ジュンイチロウとジョンイルの思惑⑤
投稿者: komash0427 投稿日時: 2005/02/12 21:54 投稿番号: [177922 / 232612]
ブッシュ大統領が再選され、北朝鮮がさらに追い詰められたのは確かだ。しかし、金総書記が対米包囲作戦を諦めたかというと、そんなフシは微塵もない。北朝鮮は今も中・露との友好関係の維持に腐心している。韓国に対する融和姿勢も変わらない。日本に対しても、水面下で小泉首相サイドと接触して昨年5月の小泉首相の第2次訪朝へとつなげた。北朝鮮は核問題で追い込まれながらも、2002年当時の平和攻勢の枠組みを相変わらず維持しようとしている。北朝鮮は今6ヶ国協議への出方、つまり米国をどう直接交渉に誘い出すか考えつつ、対米包囲作戦自体はなにも変えていない。
こう見れば、北朝鮮が、ニセ遺骨がばれてからも平壌宣言の遵守を呼びかけている意図も透けて見えてくる。自分たちが拉致で前向きな対応をしない以上、関係改善は進まない。しかし、平壌宣言の遵守を表明して国交正常化への希望を示してさえおけば、日本も平壌宣言の失効宣言まではできないだろうと踏んでいる。平壌宣言の遵守を表明していれば、日本は経済制裁の発動もしづらくなると考えているはずだ。
平壌宣言さえ維持できれば、日本との関係改善の枠組みは残り、対米包囲網の重要な環は弱いながらも維持できるということだ。同時に、「約束手形」もそのまま残る。
北朝鮮にすれば、小泉首相が「粘り強く対話を求め続ける」と国交正常化を目指すということ自体が対話の枠組みの維持であり、願ってもない展開だろう。日本が経済制裁を発動せず、事態が現状のまま推移するのであれば、直接的に失うものはないだけに、当面は拉致問題も動かす必要がなくなる。
第4回6ヶ国協議を経て、米国を最後の取引に引きずり出せば、その時になって初めて拉致カードを少しずつ切る。つまり、横田めぐみさんら安否不明者の新たな情報を出すなどして日本を再び引き付け、国交正常化交渉を再開させて日米の足並みを乱し、対米交渉を有利な方向に進める――。北朝鮮は今こんなシナリオを考えているのではないか。
ここまで見れば、日本は制裁にどう対応すべきなのか、もはや明らかだろう。安倍晋三氏が本紙今月号のインタビューで強調しているのは、北朝鮮のこの身勝手なシナリオを阻むことができる日本のカードこそ制裁だ、ということだ。制裁で北朝鮮に対米包囲戦術が思い通りには進まないことを示し、拉致を前向きに動かさなければ、平壌宣言の存続に影響し、対米関係改善がはるかに遠のき、ひいては彼らの体制生き残り戦略自体が破綻することを示す必要がある。
日本の識者の中にはなお、「日本単独の経済制裁は効果がない」「制裁をすれば、北朝鮮は暴発する」といった制裁慎重論があるが、これらに説得力がないことも安倍氏のインタビューで明らかだろう。安倍氏が、制裁は体制崩壊の決定打ではないが、経済的な打撃は大きい、と指摘する通り、北朝鮮は打撃が大きいから、「制裁は宣戦布告」との恫喝に出ている。『労働新聞』は1月22日には「自民党幹事長代理・安倍が反共和国騒動に熱を上げている」と安倍氏を名指しで批判する論評を掲げ、「軍国主義、民族排他主義に狂奔する狂信者」と最大級の罵倒を浴びせている。これも、安倍氏が主導する経済制裁への恐れだろう。
最後に、北朝鮮の過去の行動を見ると、北朝鮮は強烈な圧力を受けると、以外と譲歩することがあることを指摘しておきたい。例えば、76年の「ポプラ事件」。板門店にあるポプラの木が視界を妨げたため、米兵がこれを伐採しようとしたところ、北朝鮮兵がこれに抗議、手斧で米将校二人を殺害した事件だった。
米韓は激怒し、航空母艦、戦略爆撃機などが開戦準備を整えたうえで、伐採作業を再開した。北朝鮮は震え上がり、金日成主席はその日、米軍司令官に謝罪メッセージを伝えてきたのだった。
(続く)
こう見れば、北朝鮮が、ニセ遺骨がばれてからも平壌宣言の遵守を呼びかけている意図も透けて見えてくる。自分たちが拉致で前向きな対応をしない以上、関係改善は進まない。しかし、平壌宣言の遵守を表明して国交正常化への希望を示してさえおけば、日本も平壌宣言の失効宣言まではできないだろうと踏んでいる。平壌宣言の遵守を表明していれば、日本は経済制裁の発動もしづらくなると考えているはずだ。
平壌宣言さえ維持できれば、日本との関係改善の枠組みは残り、対米包囲網の重要な環は弱いながらも維持できるということだ。同時に、「約束手形」もそのまま残る。
北朝鮮にすれば、小泉首相が「粘り強く対話を求め続ける」と国交正常化を目指すということ自体が対話の枠組みの維持であり、願ってもない展開だろう。日本が経済制裁を発動せず、事態が現状のまま推移するのであれば、直接的に失うものはないだけに、当面は拉致問題も動かす必要がなくなる。
第4回6ヶ国協議を経て、米国を最後の取引に引きずり出せば、その時になって初めて拉致カードを少しずつ切る。つまり、横田めぐみさんら安否不明者の新たな情報を出すなどして日本を再び引き付け、国交正常化交渉を再開させて日米の足並みを乱し、対米交渉を有利な方向に進める――。北朝鮮は今こんなシナリオを考えているのではないか。
ここまで見れば、日本は制裁にどう対応すべきなのか、もはや明らかだろう。安倍晋三氏が本紙今月号のインタビューで強調しているのは、北朝鮮のこの身勝手なシナリオを阻むことができる日本のカードこそ制裁だ、ということだ。制裁で北朝鮮に対米包囲戦術が思い通りには進まないことを示し、拉致を前向きに動かさなければ、平壌宣言の存続に影響し、対米関係改善がはるかに遠のき、ひいては彼らの体制生き残り戦略自体が破綻することを示す必要がある。
日本の識者の中にはなお、「日本単独の経済制裁は効果がない」「制裁をすれば、北朝鮮は暴発する」といった制裁慎重論があるが、これらに説得力がないことも安倍氏のインタビューで明らかだろう。安倍氏が、制裁は体制崩壊の決定打ではないが、経済的な打撃は大きい、と指摘する通り、北朝鮮は打撃が大きいから、「制裁は宣戦布告」との恫喝に出ている。『労働新聞』は1月22日には「自民党幹事長代理・安倍が反共和国騒動に熱を上げている」と安倍氏を名指しで批判する論評を掲げ、「軍国主義、民族排他主義に狂奔する狂信者」と最大級の罵倒を浴びせている。これも、安倍氏が主導する経済制裁への恐れだろう。
最後に、北朝鮮の過去の行動を見ると、北朝鮮は強烈な圧力を受けると、以外と譲歩することがあることを指摘しておきたい。例えば、76年の「ポプラ事件」。板門店にあるポプラの木が視界を妨げたため、米兵がこれを伐採しようとしたところ、北朝鮮兵がこれに抗議、手斧で米将校二人を殺害した事件だった。
米韓は激怒し、航空母艦、戦略爆撃機などが開戦準備を整えたうえで、伐採作業を再開した。北朝鮮は震え上がり、金日成主席はその日、米軍司令官に謝罪メッセージを伝えてきたのだった。
(続く)
これは メッセージ 177743 (komash0427 さん)への返信です.