高濃縮ウランの衝撃④
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/02/20 00:31 投稿番号: [180752 / 232612]
「あなた方が帰って来ることを望んでいる」
振り返って、姜錫柱の顔を見た米側交渉団の一人は高濃縮ウラン開発計画つぶやいた。自分たちの交渉戦略が奏効しないことを悟ったか。それにしても、とても絶望的な表情だな・・・・。
「今回の協議結果をワシントンに報告することになりますが、高濃縮ウラン開発計画は今後の米朝協議に障害となり、包括的かつ大胆なアプローチにも妨げになります」
立ち止まったケリーは乾いた言葉でそう言い残すと、姜錫柱に振り向きもせず、そのまま議場を後にした。
当然のことながら、ケリー一行と北朝鮮の最高権力者、金正日との会談は実現しなかった。
後に、このやりとりを聞いた別の米政府高官は「94年の米朝協議第2ラウンドで使ったテクニックと同じだな」と感じた。
「彼らは同じ場所を行ったり、来たりする。しかし、高濃縮ウラン開発計画については、その訪朝で確かめたのではなく、その前にわれわれは確認していた」
米朝枠組み合意をめぐる交渉で、北朝鮮と渡り合ったこの高官はそう指摘する。
「姜錫柱は高濃縮ウラン開発計画を特定して、“持っている”とは認めなかった。しかし、私は彼が計画を認めたと思っており、米国が集めた諜報に間違いはないと今も思っている」
ケリーとともにピョンヤンでの会議に臨んだプリチャードは、こう回想する。
後に判明することになるが、米国はすでにケリー訪朝前に日本に対し、北朝鮮による高濃縮ウラン開発計画の概要を極秘に伝えていた。
<計画を極秘に伝えた日付は、にボルトン国務次官、アーミテージ国務副長官が相次いで来日した2002年8月26、27日のようです。つまり日本政府は9月17日以前に高濃縮ウラン開発計画を米国から伝えられていたということのようです。>
米側の説明によれば、北朝鮮は97年ごろから高濃縮ウラン開発計画の製造に必要な“ガス遠心分離機”と言われる機材を約1000台備えた施設を、国内の数カ所に建設する計画を進めていた。これと同じ技術を使って核爆弾を開発したとされるパキスタンから、北朝鮮は主要な部品を購入した。主な購入部品は、ガス状のウラン化合物を通すために使うアルミ製のチューブなどだったと言われている。
プルトニウムではなく、高濃縮ウラン開発計画をベースとした原子爆弾を作るためには、天然ウランにわずかしか含まれていない核分裂物質ウラン235を90パーセント以上に濃縮することが必要とされる。これには高度な技術が求められ、かつ500から2000台程度のガス遠心分離機を使って、繰り返しウランを濃縮することで、高濃度ウランを製造しなければならない。そのためのノウハウを、北朝鮮はパキスタンから導入した。その見返りとして、北朝鮮はパキスタンに弾道ミサイルを提供したとされている。
CIAは、2002年夏、部品の販売経路などを辿ることで、北朝鮮=パキスタン間の売買に関与した業者を探り当て、パキスタンから北朝鮮へのルートを解明したという。
<このあたりは、この1年前くらいから明らかにされていることでしたか>
米政府高官は「われわれが想像以上に(高濃縮ウラン開発計画について)知っていることがわかり、北朝鮮側は驚いていた。10月の協議の狙いは、われわれが彼らの隠し事を暴く狙いがあった」と説明する。
「動かしようのない証拠」を突きつけられながら、なぜ、北朝鮮側はあえて真っ向からの完全否定という手段を選んだのか。
「彼らの否定は交渉のためであり、中国とロシアとの関係、さらには韓国との交渉をにらんでのものだ。(そうした周辺各国が)どう見るか、という観点だ。どんな交渉に臨むにせよ、最後まで高濃縮ウラン開発計画を保持し、それをできるだけテコにしたいと思っているはずだ」
プリチャードはそう見ている。
「ジュネーブでの米朝合意後も、姜錫柱は核開発計画を続けると北朝鮮国内で言っていた」
ケリー一行の一人だった米政府高官はこう指摘し、北朝鮮との交渉で相手側の言葉を鵜呑みにするのは危険だと警告する。
この高官によれば、米民間団体であるディフェンス・フォーラム財団の招きで訪米した元朝鮮労働党書記、黄長菀は2003年10月30日、ケリーやアーミテージら米政府高官と相次いで会談し、「姜錫柱が北朝鮮政府内の協議で、米側の目を欺きながら、核開発計画を進めると断言していた」と証言したという。
続く)
振り返って、姜錫柱の顔を見た米側交渉団の一人は高濃縮ウラン開発計画つぶやいた。自分たちの交渉戦略が奏効しないことを悟ったか。それにしても、とても絶望的な表情だな・・・・。
「今回の協議結果をワシントンに報告することになりますが、高濃縮ウラン開発計画は今後の米朝協議に障害となり、包括的かつ大胆なアプローチにも妨げになります」
立ち止まったケリーは乾いた言葉でそう言い残すと、姜錫柱に振り向きもせず、そのまま議場を後にした。
当然のことながら、ケリー一行と北朝鮮の最高権力者、金正日との会談は実現しなかった。
後に、このやりとりを聞いた別の米政府高官は「94年の米朝協議第2ラウンドで使ったテクニックと同じだな」と感じた。
「彼らは同じ場所を行ったり、来たりする。しかし、高濃縮ウラン開発計画については、その訪朝で確かめたのではなく、その前にわれわれは確認していた」
米朝枠組み合意をめぐる交渉で、北朝鮮と渡り合ったこの高官はそう指摘する。
「姜錫柱は高濃縮ウラン開発計画を特定して、“持っている”とは認めなかった。しかし、私は彼が計画を認めたと思っており、米国が集めた諜報に間違いはないと今も思っている」
ケリーとともにピョンヤンでの会議に臨んだプリチャードは、こう回想する。
後に判明することになるが、米国はすでにケリー訪朝前に日本に対し、北朝鮮による高濃縮ウラン開発計画の概要を極秘に伝えていた。
<計画を極秘に伝えた日付は、にボルトン国務次官、アーミテージ国務副長官が相次いで来日した2002年8月26、27日のようです。つまり日本政府は9月17日以前に高濃縮ウラン開発計画を米国から伝えられていたということのようです。>
米側の説明によれば、北朝鮮は97年ごろから高濃縮ウラン開発計画の製造に必要な“ガス遠心分離機”と言われる機材を約1000台備えた施設を、国内の数カ所に建設する計画を進めていた。これと同じ技術を使って核爆弾を開発したとされるパキスタンから、北朝鮮は主要な部品を購入した。主な購入部品は、ガス状のウラン化合物を通すために使うアルミ製のチューブなどだったと言われている。
プルトニウムではなく、高濃縮ウラン開発計画をベースとした原子爆弾を作るためには、天然ウランにわずかしか含まれていない核分裂物質ウラン235を90パーセント以上に濃縮することが必要とされる。これには高度な技術が求められ、かつ500から2000台程度のガス遠心分離機を使って、繰り返しウランを濃縮することで、高濃度ウランを製造しなければならない。そのためのノウハウを、北朝鮮はパキスタンから導入した。その見返りとして、北朝鮮はパキスタンに弾道ミサイルを提供したとされている。
CIAは、2002年夏、部品の販売経路などを辿ることで、北朝鮮=パキスタン間の売買に関与した業者を探り当て、パキスタンから北朝鮮へのルートを解明したという。
<このあたりは、この1年前くらいから明らかにされていることでしたか>
米政府高官は「われわれが想像以上に(高濃縮ウラン開発計画について)知っていることがわかり、北朝鮮側は驚いていた。10月の協議の狙いは、われわれが彼らの隠し事を暴く狙いがあった」と説明する。
「動かしようのない証拠」を突きつけられながら、なぜ、北朝鮮側はあえて真っ向からの完全否定という手段を選んだのか。
「彼らの否定は交渉のためであり、中国とロシアとの関係、さらには韓国との交渉をにらんでのものだ。(そうした周辺各国が)どう見るか、という観点だ。どんな交渉に臨むにせよ、最後まで高濃縮ウラン開発計画を保持し、それをできるだけテコにしたいと思っているはずだ」
プリチャードはそう見ている。
「ジュネーブでの米朝合意後も、姜錫柱は核開発計画を続けると北朝鮮国内で言っていた」
ケリー一行の一人だった米政府高官はこう指摘し、北朝鮮との交渉で相手側の言葉を鵜呑みにするのは危険だと警告する。
この高官によれば、米民間団体であるディフェンス・フォーラム財団の招きで訪米した元朝鮮労働党書記、黄長菀は2003年10月30日、ケリーやアーミテージら米政府高官と相次いで会談し、「姜錫柱が北朝鮮政府内の協議で、米側の目を欺きながら、核開発計画を進めると断言していた」と証言したという。
続く)
これは メッセージ 180751 (komash0427 さん)への返信です.