままになっている。外国の刊行物は、技術参考書以外はすべて大規模と書簡の特別部門に別置される。この部門を利用できるのは、警察のしかるべき許可をもらった人間だけである。インターネットへの私的アクセスなどありえない。平壌にある外国大使館でさえ、電子メールの送受信は国際電話を使って中国のプロバイダーに接続するしかないのである。
最近になって、そうした情報封鎖の壁にひびが見えていることを示す兆候が表れてきた。しかも大幅に、である。なぜか。情報封鎖はすこぶる高くつくのに、北朝鮮国家ではしだいにその資金が枯渇してきているからである。例えば、最近、当局はすべての個人所有ラジオを時々点検するという仕事を中止したようである。何十年もの間、そうした抜き打ち点検によって、ラジオの持ち主が外国放送を聴けるように改造することを阻んでいた。しかし、もはやそうしたコストのかかる点検には特別な意味がなくなっている。中国から、大量に小型のトランジスター・ラジオが密輸されるようになってきているからだ。同時に中国からは中古のビデオ・テープ・レコーダーも入っている。密かに持ちこまれる韓国の映画やテレビドラマを見るためである(『冬のソナタ』は平壌では有名だ)。
だが、全体としては、北朝鮮は近年の様々な重大な変化にもかかわらず、依然として世界から孤立した閉鎖社会のままである。
「太陽政策」推進派が大いに期待している市場改革が、経済的にきわめて効果があり、国の経済を活性化して、大部分の北朝鮮国民の生活水準を高めてくれるだろうということはほとんど疑いがない。しかし、そうした改革は不可避的に情報統制システム全体の、従ってまた公的な神話全体の破綻という副作用を伴う。外国からの投資は、不可避的に北朝鮮の多くの住民が外国人と定期的に交流しはじめるという結果をもたらす。北朝鮮経済に対する投資の大部分は南の韓国国民によってなされるという事情から、平壌の観点からすれば、状況は複雑になる。南の国民との接触は、体制破壊につながる主要な情報源になるからだ(他の国の実業家は、ずっと安定している中国やヴェトナムの方が好ましく、対北朝鮮投資に大して関心を示さない)。市場改革は警察の監視力の弱体化を招き、それによって体制は更に弱まる。そのことは、北朝鮮の一般住民が「貧困で搾取されている」とされている南の現状について、早晩真実を知ってしまうことを意味する。
(つづく)
さらに平壌は長年「韓国は独立国家ではなく、同じ国の一部にすぎない」と主張してきた。北朝鮮国家の誕生の時点から、平壌のプロパガンダでは、南の住人の苦渋という物語がたぶん主要な役目を果たしてきた。北朝鮮の出版物は韓国を「この世の地獄」として描き、韓国では国民は飢え、貧しい学生は教科書代のために血を売り、残虐な米兵が自分の楽しみのために女性とを殺していると伝えてきた。北朝鮮の大部分の一般住民はそうしたプロパガンダを信じていたようである――少なくとも90年代以前は。最も彼らには他の選択肢はなかった。北朝鮮の国民は何十年にもわたって、国家の伝える公式の世界象に疑いを挟むことが可能になるような情報をまったく欠けていたからである。
北朝鮮の指導者は常々、情報統制の重要さ、いやむしろ情報鎖国の重要さを悟っていた。そして情報統制・情報鎖国を維持させるために、エネルギーと資金を惜しまなかった。その点で北朝鮮はスターリン時代のソ連にさえ引けを取らなかった。北朝鮮の店で売っているラジオは、ダイアルを自由に合わせることができないように細工されていて、平壌の公式番組しか受信できない(私の知る限り、そのシステムは北朝鮮独特のものである)。同時に北朝鮮の一般住民は、60年代初めから「兄弟的社会主義諸国」の定期刊行物も含めて、外国のマスコミ報道には接することができないままになっている。外国の刊行物は、技術参考書以外はすべて大規模と書簡の特別部門に別置される。この部門を利用できるのは、警察のしかるべき許可をもらった人間だけである。インターネットへの私的アクセスなどありえない。平壌にある外国大使館でさえ、電子メールの送受信は国際電話を使って中国のプロバイダーに接続するしかないのである。
最近になって、そうした情報封鎖の壁にひびが見えていることを示す兆候が表れてきた。しかも大幅に、である。なぜか。情報封鎖はすこぶる高くつくのに、北朝鮮国家ではしだいにその資金が枯渇してきているからである。例えば、最近、当局はすべての個人所有ラジオを時々点検するという仕事を中止したようである。何十年もの間、そうした抜き打ち点検によって、ラジオの持ち主が外国放送を聴けるように改造することを阻んでいた。しかし、もはやそうしたコストのかかる点検には特別な意味がなくなっている。中国から、大量に小型のトランジスター・ラジオが密輸されるようになってきているからだ。同時に中国からは中古のビデオ・テープ・レコーダーも入っている。密かに持ちこまれる韓国の映画やテレビドラマを見るためである(『冬のソナタ』は平壌では有名だ)。
だが、全体としては、北朝鮮は近年の様々な重大な変化にもかかわらず、依然として世界から孤立した閉鎖社会のままである。
「太陽政策」推進派が大いに期待している市場改革が、経済的にきわめて効果があり、国の経済を活性化して、大部分の北朝鮮国民の生活水準を高めてくれるだろうということはほとんど疑いがない。しかし、そうした改革は不可避的に情報統制システム全体の、従ってまた公的な神話全体の破綻という副作用を伴う。外国からの投資は、不可避的に北朝鮮の多くの住民が外国人と定期的に交流しはじめるという結果をもたらす。北朝鮮経済に対する投資の大部分は南の韓国国民によってなされるという事情から、平壌の観点からすれば、状況は複雑になる。南の国民との接触は、体制破壊につながる主要な情報源になるからだ(他の国の実業家は、ずっと安定している中国やヴェトナムの方が好ましく、対北朝鮮投資に大して関心を示さない)。市場改革は警察の監視力の弱体化を招き、それによって体制は更に弱まる。そのことは、北朝鮮の一般住民が「貧困で搾取されている」とされている南の現状について、早晩真実を知ってしまうことを意味する。
(つづく)
これは メッセージ 207463 (komash0427 さん)への返信です.