火の海は本当か?(2/2)
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/03/01 23:33 投稿番号: [185081 / 232612]
北朝鮮軍全体で、数千門の大砲/自走砲・地対地ロケット・地対地ミサイルを保有していると諸典拠は記す。事実としよう。問題はその射程だ。
DMZ(非武装地帯)の向こう側からソウル中心部(つまり漢江の北側)までは、最短で30キロ以上、予想攻撃主軸に沿えば50キロ以上の距離がある。第2次大戦前のヨーロッパの「列車砲」ならば50キロ以上の射程があったりしたが、今日の牽引式野砲や自走砲で40キロ以上の射程を持つものなど、例外的にしか存在しない。飛行機からの爆弾投下に比べて、まるで経済的でないからだ。だから現代砲兵の間で、約「50キロしか離れていない」という者はいない。
北朝鮮の装備だと、旧ソ連製の口径180ミリの自走砲を独自に口径170ミリに改造した自走砲のみが、RAPという特殊弾を使って44キロ(通常30キロ)まで届く。この改造自走砲は2個大隊あるとされるから、36門か、それ以上はあるのだろう。ただしその170ミリRAP弾、射程を無理に延ばす設計のため、炸薬は5キログラム未満しか充填することができないと見られる(ロシアの180ミリRAP弾で5.62キログラム)。
一門が10秒に1発撃てると仮定し、また全部で50門あると仮定しても、6時間で10万8千発。その炸薬量は約540トンである。
尤も、6時間たたないうちに、これらの長距離砲兵は全滅するに違いない。なぜならその陣地は平時から偵察衛星や測視レーダー偵察機によって概略見当がつけられている上、初弾の発射と同時に、「対砲レーダー」(距離10キロの誤差50メートル)で標定されてしまい、そこへGPS爆弾が降ってくるからだ。もちろんソウル市民は市街から数キロメートル南方へ疎開すれば射程外に出られる。それには6時間もかかるまい。
さらに試験では、米軍の203ミリカノン(日本では国産不能な高度な冶金技術を用いており、自衛隊も完成品を輸入)ですら砲身寿命は1万発だから、腔圧値でかなり無理をしている170ミリ砲は、連続射・数百発で焼蝕が起きて、発射ガスが砲弾より先に方向から抜けるようになり、弾着は甚だしく手前に遷移するだろう。
今次イラク戦争では、米英軍の巡航ミサイル(充填炸薬500キログラム以上)が800発、そして精密誘導弾(多くは2000ポンド爆弾で、炸薬量は500キログラム前後)は何千発使われたか知れぬ(1万8千発ともいわれる)。つまりは巡航ミサイルだけで400トン以上の炸薬が主として建造物に打ち込まれた次第だが、それでバグダッドやバスラ市は「火の海」になっていたであろうか?
空からの爆撃に比べ、砲兵の対都市破壊威力は現代でも甚だ低いという、戦争の「相場」を知らなければならない。北朝鮮は事実上、空軍がないから、振りを承知で砲兵ばかりを頼ろうとしているのである。
では地対地ロケット弾はどうなのか。北朝鮮軍には、口径240ミリ、全重407キログラムで、43キロメートル飛ぶロケット弾があるという。弾頭重量は90キログラム、炸薬は45キログラムが入っているとみられている。このロケット弾を12発発射できるランチャーが、北朝鮮には少なくとも240両あって、うち100両がソウル市攻撃だという。全弾は8分くらいで発射してしまえる。
それ以外の装備では、弾頭450キログラムの「フロッグ」という大型の地対地ロケットが数十基あって、この射程が48キロメートル。恐らくは全部ソウル市向けだろう。
射程栖百キロメートルの「スカッド」地対地ミサイルは、対都市攻撃にはもったいない精密兵器であるから、多分全数が韓国内の航空基地向けだと考えられ、ソウル市に無駄使いされることはなかろう。
したがって、フロッグ×数十発、240ミリロケット弾×1200発と、若干の170ミリ砲弾が、果たしてソウル市を火の海にできるかどうかという計算を、マスコミはするべきである。答えは明らかで、核爆弾を投下せぬ限りは、ソウル市は火の海にならないし、100万人の死傷者も生じない。北朝鮮の持つ、他の数千門の対砲がDMZを超えて南下してくることも、地雷源などの対戦車障害帯と、北朝鮮の燃料不足の事情のために、不可能である。
(以下略)
(続く)
DMZ(非武装地帯)の向こう側からソウル中心部(つまり漢江の北側)までは、最短で30キロ以上、予想攻撃主軸に沿えば50キロ以上の距離がある。第2次大戦前のヨーロッパの「列車砲」ならば50キロ以上の射程があったりしたが、今日の牽引式野砲や自走砲で40キロ以上の射程を持つものなど、例外的にしか存在しない。飛行機からの爆弾投下に比べて、まるで経済的でないからだ。だから現代砲兵の間で、約「50キロしか離れていない」という者はいない。
北朝鮮の装備だと、旧ソ連製の口径180ミリの自走砲を独自に口径170ミリに改造した自走砲のみが、RAPという特殊弾を使って44キロ(通常30キロ)まで届く。この改造自走砲は2個大隊あるとされるから、36門か、それ以上はあるのだろう。ただしその170ミリRAP弾、射程を無理に延ばす設計のため、炸薬は5キログラム未満しか充填することができないと見られる(ロシアの180ミリRAP弾で5.62キログラム)。
一門が10秒に1発撃てると仮定し、また全部で50門あると仮定しても、6時間で10万8千発。その炸薬量は約540トンである。
尤も、6時間たたないうちに、これらの長距離砲兵は全滅するに違いない。なぜならその陣地は平時から偵察衛星や測視レーダー偵察機によって概略見当がつけられている上、初弾の発射と同時に、「対砲レーダー」(距離10キロの誤差50メートル)で標定されてしまい、そこへGPS爆弾が降ってくるからだ。もちろんソウル市民は市街から数キロメートル南方へ疎開すれば射程外に出られる。それには6時間もかかるまい。
さらに試験では、米軍の203ミリカノン(日本では国産不能な高度な冶金技術を用いており、自衛隊も完成品を輸入)ですら砲身寿命は1万発だから、腔圧値でかなり無理をしている170ミリ砲は、連続射・数百発で焼蝕が起きて、発射ガスが砲弾より先に方向から抜けるようになり、弾着は甚だしく手前に遷移するだろう。
今次イラク戦争では、米英軍の巡航ミサイル(充填炸薬500キログラム以上)が800発、そして精密誘導弾(多くは2000ポンド爆弾で、炸薬量は500キログラム前後)は何千発使われたか知れぬ(1万8千発ともいわれる)。つまりは巡航ミサイルだけで400トン以上の炸薬が主として建造物に打ち込まれた次第だが、それでバグダッドやバスラ市は「火の海」になっていたであろうか?
空からの爆撃に比べ、砲兵の対都市破壊威力は現代でも甚だ低いという、戦争の「相場」を知らなければならない。北朝鮮は事実上、空軍がないから、振りを承知で砲兵ばかりを頼ろうとしているのである。
では地対地ロケット弾はどうなのか。北朝鮮軍には、口径240ミリ、全重407キログラムで、43キロメートル飛ぶロケット弾があるという。弾頭重量は90キログラム、炸薬は45キログラムが入っているとみられている。このロケット弾を12発発射できるランチャーが、北朝鮮には少なくとも240両あって、うち100両がソウル市攻撃だという。全弾は8分くらいで発射してしまえる。
それ以外の装備では、弾頭450キログラムの「フロッグ」という大型の地対地ロケットが数十基あって、この射程が48キロメートル。恐らくは全部ソウル市向けだろう。
射程栖百キロメートルの「スカッド」地対地ミサイルは、対都市攻撃にはもったいない精密兵器であるから、多分全数が韓国内の航空基地向けだと考えられ、ソウル市に無駄使いされることはなかろう。
したがって、フロッグ×数十発、240ミリロケット弾×1200発と、若干の170ミリ砲弾が、果たしてソウル市を火の海にできるかどうかという計算を、マスコミはするべきである。答えは明らかで、核爆弾を投下せぬ限りは、ソウル市は火の海にならないし、100万人の死傷者も生じない。北朝鮮の持つ、他の数千門の対砲がDMZを超えて南下してくることも、地雷源などの対戦車障害帯と、北朝鮮の燃料不足の事情のために、不可能である。
(以下略)
(続く)
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